故ノ忌・決別と縁定
「あなたは、闇夜の敵 ? 味方 ? 」
送られてきたメッセージを見て、私は少しの違和感を覚えた。これを送って来た人物は、闇夜さんではないっと……
「味方だよ」
「そう」
「闇夜さんにも、幸せであってほしい」
「そうなの ? 」
「うん。私は、闇夜さんを信じてる。
何があっても私は闇夜さんを恨まないよ」
「そう。でも、これから闇夜は心の奥深く誰も来れない場所に居続けるつもりよ。
だから、表には基本的に私が出るよ」
「解った」
「ほぼほぼ出て来ないんじゃないかな ? よっぽどの事がない限り」
「……彼は、もう人間を嫌いになってしまった ? 」
私の質問に彼女は間髪入れずに答えてくれた。
「飽きたって言ってる。面白くなくなってきたって」
「そっか……仕方ないよね。
なら、また面白いって思って貰える様に頑張るよ」
「うん。さて、この肉体。
……あと、何年持つかな」
「私が先じゃなきゃ良いな。闇夜さんを遺して逝きたくない」
「「人間の肉体に居るって反吐が出そうだ…………縮めよう」って言ってるのが聞こえる。怒りは鎮められないみたい……」
送られてきたメッセージの言葉を見て、私は凄く悲しくなったな。せっかく、信じ様としてくれていたのに兄さんの裏切りで傷つけてしまったってさ。
「そっか……なら、私の寿命も同じくらいに出来ないかな ?
こんな事言ったら、また怒られるかな……」
「怒られるかもね」
「解った」
「でも、もしかしたら許してくれるかも」
「許してくれるならそうしたいな。怒った闇夜さんは、怖いけど……駄目なら、寿命いっぱい生きてから追いかけるよ」
「……ねぇ、あなたは死んでも闇夜といたい ? 」
その質問は、とてもシンプルで私は何の躊躇いもなく本心から答える事が出来た。
「うん。一緒に居たい。
自分を救おうとする私たちの気持ちを踏みにじった兄さんを許せないし……何よりも、人間の世界に未練はないから」
「そう」
「うん。本当は、もうずっと昔から人間が嫌いで……人間の自分が好きになれなくてさ。
でも、闇夜さんが私を「面白い人間」って言ってくれて嬉しかった。人間である事に初めて誇りを持てた」
「うん」
「……闇夜さんを裏切った愚かな兄だけれど、あんな人がいるなら人間も捨てたもんじゃないなって思えた。でも、今は悲しみと怒りが混ぜこぜになって…………僅かに信じていた全てを、信じられなくなってきてる」
「……うん」
「それなら、いっその事。今世の夢も希望も投げ捨てて信じる闇夜さんと共にどこまでも行きたい。
それが例え、地獄の果てだとしても……もう、こんな空しい毎日耐えられない」
「……合格だよ。
「え ? 」
「君は、闇夜に完全に認められた」
「……うん」
「ようこそ、極楽と絶望の世界へ。
私たちはあなたを受け入れるよ」
それから、色んな話をしたよ。翌日には、闇夜さんが戻って来て
「後悔しても遅いぞ ? お前は、もう逃げられない」
って脅す様な口調で言われたんだ。でも、
「いいよ。私も逃げないから」
って返したらその事に関しては何も言われなかった。それで、兄さんやサトリさんとの縁は完全に切れたよ。
私の言葉を聞いてから、闇夜さんが
「そうか……あと、伸ばしても10年だ。その後どう生きるかはあいつ次第。
自壊の道を歩むか、幸運の道を歩むかは俺らには解らない。
……裏切者には絶望を。二度と我々の地を踏まない様に、正しい絶望を与える」
「解った」
どうしてるのかは、知らないし。今は興味もない。
兄さん、私は今幸せだよ。あなたが、どうなって様がもう関係ない。
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