肆ノ縁・奇妙な夢(上)
闇夜さんに会ってからしばらくした日の夜。奇妙な夢を見た。
夢の中で私は、白いワンピースの様な服を着て裸足で山の中を歩いていたんだ。でも、夢の中なのに凄くリアルだった。
……踏んだ地面の感触、土や風の匂い、木々のざわめき…………全てがリアルで、まるで本当にその場に居る様な感覚だったよ。夢の中で、私はそれを夢と認識していてね。
だからこそ、凄く不思議に思ったんだけどね。それで、私は1人で森の中をあてもなくひたすら歩き続けていたんだ。
そして、何故か何の情報も無いのに自分が居る場所が【富士の樹海】だと確信していた。本当に不思議だけどね。
しばらく行くと、開けた場所に出た。そこには、大きな木が
木の前には緑色の着物を着たがたいの良い男性が立って居たんだけど、その顔が【もののけ姫】に出てくる【シシ〇ミさま】に良く似てたんだよね。私の視線に気づいたらしい、シシ神様はこちらに顔を向けて
「人の子よ。
そこで目が覚めたんだ。その時の気持ちは「変な夢を見たなぁ」……位の感覚だったと思う。
闇夜さんにも、電話で夢の話をしたら
「ふ〜ん……」
「変な夢だよね」
「何を聞かれるかは解らんけど、深く考えず直感で答えろよ ?
嘘吐いたりしたら、殺されるからな」
「え ? 」
「肉体的には、心臓麻痺とかだろうな……向こうでは、どんな殺され方するか解らんが…………
きっと苦しいぞぉ……それが嫌なら、即答する事をオススメするよ」
「………………はい」
正直、余り現実味の無い話だったけど……闇夜さんが嘘を言ってないと、私には何となく解ったんだよ。何より夢で感じた、あの威圧感は本物だったから。
寝るのが少し怖かったけど、闇夜さんと通話してる内に
夢は、シシ神様と対峙した場所から再開された。そんで、身構える暇も与えられずいきなり質問を投げかけられたよ。
「闇夜(本名を言ってて驚いた)様が、お前の目の前でお前の愛する者を殺したら…………お前は、それでも…………あの御方を信じる事が出来るか ? 」
「信じる。そして、死ぬ」
私は自分でも驚く程の即答をしていた。因みに、答えの意味だけど……「闇夜さんが私の愛する人を殺したとしても、きっと何か理由があると考える。
でも、私は愛する人のいない世界で生きていける程きっと強くない」そう考えて出た言葉だった。その答えを聞いた途端、シシ神さまは突然と笑い出したんだ。
「ははは ! そうか、そうか…………気に入ったぞ。人の子よ。
ならば、決してあの御方の側を離れるなよ ? あの御方は、大事な
目が覚めて直ぐ、現人神の意味を検索したよ。
――――――
――――――
検索結果を見た私は、妙に納得してしまった。そんで、言われた事をそのまま闇夜さんに伝えたら
「あいつは余計な事を……まぁ、だからって敬語とか使うなよ。今まで通りで良い」
「うん。解った ! 」
何だかんだと、優しい闇夜さん。命尽きて、例え行きつく先が地獄だとしても私はこの人の隣を離れないんだろうなって思う今日この頃。
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