参ノ縁・配信の怪(惨)

 翌日の夕方、兄さんは宣言通り枠を開いて本当に戦利品の公開をしようとしていやがった。何かあったら危険なので、私はストッパー役として枠に行き凸に上がったんだ。

 すると、兄さんは早速さっそく、茶封筒を開いた様で中身を取り出す音が聞こえてきたのね。そして、枠の背景写真が撮ったばかりのモノに切り替わる。

 最初の背景写真は、赤いボールペンで上半身だけの女性のイラストが切り離したノートの紙に描かれてた。まるでホラー映画の子供が描く不気味な絵その物。

 後、紙の右端には【3日後】っと意味深な事が書かれていた。


 見た瞬間、全身の毛が逆立ち。何故か私の頭には【姦姦かんかん蛇螺だら】っと言う言葉が浮かんだ。

 理由は解らん。

 

 そして、次の背景写真に切り替わる。それはノートの切れ端に、赤いボールペンで「〇〇ちゃん、お父さん、お母さん、先生。皆ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」っと書かれてるモノで……なんだか遺書の様だと感じた。

 物凄く嫌な感じがしたし、詳しい内容はもう覚えていないけど中絶をした様な事も書かれていたと思う。正直見ていて気分の良いモノじゃなかったよ。


 だから、兄さんに苦言を呈した。


「あのさ、怖がってる人もいるし。この辺で止めておいた方が良くない ? 」

「いや。でもさ、あと1個中身が残ってるんだよ。

 だから、最後にこれだけ見せて他の話に移ろうぜ」


 瞬間。それまでとは、比にならない様な嫌な予感が全身を駆け巡った。

 そして「あと1枚」ではなく「あと1個」と言ったのが、私の中で引っかかったんだ。けど、止める間もなく最後に茶封筒から出て来たモノが背景に映し出された。

 それは、赤黒い何かを包んだちり紙。見た瞬間、思わず吐きそうになるのを寸でで押し堪えた。

 胃が捩れる様な気持ち悪さを感じたよ。因みに、ちり紙を視た時も頭に文字が浮かんだ【コトリバコ】ってね。

 本気でやばいって思ってたらさ、あの馬鹿兄


「これ、開いて中に何が包まってるか見たいんだけど……良いかな ?  」


 っとか言い出して……その時は、私以外のリスナー(主に女性)たちも何人か具合悪いって言っててさ。流石にリスナ―さんも皆で「やめろ」って止めてたんだよね。


 でさ、そうこう騒いでたらコメントに


「すいません。初見なのですが、凸いいですか ? 」


 って来ててね。常日頃から【来る者拒まず】な兄さんは、二つ返事でその人を凸に上がらせた。

 上がって来たのは高校生位の男性だったと思う。仮にミエル君とでもしておこうかな。(幽霊が視えるミエルくん……安直かな ? )


 ミエル君は少し躊躇ためらいがちに話し出し


「こんばんわ。急にすいません。


 あの、始めて来た枠でこんな事を言ったら変な奴だって思われるの覚悟で話すんですけど……俺、結構霊感っての強い方でして…………自分の守護霊の声が聞こえるんですけどね。

 その……俺の守護霊ってのが、一応神様なんですけど。その神様が


『そのちり紙を開けるな。それ以上は触るんじゃない ! 』


って怒ってて…………それを伝える為に凸に上がらせてもらったんです。

 あの……主さん知らないかもしれないんですが、そのちり紙に包まれてるモノ多分【コトリバコ】の類だと思います」


 ミエル君がそう言った瞬間、私は凄く驚いたよ。だって、私は【コトリバコ】って単語を口に出してはいなかったからね。

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