第3話 クララって何 中編

「あーあー退屈な毎日ねー」

青と白の『アリス像』を基調としつつ、ゴスロリにも属さない見たことのないジャンル。

「遅刻だー!!遅刻だー!!」

ベストにズボン、れっきとした紳士服の至る所に派手すぎる時計のワッペンが貼られている。

「わあ面白い、時計を持ったうさぎだわ!!ついていきましょう」

机の上から飛び降りるアリスの動きに合わせて何重にも重ねられたフリルが一枚一枚軽やかに舞う。


「こんなふざけたお茶会ってないわ!!」

リボンには金色の糸で手芸が施されており、照明に反射して輝いている。

「まあまあ美しいお嬢さん、そうは言わずに一緒に祝おうじゃないか?」

長い足が強調され、スタイリッシュに完成された服を圧倒的な個性の塊で崩す帽子。

「何を祝うの?」

エプロンにはジャラジャラとストラップが付いている。

「誕生日じゃない日と君との出会いさ」

ネクタイを少し緩めているのも全て計算。


「私もうこんな場所イヤよ!!」

レース地のハンカチは涙を拭くには勿体ない。

「女王様の元に行ってごらん。きっとよくしてくれるはずさ」

エロさと可愛らしさと不気味さとユーモラスのバランスが絶妙だ。いかにも猫らしい。


「首を刎ねておしまい!!」

引き締めたコルセットと長く引きずる赤いドレスは『女王様』を全身で表現している。

「はっ」

兵士は迷彩柄のジャケットにイギリス近衛兵の帽子、胸には様々な紋章をつけ、トランプ柄のストッキングを履いている。めちゃくちゃな取り合わせなのに何故かまとまりがある。


「お嬢さん!!大丈夫ですか?」

白い手袋は魅惑だ。

「帽子屋さん!!」

ガーターベルトは魅惑だ。

「ただの帽子屋じゃないよ…」

マッドハッターがアリスを救い、キスをしてアリスinにに中は終わりを迎えた。


「木生さん!!大丈夫ですか?」

私は生まれて初めて鼻血を出して倒れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る