第19話 カムイワッカ
カムイワッカ
北海道には温泉場が幾つもある、函館近辺にも湯の川や鹿部、北海道にはそれら温泉の点在する場所が非常に多い。
まあ別に温泉は気にしないと言う人には関係ない話ではあるが、温泉が好きな人にはあまりにも寄ってみたい場所の多い地域なのかと思うだろう。
その中でも一番俺が行きたい場所がこの温泉、そこは滝なのか川なのか。
名称には滝とあるし見た目も滝と言える、その温泉は最初山登りをしなければならず。
約20分以上岩だらけの崖を上ることになる、下から見上げるとその崖は最初こそ大したことがなさそうに見受けるが。
途中からは本格的な山登りに近くなって行く、何度目だったか一度早朝に行ってみた事が有る。
そこには殆ど上る人などいなかったが、何故か一人だけ前を行く女性がいた。
話してみると…
「一人で来たの?」
「えーと数人で来たんだけど…」
いや見ると彼女一人だけ、まあ俺が来た時にはすでに先を進む姿があったので、一人だと言うのは分かるが警戒されたのかも知れない。
彼女は多分一人で自然を満喫しにでも来ていたんだろう、彼女はこの時ウトロに泊っていると聞いた。
「へー」
「バイクで、大変じゃない?」
「もう10回ぐらい来てるから」
「そうなんだ」
「そっちは家族旅行?」
「そうかも」
若い女性が一人と言う事は無い、でも他に男がいる様子もなかった。
まさか新婚旅行と言う事でもなさそうだが、あまり掘り下げても仕方がないし、俺は温泉に浸かり写真を撮ると早々に切り上げることにした。
ここに来る場合はちゃんと水着を着てその上に短パンとTシャツを着て行くと良い。
男の場合は水着無しでTシャツGパンでも可能だが女性はちゃんと水義を着ていないと温泉には入れないと思う。
自分の容姿に自信が有り他の人に裸を見られても宜しいのならば何も言わないけどね。
滝の一番上、今ではそこから展望台などという場所まで行けるらしいが、当時はそんなものなど無く温泉の滝つぼに入った後は来た道を引き返す。
滝を下るのは上るより注意しなければ足を滑らせてしまう、岩にしこたま体を打ち付けると言うアクシデントに見舞われたくないのであればここは注意した方が良い。
滝を下って駐車場まで行くと彼女の知り合いだと思われる男性が出迎えていた、俺は何もなかったふうを装う。
勿論何もなかったのだが、聞き耳を立てていると待っていた男性はやはり彼氏の様だった。
「なんで勝手に行くんだよ!」
「ごめーん、だって来て見たかったんだモーン」
どうやら彼女は自由な人の様だ、その後どうなったのかは俺には分からないし、皆が幸せでいてくれればそれだけで良い、ただそれだけだ。
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