第15話 ワインディング
ワインディング
日高山脈を十勝清水へと山道を走って行く、途中大型トラックや観光バスに道をふさがれてフラストレーションがたまるが。
それでも本州を走るより北海道の方が気持ちが良いのは何故だろう、多分信号の数と道の広さだと思う。
北海道は片側1車線でも国道ならばかなり広めに作られている、冬場は雪で閉ざされてしまうから雪をよけて置く場所が必要になり、そこが夏には休憩スペースにもなる。
大型バスがゆっくりと山を登るが、俺達はそれを楽々抜いて行く。
大型トラックや大型の観光バスも、後ろに連なる車の列を見て道を譲ってくれる場合がある。
まあそうしないと逆に事故が発生する可能性もあるから、中には無理やり抜かしていくやつもいるし。
俺達も半ば同じような抜かし方をするときもある、一応前を走る車やトラックにはこちらの存在を知らせてから抜くようにしているが。
そうしないとこちらが抜くときに急にハンドルを切らせたり、ブレーキを踏ませたりという予期せぬ行動をさせてしてしまう事が有る。
ここは公道であり道は皆の物、できるだけ迷惑はかけないようにしないと楽しいはずのツーリングも一瞬で最悪な気分へと代わってしまう。
いやいや危ない運転をしておいて今更何を言っているのやらと思われるかもしれないが。
自分を相手に置き換えて考えればさほど危険なことなど出来ないと判るだろう、それでも交通法規に違反していると言われれば反論できないことも有るが。
ちゃんと無事に行って帰って来るそれが一番、そして何年も毎年楽しめる事、それには何処までやるのか何処で辞めるのかという判断が必要になる。
それらは全部経験として積み上げた、だから見られていなければ少しぐらいは大目に見てもらいたい、当時はそう思いながら走っていた。
国道274号線の日高山脈の頂上付近を走る道路を今度は下りのワインディングへと入って行く。
バイクの場合この下りの道で何をするかというと燃費を稼ぐためにニュートラルに入れっぱなしにしたりする。
「俺はそんなことしねーよ」
そういう人もいるだろう、いやほとんどの人がそうだろう、エンジンブレーキを使って下って行く方が安全。
その通りだが、ここまでですでに給油してから60k以上走って来ている、もちろん清水までエンジンブレーキを利かせつつ走って行ってもガソリンは持つだろう。
だがエンジンはどうだろう?バイクによってはあまりクラッチやエンジンに負担を掛けたくない場合もある。
当然のことながらエンジンブレーキを利かせっぱなしにすればアイドリング時の倍以上ガソリンを食うことになる。
しかも北海道の下りは直線も長く、かなりのガソリンを無駄にしてしまうかもしれない。
車でならしない事だが、バイクならここで燃費を稼ぐ事が可能になる。
「それじゃエンジンブレーキ効かない分あぶねーじゃん?」
それはそうだが、北海道の下りはカーブまでの距離が長い、ギヤを2速3速に入れっぱなしにしておくと燃料を倍以上食うしいたるところに負担がかかる。
カーブで減速するまで下りはアクセルをオフにして惰性だけで下って行く。
立ち上がりの部分だけギヤを3速へと入れアクセルをオンにすると、その先の下りで又ニュートラルへとギアをチェンジする。
途中で車がいればうまく抜かしていくし、カーブに差し掛かった時はエンジンブレーキを少し使うが、この行為の理由 実は登りでかなり燃料を食ってしまっている可能性も考えての行為だ、バイクによっては既に予備タンだったりすることもあり得る。
そうなると十勝清水まではスピードを出すのも我慢しなければいけなくなる。
「それじゃ最速なんて無理じゃん」
その通りだがそれだけではない、リッターバイク実は下り坂は苦手だったりする、特に高低差のある下りカーブはフロントに車重がかかりすぎる。
かなりスピードを下げないと前輪が少し滑っただけで転倒する羽目になる。
逆に登りはかなりスピードを上げても制御するのが楽なのだ。
という事はそこまで下りで熱く走るのはリスキーであり燃費も悪くなるのでツーリングと言う性格上いくら最速を狙ったとしても限界が有ろうと言う物。
そう、これはツーリングだ、バイクには普段より荷物を多く積んでいる、その加重もあるのだと知っておこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます