第13話 大沼公園

大沼公園


今は大沼公園辺りから道央自動車道に乗れるようだが、以前は伊達か白老が最初の入口だった。

そのため高速道路を使うより一般道を利用した方が速かったりしたものだ、それに道内の高速道路はGS(ガソリンスタンド)がまだやっていなかったりすることが多かった。

俺が目指す場所はこの頃は摩周湖の展望台にしていた、最速を目指す奴らがゴールを何処にしていたのかは分からないが。

俺にとってはそこが一番分かり易い場所であり、時間的にもなんとか行ける距離だと思っていた。

宿屋はその近辺に探すか又は野宿か、キャンプ場が有ればそこでテントを借りるのも良いだろう。

どちらにしても函館に着いたのは11時と数分、俺は昼飯も摂らずに交差点を右へその先は国道を長万部へと目指してアクセルをオンにする。

天候は曇り一時雨、霧雨のような小さい粒が体中にまとわりつく、気温はさほど低くなかったのでビニール素材のウィンドブレーカーのみ革ジャンの上から羽織って霧雨の対策をする。

この程度で雨カッパを着たりはしない、空気抵抗が大きいのと気温が上がると暑くなるのが気になるから。

ここから長万部までは一般道を走ることになる、北海道の道は本州よりやや広めだ、だからと言って道はそれほど良くはない。

特に雨の日はハイドロプレーニング現象に気を付けないと滑って転倒という可能性が高い。

高速道路と違い一般道は車の往来も多く、特にここ北海道の国道は普段物流で利用される運輸街道でもある。

そして夏場は暑く冬場は寒い、そのため道が凍ってひび割れたりしないように路面にはコールタールの量が多めになっている。

コールタール、道路の作成に使われる接着剤みたいなもの、これに砂や砂利を混ぜて道路の表面に敷き詰める。

コールタールを多目にするのは冬場の路面崩壊を防ぐため、ゴム質の接着成分を多目にしておけば凍った後路面が膨張してもひびが入りにくい。

その代わりコールタールが多いと水はけが悪くなる、そして夏場は熱せられた道路の上をトラックやバスが道路に轍を作って行く。

北海道をバイクや車で旅したことが無いと分からないと思うが、柔らかくなった道路を最大まで荷物を積んだトラックが通れば、道はどんどん歪んで行く。

そこに雨が降るとその轍に雨が溜まり、長い2本の水たまりが道路上に出来上がる。

それはドライバーにとっては危険であり、特にライダーにとっては命取りにもなりえる、雨が降っている限りドライバーやライダーの運転操作を極端にシビアにさせる。


雨の北道道、100k以上のスピードで走れる奴はそうはいない、いつ滑って転げてしまうのか分からないから。

だが今回の目的はレースまがいのツーリング、誰よりも早く走り抜くには一般道でそのぐらい出せなければ時間などどんどん過ぎて行く。

俺もこの時は雨がそれほどひどくなかったので、かなりのスピードを出していたが。

単純に雨がひどくならない事だけがどれだけ幸運だったと思えるのかは、何度もここへ来てみなければ分からないと言える。

ちなみに追い越し禁止でなければ全て追い抜いて行く、トラックもバスも数えきれないぐらい全部追い抜く、ちろん制限速度は国道の場合50k制限だ。

だから捕まればどうなるのか、くらいは分かるだろう。

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