第10話 国見SA

国見SA


上河内からは平均スピードも上がる為、100k沖に給油することになった。

ここいら辺りからは道もどんどん空いてくる、周りのバイクとバトルすることもだんだんなくなって行く。

皆どこかで休んでいるのか、このレースまがいのツーリング 結果としてそれほど差は出ない。

その理由は船に乗る時間が決まっているから。

真夜中に出れば青森に着くのは早くても6時間後になり、これはほぼ変わらない。

「いやいや俺は4時間で行けるぜ」

という方がいても変わらない、何故なら1時もしくは2時か3時の船にはどう考えても乗れるわけがない、新幹線より早く青森についても船便の時刻は決まっている。

だから自分がフェリー乗り場に何時に着けるか、そこが重要なわけ。

現在ならば5時20分の船がギリ乗れる船で、次の便は7時40分夜中の12時に出ればこの2つの便が、俺達が乗ることのできる可能性がある最短の船。

これより遅ければいくらでもあるので別に急がないのであれば9時以降の船にすればいい、だが半ば競争しながらのツーリング、できれば目の前を行くバイクより先の船に乗りたいと思うのがスピードジャンキー達の思考だろう。

そしてフェリーに乗るためには1時間早く到着し搭乗申請をしないといけないと言うルールが有ったりする。

「え~ じゃあ5時20分の船に乗るんじゃ4時20分、いや4時半までについてねーといけないんかい?」

その通り、まあそこから函館までは船で4時間かかるので、疲れた体はそこで癒すことになるが。

この時間割、昔はもっとずれていた、確か5時と7時ぐらいだった気がする。

と言う事は今より早くつかないといけなかった、当然のことながら俺は7時の船を選択する。

それでも強行軍になるのだが、昔はそれだけ気合が入ったライダーが何人もいたのだ。


国見SAまでで大体3時間、距離も約半分の340k。

問題なのはこの先だ、道はどんどん空いてくるのだが山道に入って行く為居眠りなんてしようものなら即地獄行きは免れない。

ちなみにここまでくると大抵のライダーはライダーズハイになっていたりする。

まあ天気が良ければ万々歳だが、山間部の高速道に入ると時には雨が降っていたりする。

バイクのエンジンにはこの天候は恵みの雨だが、ライダーにとっては最悪の雨、雨カッパを着るかそれともそのまま行くかはライダーの気質に寄る所だろう。

俺は迷わずそのまま走る事を選択する、長い東北道 夏場は特に通り雨の場合が多く、50kも進めば雨も止んでいたりする、もちろんスピードは殆ど緩めない。

「雨で滑っちゃわないのか?」

ハイドロプレーイングという現象を聞いた事が有れば、なかなかよく調べているライダーだと思う。

確か教習所でも一応教えてくれるだろう、普通の道を走っていると普段そういう状況になることは殆ど無い。

今の道路は水吐けがよくできている為、その現象が出る雨にはそれほど出くわさない。

高速道路上ではね、だが注意しなければいけないのは何も雨だけではない。

よく事故があった場所など砂が撒いてあったりするよね、あれはオイルがまき散らされていたりした場所だったりする。

バイクの場合真ん中を通るのであまり注意しないが、車が事故った場合ほとんど端の方へ行ってから止まる、そして左側か右側にオイルを撒き漏らす。

雨の日はそういう部分が見えにくい、特に夜なんて尚更だ。

そういう時の巡行スピードは急に変えない、そしてブレーキの使用も極力避ける。

まあ高速道路でブレーキかけるのは覆面パトカーかもしくは事故や渋滞の前に差し掛かった時だけだから田舎の高速道路ではあまりないことだが、道路状況というのは天候次第で変わると言うのも覚えておく方が良いだろう。

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