第9話 安達太良SA

安達太良SA


上河内を出るとさすがに慣れて来るのかスピードが上がって行く、周りもどんどんスピードアップする、俺はそこまで出さないが中にはとんでもないスピードで走って行くやつもいる。

これは聞いた話だが、オービスを全部光らせて来たと豪語したやつが居た。

※オービス:自動速度取り締まり装置

高速道路にはいくつかのオービスが設置してある、昔はこの数もそれほど多くなく、しかも高性能では無かった。

それゆえバイクでかなりのスピードで走り抜ければ光っても大丈夫という話は聞いていた。

今はハイテクになりオービスも前後写真を撮る方式に変更されている。

まあオービスの設置してある場所は事前に設置区画だと標識に表示されているので、その区間だけでもスピードを緩めれば後でお縄に着く事は無いと思うが。

それを邪道だ、緩い、俺は気にしない、などというやつが過去に何人もいた時代の話なので。

今はそれら難所を覚えて置けばそれほど捕まらないと思う。

オービス対応はそれでよいとして、覆面パトカーに出会ったならば、スピードを落とすかそれともバトルするのかの選択は自由、その代わり捕まれば免許取り消しは確実になるだろう。


ここまでくるとどんどんライダーもまばらになって行く、ちなみに夏前であればさほど気にならない、7月7日の東北道、その年によっては結構暑いときもある。

ここで気になるのがエンジン、まあℓバイクをちゃんと整備して来ればさほど気にする事は無い。

それでも古いバイクで行くと言うやつは整備がどれだけ重要か後でわかるだろう、年数を経ていればバイクのパーツはどんどんヘタッて来る物だ、特に電装系統やゴムシール類。

これらはちゃんとチェックして置くとい良い、特にヒューズなんかは予備があるか見ておくことをお勧めする。

それともう一つ、これは相当古くそして距離を乗ったバイクの話だが、バイクにはピストンリングというやつがピストンに付いている。

これが乗っているとどんどんすり減って行く、何が言いたいかというとそのリングがすり減るためにオイルが燃焼室まで入ってきてしまうのだ。

経験者なら分かるが、4サイクルエンジンと言うのは排気ガスにほとんど色が着いていない。

2サイクルエンジンやディーゼルエンジンならばあの黒い煙や白い煙がマフラーから後方に吐き出されるが。

通常4サイクルエンジンのマフラーから煙は出ないはずなのだ。

だがピストンを含め金属部品がすり減ると潤滑オイルが燃焼室内に入り込みガソリンと一緒に燃えてしまう。

特にスピードを出すために高回転まで回せばオイルも気化しやすくなるのでこの状況が出やすくなる。

エンジンオイルにはいくつかのランクや温度設定などがある、俺も昔は季節でよくエンジンオイルを変えていたりした。

今後は多分GSやバイク屋でオイル交換してもらう事になるだろう、自分でやるのは面倒だしいちいち交換したオイルを廃棄する為にGSまで持って行かないといけなくなる。


本題にもどろう、そのエンジンオイル高速でスピードを出し長時間走るとガソリンと共に燃えてしまいどんどん少なくなって行く。

これはバイクの走行距離や車種でまちまちだが、おおむねオイルは減って行くだろう。

そしてついに赤ランプ、オイル警告灯というやつが点滅し始める。

この先どうするか?そのまま気にせずハイスピードで走り続けると、最後にやって来るのはピストンの焼き付き、そしてツーリングの終了。

エンジンもピストンも合金製ではあるが、殆どがアルミニウム合金であり。

1円玉と同じような材質できている、これは軽く加工しやすいと言う利点があるが、その反面熱による融解が鉄より早い。

だから他の金属を混ぜてそこいら辺を熱耐性にも強くしているのだが、それも或る程度条件がいい場合の話。

夏の炎天下にさらされた道路上、しかも南風で無風というような条件が重なるとエンジン温度は否応なく上昇して行き。

さらに100k+アルファというハイスピードで走り続ければどうなるか?

整備の悪さも重なれば途中でエンジンが動かなくなると言うアクシデントに見舞われる。

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