第7話 超高速

超高速


速さを競った1980年から1990年、峠小僧から卒業して高速道路へと。

別にスピード狂などというような人種ではなく、一度抜かすと抜かされたくないと言う気持ちが働いてしまうただそれだけだ。

一般道でも高速道路でも、いつの間にか休憩を取るのが億劫になってくる。

だが高速道路のサービスエリアにはGS(ガソリンスタンド)と言う物が有り、おおよそ50k沖にそのGS給油所がある。

バイクは今でもガソリンで走るものだ、あと何年かすると全部EVに代わるかもしれないが、多分バイクは残るだろう但しガソリンに代わる燃料があるかどうかがカギになる。

CO2を出さずに走ることができる燃料ができれば一番良いのだが…


皆はちゃんと燃費と言う物を測っているだろうか?ちなみにカタログの諸現表に書かれている燃費は当てにならない。

400cc以上のバイクなら100k出すとほぼリッター30k以下になる。

俺のV4はリッター13が最高で北海道へのツーリング時は大体リッター8から9だった。

勿論スピードは常に120kを超えている計算だから燃費は良くない。

バイクには燃料タンクと言う物が付いておりここにガソリンを摘んで走る、これは車でも同じなのだが、車には50ℓぐらいのガソリンを積むことができるがバイクの場合多くて20ℓ少ないと10ℓぐらいしか入れられない。

目の前の車をガチで全て追い抜いて行くモンスターバイクであっても満タンで200kまでは走れない、スピードを出せば出すほど燃費は悪くなる。

平均時速50k~60kというのが一番燃費が良いスピードだったりするのはどのバイクも車も同じ事。

250ccで行こうが1200ccで走ろうがそこから先はどんどん燃費が悪くなって行く。


東北自動車道は小菅ジャンクションから先青森の出口までで約700kある。

それを150kで割ると4から5回ガソリンを入れると言う事、100k巡行であれば逆に3回ぐらいで済むかもしれないのだが。

仲間内で何台か連ねて行くのなら何処まで行って、何キロでSA(サービスエリア)でガソリンを入れるのかちゃんと決めておくのがあたりまえ。

勿論ソロツーリングならば自分のバイクに何ℓガソリンが入って、何キロ走るとどのくらいガソリンを消費するのかぐらい覚えておくのは当然だ。

と言う事はバイクを買ってすぐに長距離のツーリングなんて言語道断であり、初心者ならば尚更無理だと言っておく。

最低でも数か月、手に入れたバイクがどのくらい走るのか、自分の体が何時間の走行に耐えられるのかぐらいは覚えておくようにした方が良い。

ちなみに俺が過去出した事が有るスピードは法定速度の2倍まで、実際には誤差があるのでそこまで出たかどうかは定かではない。

俺が手に入れたV4のバイクは直進性に優れているはずなのだが、車体の剛性がいまいちで、走っていると130+アルファ辺りからヨーイングという現象が出て来る。

これはロングホイールベースのバイクによく見られる現象、100kちょっとならばそんな現象は出ないが、そこを超えて行くと路面の状況や受ける風の影響そしてタイヤの微妙な歪みなどでハンドルがだんだんブレて来る。

それを押さえる為のステアリングダンパーだったが、それを取り付けていても高速になれば必ずハンドルが震えだす。

だから最高速を出すためにはいくつもの改造や整備、それに自然環境(無風及び天気)や道路状況の判断が不可欠になる。

俺がそのスピードを出したのは1回だけ、もちろん北海道へ行く時の高速道路ではなく帰りの高速道路だ、行でトラブルが起こったなら間違いなくその年のツーリングは最悪事故って終わることになる、思い出どころの話じゃない。

帰りの東北道では最高速のスピードメーターを見たのも一瞬の事だ。

危なくてずっとメーターだけを見るなんて事は無い、今の奴らなら最高速出しながらスマホをいじるようなやつが居そうだが。

スマホのカメラで映しながら走るなどというやつが居たとしたら、そいつは常に三途の川の流れに乗っているようなものだ。

そしてスピードメーターを撮りながら悦に入ってSNSに映像を上げようものなら、それが証拠となって別な場所へと捕まることになる、余分な税金を払うのが好きならば自由にやってくれてもかまわないが、一歩間違えば悲しむ人が沢山出るのだと覚えておいてくれ。

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