第6話 首都高

首都高


ブロロロロー

矢継ぎ早にギアをトップの6速へと上げて行く、最初から飛ばすと分岐でどこか別なところへ行ってしまいそうになるので、首都高で出すスピードはせいぜいメーター読みで120kが良いところ。

実はメーター読みは10k前後の誤差がある、100kで5k前後120kだと10k160kを超えると20kぐらいの誤差が出ていたりする。

これは機種にもよって違うが、タイヤも新品の時と半分以上使った時とでは回転数が違ってくる。

まあそれほど気にしなくても良いが、スピード違反で捕まった時は絶対にこの誤差を主張しなければ免停か免取かの狭間で痛い決断を強いられてしまう事になる。


夜の高速道路は運送会社のトラックが多い、しかも全体的に飛ばしている車が多いので、それらをうまく躱して常に前へ前へとバイクを操って行く。

夜の走り方、注意するのはカーブとバックミラー、人によってはもっとあるだろうが。

特に首都高のコーナーは場所によってはバンク角が付いていたりするので、ハンドルとスピードに注意しないとイン側に切れ込んで行くときがある、それに首都高速は町の上空を走るためアップダウンにも気を付けなければいけない。

後ろに注意するのは覆面PCがいた場合、よく覆面に捕まるやつはバックミラーを見ていない奴が多い。

覆面PC、俺でもスピードを出す馬鹿を捕まえるのならばそこで待つと思う。

走行車線のトラックとトラックの間で待つ覆面PC、そこに右の追い越し車線を猛スピードで駆け抜けるバイクや車が居たら、するすると追い越し車線へ出て後を追いかけていく。

おかしいだろ?今まで100kで走っていたやつが、いきなり150kのスピードジャンキーの後ろを付いて来るのは。

まあその前に覆面PCの見分け方というのがある、それはトラックやバイクからなら分かり易い。

「そんなのあるのか?」

あるんだよ、まず昼間ならすぐにわかる、運転席に座る青色と白のラインの制服は交通機動隊の制服だ(TVでよく見る奴)、そして車に乗っているのに白いヘルメット(ジェットヘル)をかぶっている。

普通のドライバーで高速道路でもヘルメットをかぶっているやつなどほぼいない。

それが交通機動隊の制服であり、事故った場合の安全を考えた装備、レース場ではドライバーもヘルメットをかぶっているだろうそれと同じことだ。

走行車線で走る車を追い越し車線から抜かす時、磨き立ての綺麗な車体で制限速度でちんたら走っているやつ、しかも若葉マークも高齢者マークも無かった場合、それが普通の事だと考えているのならスピードを出すのは辞めた方が良い。

そして決定的なのは車の屋根に刻まれた四角い凹み、それはあの赤い回転灯の場所だ。

追いかける際にはクルッと回転しサイレンを鳴らしてくる、そして…

「前のバイクナンバー○○○○のオートバイ、左によって止まりなさい!」

こう言われたらアウト!

その時に出ていたスピードが160kを超えていたら免許取り消しかはたまた交通裁判所に出頭するのか、面倒事から免れる事は出来ない。

勿論前歴が有ったらかわいそうだが免許証は即取り消しになる事だろう、ちなみに俺はそこまでの経験をした事は無いが。

出来るならそんな面倒な苦労は避けておいた方が良い、昔よりそういう取り締まりは厳しくなっているのだから。

人によってはナンバープレートでも覆面PCを見分けられると言う人もいるだろうが、俺が分かるのはこのぐらいか、特に夜は車の中までは見えにくいので屋根のへこみで判断するのが一番分かり易いのではないだろうか。

まあバックミラーで後ろを付いてくる車に要注意していれば早い段階で覆面PCを躱すことができるだろう。

だがスピードを落とすにも限界と言う物がるので、無事に帰って来たいのならば出しても+30kぐらいにしておく方が良いだろう。

まさか180k超えからブレーキかけて100kまで減速なんてレーサーでもやって無い限り難しい、減速できる範囲内で走ることをお勧めする。


首都高速はC線とかB線とか湾岸線とかに分かれており、田舎者には分かりにくい道でもある。

しかも一度間違うととんでもない方へと進んでしまい、戻って来るのに1時間近く無駄にする可能性もある。

今は東北道から常磐道へ抜けるバイパスや関越道や東日本自動車道とか言う道もあるので、本線へと復帰するのも難しくはなくなってきたが、できればそれらの進行方向の目印は覚えておく方が良いだろう。

だから俺はタンクバックにA4の用紙に印刷した高速道路の早見表を入れておくようにしている。

「買った地図入れておけばいいじゃんか」

そう思うだろうが、タンクバックの一番上はそこまで大きなものは表示できない。

それにできるだけ要約した地図でなければいちいちページを開かないといけなかったりする。

今ならスマホで何とかなりそうだが、山の上はスマホの電波が届かないって言うのは知っているだろうか?それに100k超えたスピードでスマホをいじくるのは辞めておいた方が無難だ。

そのちょっとした操作で何メートルもバイクは進むのだ、いきなり目の前でハザードランプが出て居たらどうする?はっきり言っておこう、バイクでスマホの地図機能を当てにするのは止めておいた方が良い。

それよりも次のサービスエリアの名前や分岐の場所名を憶えて置く方がよっぽどましだ、それだけで良いスマホはタンクバックかウエストバックに入れて、できれば次のサービスエリアまで電源を切っておくことをお勧めする。

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