Ep.2
午後6時27分。
購買で買った新しいメノアスーツを着た
門の前に立つ瞬間、ヒカリが背後から何者かに襲われかけた。ヒカリのこめかみに冷たい汗がつたってくる。
誰も立っていなかったはずの背後を甘露子が守りに入ったため傷ひとつ負わずに済んだ。
甘露子とヒカリは互いに背中を預けながらレーザーピストルを構えた。
刹那、ヒュウッという音を聴いた。
「「上空からだ!」」
真っ暗な空から、ネオンに照らされた黒光りの悪の組織のうちのひとりが宙返りしながら降下してきている。
その距離、20メートル。
レーザー銃で狙い、乱れ打ちして敵が倒れるのを2人は待った。
――ドサリ。
黒ずくめのダイバースーツを着た、見た目歳若い男に、2人は近寄る。
トドメをさす為に。
にじりよってみると、意外なことにヒカリが気付き、目をみはった。
「
「ヒカリの知り合い?」
「知り合いも何も、この子はあたしの弟の藤九郎だよ! いったいどうしてこんなことに」
「大変、救急班に連絡入れないと」
間もなく、ヒカリの弟である藤九郎は救急班によって学園内の集中治療室に運ばれた。
甘露子とヒカリは再び背中を預け合った。
2人を囲うように、次なる敵が現れる。その接近スピードが凄まじく、甘露子とヒカリは戦術を銃撃戦から武闘戦に即時変更した。
所謂、接近戦である。
メノアスーツから粒子粘液を放出して敵の足場を悪くし、転倒を狙ったが遅く、甘露子は頭部を殴られそうになるが、即時に避けた。
今度は甘露子が再度粒子粘液を網状に放出し、本日1人目の敵を拘束してから顎を狙って拳を突き上げ、左足を軸足にして蹴っ飛ばした。
一方、ヒカリもメノアスーツを着ているために打撃を受けても影響は少なく、相手の拳を避けながら左右に拳を突き出した。
敵が頭部に集中し出した頃合を見計らって腹部を力ずくで殴り倒した。
流れ動作で手指の先から粒子粘液を出して拘束して蹴り飛ばした。
その後も次々と襲来する敵ひとりひとりを似たような戦法で倒していき、朝を迎える頃には全滅させてから次のユニットと交代した。
ヒカリに藤九郎が意識を取り戻したという連絡が入ったのはそれから2時間後のことだった。
救急室にて藤九郎と再会したヒカリは、弟を悪の組織から去って一緒に戦わないかと説得する。
「内心、組織を離れようか迷っていたんだけど、姉さんと一緒の学校に通えるなら、僕もそっちの世界に行きたいよ」
それが藤九郎の本心なのだと、姉のヒカリにはすぐにわかった。
「じゃあ、あたしが学長に推薦状を書くから、あんたはしばらくあたしの部屋に泊まっていなさい」
「良いの?」
「もちろん」
藤九郎の目から闇が消え、きらめく。
純粋無垢な瞳に戻った弟の瞼に、ヒカリは軽くキスした。
「ケガとか病気は?」
「病気はしてないし、ケガは治りかけてる」
「じゃあ、治ったらあたしを呼ぶように担当の看護師に伝えとくね」
「ありがとう、姉さん」
ヒカリは救急室を出て自分の部屋に戻り、早速推薦状を書いた。
ヒカリが書いた推薦状は学長に届き、藤九郎はめでたくヒカリと同じ大学の入学が叶う。
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