第16話

 アイテムを使用した場合予めここへ転移するように設定がしてあり、速やかに城内へ緊急アラームが鳴るようになっている。

 そのアラームを聞きつけた騎士達が部屋に到着、聖女とビーチェは速やかに保護された。

 2人の回復を待って数日後、皇帝オーレリアンは2人から事情を聴く事に。

 この場にはオーレリアンのほか、長男で次期皇帝でもあるエトムント・リーネルトも。


 他にも帝国の主だった重鎮が軒並み顔を揃える程。

 聖女とビーチェが謁見の間へ入り、皇帝以下皇族が入室を果たすと謁見が始まる。

「2人とも、よく戻ってくれた。」

 そう皇帝が言う。

 そして聖女が、

「お力になれず申し訳ございません。恥ずかしながら2人で逃げかえってまいりました。」

 その後、聖女は皇帝に対し事の顛末を伝える。

「じゃあ、勇者達はまだダンジョンに居るって事か?」

 と、次期皇帝のエムルントが聞く。

「はい。そして今回荷物運びのリュークさんと魔術師のレーツェルさんは勇者が無理やりリビングアーマーの兜をかぶせた事により、おそらく自分の意思とは関係なく勇者様達と戦闘に。その後は分かりません。」

 そう言う聖女だったが其処にビーチェが補足を。

「恐れながら申し上げます。私が見た所、勇者様はリューク殿とレーツェル殿の首を一度刎ねています。ですが『一寸待て!』」

 皇帝がすかさす間に入る。

「それはどういう事だ?つまり、リュークとその・・・レーツェルが死んだという事なのか?」

 わなわなと震え、見るからに顔が青ざめる皇帝。

「あ、あの、死んではおりません。その後何事もなかったかのようにその・・・・頭を元の位置へつけておりましたから。恐らくはリビングアーマーではなく、デュラハンだったのではないかと。」

「何!デュラハンだと!」

 驚いたのは長男エムルント。

 何故ならば、デュラハンは最高レベルの魔物で単独でもSランク。

 ドラゴンに匹敵する強さ。

 それが2体。

「で、どうなったのだ、2人は。」

 皇帝が震える声で尋ねる。

「その、ダンジョンの途中に大穴があるのですけれど、そこに誘導していたようなので、勇者様の作戦が実行され成功した場合、恐らく2人は大穴に落とされたのではないかと。」

 そうビーチェが説明したがエムルントが、

「くそが!皇族の面汚しめ!何であんなのが勇者なんだ!それにイディオもイディオだ!勇者と一緒に悪さをしやがって!」

 そう言い放った。

 そんな事情を知らない2人は狼狽える。

 そんな中、1人の女性が声をかける。

「聖女様、ビーチェさん初めまして。私は皇太子である父エルムントが娘、エルヴィーラと申します。以後お見知りおきを。」

 そう言うエルヴィーラは現在13歳。

「初めまして。アルフォンシーナと申します。」

 そう返す聖女。

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