第14話

 べつに仕留める必要はない・・・・向かうか。

 仕留めるのが難しいと判断、勇者は考えた末、1つの選択をする。

 ここはあれだ、あれをあれしてあれしかない!

 勇者はイディオと共に移動を開始する。

 で・・・・やっと到着したぜ!

 そう思うとしょんべんしたくなるんだなあこれが!

 そう思う勇者だが、こればかりは仕方がない。

 何故なら・・・・もっぱらこの大穴はダンジョン攻略中の冒険者にとって、貴重なゴミ捨て場であり、トイレであるからなのだ。

 男ならその辺で立ちションもありなのだろうが、後々汚物の臭いに魔物が引き寄せられる、衛生的に悪い、汚い、で余りよろしくない。


 一説によるとダンジョン内で発生した魔物や冒険者のなれの果て、その他落下物やゴミ等元々ダンジョンに無かったものは一定の時間・・・・数時間から数日と差があるらしいが・・・・いつの間にか全て消えるらしい。


 死体等は、他の魔物が食べたと考えられない事も無いが、地上で冒険者が残した装備やゴミは放っておけば通常消えてしまわないが、ダンジョンではこれも全て消えるらしい。


 何故らしい、なのか。

 それは以前冒険者が何日も張り付いて魔物の死体や装備品を床に放置し離れた所から消えるのを待つ、という事をしたらしいが、消えなかったらしい。


 その後物資が底を尽き、一度地上へ戻り補充をした後に戻ってみると全て消えていた。


 こういった情報は各地で寄せられており、冒険者の常識としてダンジョン内で発生した遺物は数時間後から数日で消える、という事は皆知っている事らしい。


 逆に言うと数時間はその場に残ってしまうため、排せつ物の処理は慎重にしないといけない。


 そこで大穴の存在。

 場所によっては視界を遮るように入り込んでいる個所もあり、大をする時や女性がお花を摘む時に好評らしく、もっぱら便所替わりとなっている。


 だが今回、勇者はここに鎧姿の人間?魔物?と戦いながらやってきており、用を足すという事は物理的に無理。


 そして勇者は、このデュラハン?と戦いながら考え、首を刎ねても動く相手に対し、倒すのは無理と判断、倒せないならばここに突き落としてしまおう、と。


 実際大穴の下がどうなっているのか勇者は知らない。


 ひょっとしたら現在地よりもっと下層へ向かえば底に辿り着くのかもしれないが、勇者はここのダンジョン最下層に辿り着いた事が無い。


 それより未だこのダンジョンは踏破されておらず、最下層がいくつなのかどうなっているのかは誰も分からないのである。


 ひょっとしたら既に誰か一度は辿り着いているのかもしれないが、そういった冒険者が帰還したという記録が無いので、もし辿り着いていても全員死んでいるので真相は分からないまま。


 そして勇者が現在相手をしているリューク?デュラハン。

 よく分からないがこいつに装備を奪われており、どうやって装備を奪われたのかは皆目見当がつかない。

 なので不用意に攻撃を当てられない。


 何より持っている武器は予備の物。


「イディオ、ボチボチこいつ等をあの大穴に突き落とすぞ!」


「おいおい勇者よ!そうは言ってもこいつ隙が無いぞ!防戦一方だ。どうするんだ?」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る