第6話

 僕はもう一つの方を集めています。

 でも・・・・何だろうこの違和感。

 今までダンジョンでは魔物が倒れたらこんな風にアイテムドロップしなかったのに。


 倒した魔物は基本その場で解体。

 素材を取った後は、外なら地面に埋めるか焼くか、ダンジョンなら30分もしたら何処かへ消えてしまう。

 でもこの鎧はもう倒れてから1時間は経っているよね。

 なのに何でまだここにあるのだろう?


「レーツェルさん、どうしてこの鎧は消えないまま残っているんでしょうね?」


「あらリュークは知らないの?ここはボス部屋、ボス部屋は扉があるタイプとないタイプがあるけれど、ここはないタイプね。ボス部屋で倒した魔物は次のボスが出るまで残るのよ。」


「成程そうでしたか。僕、ダンジョンは初めてだったので知りませんでした。レーツェルさんは流石宮廷魔術師だけあって詳しいですね!」


「ほ・・・・褒めた所で何も出ないわよ!それにわら・・・・わたしは見習いよ!」

 何だか照れている表情のレーツェルさん。


 時々左手に嵌めている腕輪を弄っているみたいだけど、そんな仕草が可愛いと思ってしまう。


「レーツェルさんってその腕輪よく弄っていますよね。お気に入りなんですか?」


 どうやらレーツェルさんは腕輪を無意識に弄っていたみたいで、

「えっ!えー違うわよ。これは・・・・皇帝陛下より貸し出された貴重なマジックアイテムなのよ。いつもはして無いからついつい気になって触ってしまうのよね。」


 彼女の左手にはまっている腕輪。

 よく分からない素材・・・・鉄とかじゃあない・・・・あれはひょっとして噂に聞くミスリルという奴だろうか・・・・


「へー、なんだか不思議な感じのする腕輪ですね。少し見せてもらってもよいですか?」


 そう言ってレーツェルさんの腕輪をよく見ようとしたんだけど・・・・

「駄目!」

 と言って叩かれてしまった。

「あ・・・・ごめんリューク、これは皇帝陛下より賜った大事な腕輪。申し訳ないけれど誰にも触れさせる訳にはいかないのよ。」


「あ・・・・その・・・・こちらこそごめんなさい。」

「いいのよ、こちらこそ叩いてごめんね。」


「うん・・・・それより、殆んど鎧を回収しましたよ。損傷してるみたいですが、頭から胴、腕、脚、全部揃っていそうですね。気になるのは完全な鎧で、中が空洞なんですよね・・・・動いていたのに。」


「たぶんそれはリビングアーマーね。ただこの女性タイプが気になるけれど、ひょっとしてデュラハンなのかしら。」


 どちらにしても高位の魔物。ひょっとしたらアンデット?どうやらあまり討伐情報もないみたいで・・・・つまり情報があまりないんだよね、鎧姿の魔物って。





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