第3話|最初の敵☆バロックパール

 公園に着くと、嫌な雰囲気を身に纏った、とても身体の大きい狸のようなものが居た。その怪物はぶつぶつと何かを呟いており、その容姿と相まってとても不気味だ。

「そう、あれが最初の敵、バロックパールだよ……! とっても強いから気をつけてね!」

 確かに強そうだ、一人納得をしながらも何をすれば良いのか分からない。ダリアを見つめ説明を促す。数刻見つめていると漸く理解し説明を始めた。

「まず変身……はしなくていっか、してるもんね。ステッキにパワーを溜めて戦うんだけど、溜める方法が回避と攻撃なんだ。現時点で出来る攻撃は無いから、取り敢えず避け続けてね」

 そんな事言われても……、絶望していると最初の攻撃がとんできた。とっても大きい尖った爪で切り裂かれそうになり、すんでの所で回避する。私は元々運動神経が良いわけでは無いから、これも変身の力だろうか。

 そういえば、とステッキに目をやると赤色の大小様々な宝石が少し光っている。これが全部光ればステッキにパワーが溜まった、という事だろうか。

 そんな事を考えている内に、また爪が私を切り裂こうとする。先程よりははやく避ける。これに当たってしまえば即死だろうと思うくらい強い攻撃。ここで気付いたのだが、この服、かなり軽い。普通のロリィタだとそもそもの服の生地やらフリルやらでかなり重いはず。この服は特別仕様なのだろうか。

 ……!

 今回は切り裂かれるのでは無く、投げ飛ばされるような攻撃。ぎりぎりで受け身をとれた為致命傷は負わなかったが、服は所々破れ土埃が被り、口には砂が入ってきた。

 そんな状態でも、怪物が近付いてくる気配。立ち上がり、怪物に近付いて足をステッキで殴る。怪物は痛くも痒くもない様子だったが、ステッキがまた光った。

 五種類の宝石の内、既に四種類の宝石が光っている。後は、黒色の宝石を光らせれば……!

 そんな時、拳が飛んできた。吹き飛ばされ、そこに近付いてきた怪物に切り裂かれる。なんとか転がって避けた為爪は掠るだけに留まったが、それでも腕からは真っ赤な血が零れ落ちる。

 そんな時、ダリアの声が耳に劈く。

「ステッキにパワーが溜まった! 今だ! ステッキをバロックパールに向けて絶望、ホープダイヤって!」

 ああ、そういえばそんな名前だったな。またそれ言わなきゃいけないんだ。これで漸く倒せる……!

 色んな感情がゴチャ混ぜになって、一瞬自分でも訳が分からなくなる。少ししてから当初の目的を思い出し怪物に向かって叫ぶ。喉が痛い。すると怪物は白い光に包まれて消え、ことんと何処からか落ちてきた真っ白な丸い宝石のみが残った。

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