第4話|絶望魔法少女!
腕からの出血が止まらずダリアに応急処置をして貰っている時。
「凄いよ、沙羅! あのバロックパールを倒すなんて!」
ダリアに凄い凄いと褒められた。生死を彷徨いながら、これまで出したことも無い程大きな声を出した為喉が潰れてしまったのか掠れた声と空気しか吐けず、ありがとう、と口を動かす。
「これまでバロックパールと戦った子は殆どやられてしまっていたんだ……、倒せたのは君が初だよ!」
やられた、とは。聞いてみたい気持ちもあるが、怖くて聞くのはやめた。声も出ないし。凄い、と言われ嫌な気はしないが、もうやりたくない。
処置が終わって、ダリアが少し離れてから怪我の無い右手で地面に字を書いた。
“もうやめたい”
するとダリアは人が変わったかの様な恐ろしい形相で私を睨んだ。
「何、言ってるの? 君は選ばれた特別な子なんだよ? やめるなんて許さない、絶対に続けて貰うから」
その形相と話に怖気づき、逃げ出そうとするがつい先程腕からは出血、他のところもかすり傷が多く出来てしまった為逃げることは許されず、ただ金縛りに遭ったかのように其処に留まるしか出来なかった。
きゅっと口を結び涙が溢れてしまわぬよう堪えていると不意に手が伸びてきた。その手はそのまま私の頭に伸び、ふわりと優しく撫でる。その手の主は言わずもがなダリアで、先程とのギャップに思わず恐怖する。
「……ごめんね、沙羅。君は特別だから、つい。でも、続けてもらえないと困るんだ。君なら続けてくれるよね?」
先程とは違い優しく諭す様な口調。そんなに言われてももう続けたく無いが、根がお人好しな私は困るやお願いという言葉に弱く、気づけば勝手に、脳と口が別々になってしまったかのように分かったと口を動かしてしまっていた。
……なんだかダリアに言わされた感じがするが、私はもうこの魔法少女をやめることは出来ないのだろう。それは何時までか分からない。私が大怪我でもして役に立たなくなった時か、はたまた一生か。終わりが分からない魔法少女という道を、私はただひたすら歩き続けるしか無いのだ。例えどれほどボロボロになったとしても、私はみんなを守る為に戦い続ける。
――何故こんな平々凡々な私が選ばれたのか。それは偶然か、必然か。答えはにやりと笑ったダリアだけが知っている。
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