第2話|私が魔法少女!?
「は?」
余りにも唐突な願いに思わず素っ頓狂な声が出る。自分でも吃驚する程低い声。その声に若干怯えの色を見せつつダリアは話を続けた。
「これまで魔法少女は何人か居たんだけど、“諸事情”でやめちゃって……。君には魔法少女の素質があると思うんだ、だから何卒!」
こちらに近付き、腰を曲げ手を伸ばしてくる。流れでなんとなく手を握るとダリアはバッと顔をあげ、キラキラとした瞳で私の目を見つめる。
「え、良いの!? ありがとう、大好き!」
何を勘違いしたかそのように言って喜び、ぴょんぴょんと跳ね回る。未だ決めたわけでは無いからいや、ちがう、なんて言ってみても聞こえていないか、或いはその振りか無視をする。
(話を聞かない子だな……)
心のなかで悪態をつきつつ、これからどのようなことが起こるのだろうと楽しみにする自分も確かに居た。
――一頻り喜んでから、ダリアはきらきらとした棒状の物を渡してきた。曰くこれがステッキなんだとか。
三十センチ程の、嫌にきらきらしたステッキ。至るところに宝石が散らばり、その種類は様々。ステッキの先には大きなダリアが付いていて、中心には宇宙が閉じ込められたのかと思わせる程美しく、透け感のある青の綺羅びやかな宝石が。本当に凄く綺麗で、暫く見惚れてしまった。
「……あぁ、それ。それはホープダイヤっていうの、凄い綺麗でしょ?」
こくこく、勢いよく頷くとダリアはくすっと笑い、じゃあ一回変身してみよ! ととても魅力的な提案をした。
「変身、してみたい……!」
「分かった、じゃあステッキを上にあげて“絶望★ホープダイヤ!”って叫んでみて」
言われた通りにしてみると、直後謎の光に包まれた。
――気がつくと、衣装も、髪も、全部が自分のものでは無いみたいに変わっていた。ダサい制服はフリル沢山、リボン沢山の所謂ロリィタと呼ばれる様な服になって、ストレートで鎖骨上辺りの黒髪はゆるく巻かれ、高い位置でツインテール、終いには自慢でもあった濡羽色の髪が青色に近くなっていた。
あの宝石がモチーフなのだろう、胸元には宝石のレプリカがあって、全体的に青で纏められている。普段は着ない様な系統だけど、とっても可愛くてふわりと一周してみると、同時にスカートもふわりと揺れて、とても可愛らしい。
だが、これで戦闘なんかに挑むとなると、かなり厳しい気もするが……。
「可愛いでしょ、その服」
「あ、はい……! 普段あんま着ない服なんですけど、めっちゃ可愛いです!」
こんな可愛い子だったら姫宮沙羅という名前も似合うんだろうな、そんな考えはぐっと飲み込んだ。そんな時、ダリアの髪の……、所謂アホ毛がぴょこんと動く。
「大変、早速敵が現れたみたいだ! よし、沙羅……違う、ホープダイヤ、急ごう!」
「はいっ! あれ、ホープダイヤ……?」
私が疑問をぶつけると、こんな状況であるにも関わらずきちんと答えてくれた。
「あれっ、言ってなかったっけ? そう、変身中は君は絶望★ホープダイヤだよ」
「わ、ありがとうございます……! じゃ、じゃあ急ぎましょう! 何処ですか?」
聞いてみるとそれは近所の公園。私が倒すんだ! その決意を胸に公園へと走り出した。
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