第2話 最終計画
イレギュラーハンターはとある研究所の直轄防衛部隊であった。元はではあるが。
その研究が最終段階になった時であろう。あの事件が起きたのは。
「長。ただいま」
「ああ……完成したぞ。今までご苦労であった………しかし、奴が反乱とはな。少し想定外だ。明日に延期する」
「で、あるには?」
「備えあれば憂いなしか………懐かしい言葉だ。どんな言葉にも状況という線路はある。今がその時だ。最後の出撃をし、更に回収せよ。シールはあればあるほど良い」
「ハッ………出撃だ!!」
そう。あの時アーバレストに乗らずにノールに乗っていれば良かったのだ。最後だったんだ。自分の心に従っていればあんな事には……
「帰還した……なんだ?何が……ノール?」
帰還した時。ノールがそこに居た。
「おい!!何故立っている……なっ!?まさか!!」
ノールに乗るのは俺と、奴だけだ。脱走したとしか思えまい。
「イオン!?貴様か!!な、何が起きているのだ………冷気?ナノフィルムフィールド!?やめろイオン!!貴様……殺ったのか!?」
『カイ………貴様だけは………』
この世に伝わる伝承。神の子の足を紡いだ母ゼーヌはエリスペアなる鉱石の石鏃がアーバレストにより放たれ、その死をしかと撃ち抜きたり。今こそコイツを止めるべきだ。なのに、肝心のエリスペアは無い。
「ノール………貴様を殺す!!!」
『カイイイイイイイイィィィ!!!!』
「イオンンンンNNNNNNN's!!!」
ノールのコックピットが開く。奴の顔が見える。その時だ。閃光に包まれたのは。奴の予め貼っていたフィールドの外側の膜にある酸素と反応し、ナノフィルムが暴走した。そして、計画に必要であった地表の直径3万kmの生命が途絶えた。1億。たったの1億で済んだものの、俺はもうそこには恐怖で戻れなくなった。まだ生きていたとは………
「………い……、ぉ……ん〜……、」
ゆっくりと目覚めた俺は無意識に奴の名前を呼んでいた事に驚く。涙を拭き、目やにも取り除き、スッキリした顔ではあったものの、寝癖により酷い顔であった。
「………まだ痛いな」
上官からのビンタによりまだ頬に痺れがある。病院から鎮痛薬を貰ったが、手術の順番はまだ先であった。
未来魔法でイレギュラーハンター デルタイオン @min-0042
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