第17話
私がゲームで使っているキャラは初期から解放されているキャラで、他のキャラが解放されてもずっと使い続けている。
理由は使い慣れているし、使いやすいキャラであり、移動手段が強い。
だからといって、一途にとかではない。ゲームは自分が使いやすいキャラでやるのが普通で合わないキャラだったらバンバン変える。
なのに、FPSゲームをやらない凛は私のやっているゲームの説明をしキャラについて話すと私が一途だと言い放った。
「全然違うし」
「一途ってことでいいじゃん」
凛の脳内にFPSゲームの基本を書き加えたい。確かにキャラが大好きだから使い続ける人もいるけど私は違う。
それではランクが上がらないし、やはり勝ち負けのある世界は勝たないと意味がない。
「凛もFPSゲームやってみたら?そしたら、違うって分かるから」
「えー、一緒に可愛いモンスター狩りしようよ。ちーちゃんと旅したい」
「やだよ。私は最前線でガンガン戦いたいの(それに、数日ゲームをやらないだけで腕が落ちるしランクが上がらない)」
今日、凛と沢山話して分かったことはスポーツや趣味が色々合わないってこと。水泳が得意って初めて知ったし(私は泳げない…)、料理も好きってどういうこと?
運動音痴で料理できない私と正反対すぎる。
「ちーちゃん、音楽は何が好き?」
「シティーポップとロック」
「私もロック好きだよ!えっとね、私は…」
「あっ、私は洋楽のロックが好きだから日本のバンドはあんまり知らないよ」
「えっ…そうなんだ」
やはり、私達はことごとく合わない。好みだから仕方ないけど、共通のものがなさすぎる。
「じゃ、好きな漫画!」
「だが断る」
「へぇ?どういう意味…」
「私の好きな漫画の台詞。探してみて」
凛があまりにも色々聞いてくるから、私は凛で遊ぶことにした。きっと、凛は漫画本の名前は聞いたことあるかもしれないけど台詞までは絶対に知らないはずだ。
ほら、困った顔で「何それー」と言いながら携帯で検索をかけている。
「本当、私と凛って共通項ないよね」
「寂しいこと言わないでよー」
「だって、本当じゃん」
凛が私との共通項があまりにもないせいで拗ねている。私からしたら人はそれぞれだと思っているから当然で、共通の物がありすぎる方が怖い。ストーカーみたいで。
「ねぇ、そろそろ寝ようよ…もう、2時だよ。明日、話そう」
「まだ、眠くない」
コイツ…完全な夜型人間だ。夜中の2時なのに目が爛々としておりタチが悪い。
「私は寝たいの!」
「分かったよ…」
私の幼少期のアルバムでバトルし、幸せそうに大好きなオムライスを食べた凛は結局、私の家に泊まることになった。
よくよく考えたら、夕方6時に家に遊びにくる=お泊まりになりやすい。もしかして、凛はお泊まりを狙っていたのかも…
凛とお泊まりなんて11年ぶりだ。でも、凛は大きくなりすぎ!デカすぎて私がいつも寝ているシングルベットが狭いし。
「ねぇ、凛って身長何センチ?」
「163」
「でっか」
「普通じゃない?陽奈は164だし」
「十分デカいよ」
「そう言えば、陽奈は中学2年まで150センチしかなかったって言ってた」
「男性並みの成長期じゃん。14センチも伸びるって…」
150センチの水瀬さん…全く想像がつかない。あの顔で私より小さいなんて超アンバランスだし、小柄な元ヤン(多分)って。
「ちーちゃんの小学生や中学生の頃の姿を写真じゃなくてちゃんと見たかったな」
「写真と同じじゃん」
「写真と生のちーちゃんは違うの」
結局、一緒だと思うのに凛は違うと言い引かない。凛はどうしても差別化したいみたいで「一緒に成長したかったの」と言う。
「それは凛が引っ越ししたから無理じゃん」
「分かってるよ…」
確かに思い出の共有はないけど、こうやってまた巡り会えた。それに、、凛と11年も一緒だと疲れそうで大変そうだ。
それでも…やっぱり、凛がいると嬉しい。
もう会えないと思っていた凛と会えたのは腐れ縁なのかもしれない。
あの頃より私達は大人になり、、
「あー!やっと、分かった!えっ、何て読むの?漢字が読めないよー」
本気で耳が壊れるかと思った。私の耳の近くで携帯を見て騒いでいる凛のおでこを叩き、制裁を加える。
せっかく、私が思い出に浸っていたのにぶち壊しだ。感慨深いが味わえなかった。
「この人の名前、何て読むの?」
「だが断る!」
「決め台詞はいいから教えてよ!」
「漫画本を読めばいいでしょ」
この本を読めば、きっと世界が広がるし出来るなら私は仲間(同志)が欲しい。凛よ。いざ、天国への扉を開け。
私は眠りへの扉が開き限界なので寝ます。深夜の3時って…マジで無理。
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