第96話 メテオストライク!

 しず子さんからの仕事の依頼を受ける事にした僕達は、公園で詳しい話を聞く事にした。

 公園についてすぐ、しず子さん、増子さん、燐火りんかちゃんがベンチに座った。

 僕とオハコは燐火りんかちゃんと、しず子さんのお膝の上に座った。


「あのね~。みんなにお願いしたいのは、隣町で暗躍あんやくしている呪術師じゅじゅつしの討伐よ」


 しず子さんがサラッと危険な依頼をしたような気がするけど……


「じゅじゅしって何?」


 可愛いな燐火りんかちゃんは。

 呪術師って言いづらいよね。

 代わりに僕が言ってあげるよ!


「じゅつしだよ燐火りんかちゃん」

「なんだよ。テプも間違ってんじゃねぇか」

「ちょっと咬んだけだよ。オハコこそ言えるの?」

「じゅつしだろ?」

「オハコも言えてませ~ん!」

「キィーッ!」

「喧嘩したら駄目だぞ」


 増子さんが僕とオハコの頭を撫でた。


「そういう増子は言えるのか?」

「無理に言う必要ないよ! シャーマンって呼べばいいよね?」


 増子さんが勝負から逃げた!


「呼び方は何でもいいわよ。前にネクロマンサーと戦った時と同じよ。隣町で悪人が暗躍しているから、悪事を阻止しないと行けないの」

「シャーマンだからって悪人とは限らないと思うけど」

「悪人で決定よ。蒼真そうま陽翔はるとが調べた結果だから」


 しず子さんの話によると、今隣町ではキツネの霊を呼び出す儀式流行っているらしい。

 最初はよくある子供の遊びだと思っていたが、狂暴化する人が増えたきたので調査したら、裏で呪術師が暗躍している事に気付いたそうだ。

 僕は嬉しい気持ちになった。

 だって、しず子さんが纏蝶てんちょうさん達と仲直り出来たみたいだったから。


「それじゃ、今度の土曜日は呪術師と対決するって事で良いかな?」

「賛成!」

「任せてくれ!」

「僕も頑張るよ」

「俺様の足を引っ張るなよ」


 全員同意したので、次の土曜日は呪術師と戦う為に隣町に行く事が決定した。

 さて、帰ろうか!

 僕と燐火りんかちゃんは、しず子さん達と別れて帰宅した。


 次の土曜日。

 僕と燐火りんかちゃんは公園に向かった。


「こっちよ~」


 しず子さんが車の隣で手招きをしている。

 僕達は急いで車に乗り込んだ。


「増子さんは遅れてくるって言ってたから先に行くわよ」


 しず子さんが車を発進させた。

 増子さんは遅れてくるのか。

 電車で来たらお金がかかるから自転車でくるよね。

 結構時間がかかりそうだなぁ。

 隣町に着き、駐車場で降りた。

 どうやって呪術師を探すのだろう?


「はいっ、これを渡しておくわね」


 しず子さんが燐火りんかちゃんにコンパスを渡した。


「これは呪術に反応するコンパスよ。針が動く方向に向かって進めば呪術師がいるハズだから」


 燐火りんかちゃんの肩に飛び乗ってコンパスを確認すると、針が北の方向を指していた。

 燐火りんかちゃんが針が指し示す方向に歩き始めたので、僕は周囲を警戒する事にした。

 いつ呪術師に襲撃されるか分からないからね。

 なんだか見た事がある場所だな……あっ、ネクロマンサーさんと戦った時の廃ビルだ。

 中に入ると中学生くらいの子供たちが謎の儀式を行っていた。


「今すぐ儀式を止めて帰りなさい。それは危険な儀式なのよ」

「邪魔しないでよ」

「危険だって事は本物の儀式なんだよね」

「やろうよ! 面白そうだから!」


 しず子さんが儀式を止めようとしたが、子供たちは聞いてくれなかった。


「我を呼び出したのは誰だ? 呪ってやる!」

「ぎゃぁー!」

「本当に出た!!」

「逃げろー!」


 黄金の光を放ったオハコが話しかけただけなんだけどなぁ。

 キツネの霊を呼び出す儀式って聞いていたから、キツネの姿をしているオハコが霊に見えたのかな?


「まさかオハコに助けられるとは思わなかったわよ」

「俺様だって役に立つんだぜ。感謝しろよしず子」

燐火りんかちゃん、今日も出番が無くて残念だったね。次頑張ろう!」


 燐火りんかちゃんの返事がない?

 怒らせちゃったかな?

 燐火りんかちゃんが愚者ぐしゃの杖を具現化し、突然詠唱を始めた。


 シルクのドレスの如き優雅ゆうがな花弁よ

 幾重いくえにも重なり我を守れ

 魅力に満ちた八重咲やえざきの花!


「立ちふさがれ! 金 鳳 劫 火ラナンキュラス!!」


 炎の花弁が僕達を包むと同時に爆発音が聞こえ、ビルが崩落した。

 燐火りんかちゃんが気付いていなかったら死んでたよ!

 呪術師なんだから、爆薬じゃなくて呪術で攻撃してきてよね。

 ……それはそれで嫌だけど。


「何で死んでいない?! おのれ収魔師しゅうましの手下め!」

「子供を巻き込んで恥ずかしくないの?」

「子供に守られている奴よりマシだと思うけどね。さぁ、どうやって俺を倒すのかな?」

「焼く」


 燐火りんかちゃんがボソッと言った。

 こ、怖いよ!

 今度は本当に怒ってるよね?


「な、なんなんだコイツは!」

「大魔導士……原始の炎の使い手さ……」


 燐火りんかちゃんが愚者ぐしゃの杖を呪術師に突きつけた。

 カッコイイのだ!


「やっっちゃえ燐火りんかちゃん!」


 ズドン!

 轟音と共に何かが呪術師の頭上に落下してきた。

 これは隕石落としの魔法!

 ……違った。


「待たせたな! 魔法少女セイント・ジャスティス参上……なんてね! 魔法で空を飛べると快適だよな! 呪術師は見つかったか?」


 呪術師の頭上に落下してきたのは増子さんだった。

 増子さん……足で踏んずけているのが探していた呪術師だよ……

 結局、何もせずに呪術師を倒してしまったのであったーー

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