第10話 四天王を襲撃?!
喫茶店で魔法少女としての目的について話し合った翌日、学校があるので僕と
いつもの大通りを歩いていると、見慣れた人物が待ち構えているのが見えた。
魔王さんだ……しつこいな……
朝から小学生の女子を待ち構えているなんて変態だよね。
「来たな魔法少女! 今日こそ逃がさんぞ。出でよ四天王!!」
魔王が言ったと同時に4人の魔人が現れた。
「剛力のゲルバリアン!」
「策略のリップリア!」
「猛毒のモスデスラ!」
「膨張のバルンシー!」
油断した!
魔王が仲間を連れてくるとは思わなかった。
4人に囲まれたら逃げるのは難しい。
しかも魔王に四天王と呼ばれているくらいだから相当な実力者なのだろう。
僕は現れた相手を観察した。
最初に名乗ったゲルバリアンは岩石の体をした巨体の魔人だ。
一目で分かるパワー系の魔人で一番強そうだ。
次に名乗ったリップリアは普通の女性の様に見える魔人だ。
名乗っていた時に策略と言っていたので、残忍な作戦を立てるのが得意なのかもしれない。
モスデスラと名乗った魔人は
猛毒と名乗っていたし、毒々しい見た目をしているので凶悪な毒を使うのだろう。
最後のバルンシーは……見るからに弱そうだ。
バルーンアートの様な見た目をしている。
膨張って言っていたけど、風船の様に膨らむだけだろうか?
何で四天王の一人なのだろう?
一人変なのが混ざっていたが、大ピンチなのは間違いない。
今はしず子さんたちはいないのだ。
何とか僕と
敵に囲まれて
そう思って表情を伺うと、不安とは逆に目を輝かせていた。
えっ、何で?!
「四天王さんだ! ねぇねぇ? 一番弱いのは誰?」
不用心に近づかれたのが想定外だったようで、四天王の四人がたじたじになった。
「じ、自分が最弱ですけど……」
予想通りバルーンアートの様な姿をしたバルンシーが名乗り出た。
「アレ言ってよ。いい気になるな! 我は四天王最弱。他の四天王が俺と同じだと思わない方がいいって!」
「えっ、はい。自分は四天王最弱ですので、他の四天王は自分より強いであります……」
バルンシーが悲しそうに言った。
戦ってもいないのに負けた事にされ、しかも自ら最弱を名乗らされる……なんて屈辱的な仕打ちなんだ!
これは新手の精神攻撃かと思ったが、
「サインお願いしてもいいですか?」
戸惑いながらもバルンシーが国語の教科書にサインをしている。
そして、国語の教科書に記載されていた偉人の名言の中に『四天王最弱の迷言?』が付け加えられる事となった……
バルンシーがサインをした後、他の四天王も次々にサインをしていく。
僕は何を見せられているのだろう……
「なにしてんだ
「おはようございます。サーカスの一団が来ていたとは知らなかったですね」
事情を知らない人から見たら、四天王はサーカスの一団に見えるのか……
僕は四天王が可哀そうに思えてきた。
「サーカスじゃなくて四天王だよ! 本物の! 最弱の人にサインもらったんだ!!」
「何だって! 最強は貴方ですか? 第二形態とかありますか?」
健斗君が一番強そうな岩石の魔人ゲルバリアンに話しかけている。
「策略家が好きだが、毒の特殊能力も捨てがたい……」
翔太君は策略のリップリアと猛毒のモスデスラのどちらに声を掛けるか悩んでいる。
それぞれ好みは違うようだが、これだけは言える。
四天王は子供達に大人気だ!
子供たちが質問攻めで四天王を襲撃している!!
そう言えば魔王は何してるのだろう?
僕は魔王の存在を思い出した。
全員に忘れられた魔王は悔しそうな顔をしていた。
「わ、我は……我は……我は五人目の四天王!」
あーっ、魔王が変な事を言い出した!
そんなに四天王の方が人気なのが悔しかったのだろうか?
「何言ってんだ、このおじさん。四人だから四天王だろ?」
「大人なのに数も数えられないのですか?」
「嘘をついて人気を取ろうとするなんて気持ち悪い」
健斗君、翔太君、
「ちっくしょおおおおおお!」
魔王が泣きながら去っていった……
「ま、魔王様!」
「魔王様、お待ちください!」
「モモモ、モスッ!」
「置いていかれたら、やられちゃうじゃないですかー」
四天王たちも魔王を追いかけて去っていった。
「ありがとう四天王最弱さーん!」
「今度来た時は第二形態見せてくれよな!」
「僕は今度来てくれたら戦略について語り合いたいですね」
良く分からないけど……魔王編 完。
僕は勝手に魔王の存在を終わった事にしたーー
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