第6話 燐火ちゃんの魔法
どうすれば目の前の魔女から逃げきれるだろうか……
「あれっ、テプちゃんだ。おはよう」
振り返るとランドセルを背負った
何でこんな最悪なタイミングで
「
「無駄よ。私が逃すわけないでしょ。折角美味しそうな子供が出て来たんだから」
魔獣の腕の魔女が舌なめずりをした。
「
「このセイント・ジャスティスが命をかけて通さない!!」
僕と増子さんが
増子さんが
まぁ、僕と一緒で全く役には立たないだろうけど……勇気は認めるよ。
「素敵な友情ね。そんなに仲が良いなら、私の胃袋の中で仲良く暮らすと良いわよ」
魔獣の腕の魔女が腕を僕達の方に向けた。
腕先の魔獣の口が開かれ、恐ろしい叫び声を上げた。
怖い……でも頑張る!
背後にいる
「オハコとしず子さんは
「おいテプ。お前らだけで足止め出来るのかよ?」
「私は逃げないですよ~。悪さをする子にはゲンコツです!」
オハコとしず子さんは逃げないようだ。
プレナはとっくに逃げているけど……
アイツの契約者が勇気の魔法少女なのが皮肉だな。
「そろそろ食べさせてもらうわよ。もちろん全員! ハハハハッ!」
「クククッ!」
笑い声が響き渡った……背後からも?!
振り向くと、
「れあどろっぷ~」
「えっ、レアドロップ?」
「そうだよテプちゃん。珍しい敵は凄いアイテムを落とすんだよ」
「ゲームじゃないんだよ! 魔法を使えない
「魔法なら
「本当に?」
「ほらね。フラマ・グランデ様と同じ
その姿は僕が望んだ魔法少女とは違っていて、少し残念ではある。
それでも無邪気に喜ぶ
僕は
大魔導士に憧れる気持ちが奇跡を起こすかもしれないから。
「
「最強でいいんだね?」
「そうだよ、全てを滅ぼすつもりで! この一撃に全てをかけて!!」
「分かったよテプちゃん! 大魔導士フラマ・グランデ様の最強魔法を使ってみる!!」
奇跡よ起きろ!!
少し変わっているけど、純朴な目の前の少女の命を救ってよ!
僕が願っている隣で、
連綿と続く魔道史において 比類なき永遠の炎よ
我ここに示す
真なる炎を前にして 滅せぬものは存在せぬと
万物を構成せし五行の力をもって
燃え上がる恋のごとき灼熱の花
「咲き誇れ!
そして
空に浮かび上がる深紅の炎で出来た
それは魔獣の腕の魔女に触れる事は無かった。
振れる事すら無く、魔獣の腕の魔女は消滅したのだーー
終わった……世界が……
僕は
起きたのは奇跡ではなく、絶望そのものだった。
炎の魔法など初級魔法だと思っていたし、水や氷の魔法で簡単に防げるものだと考えていた。
だけど目の前の魔法は僕の考えている火とは異なる概念のものだった。
可燃性の物質だけではなく、存在そのものを燃やし尽くす神の炎。
それが
世界を滅ぼしたのは魔女ではなく、僕が選んだ魔法少女でした……ってオチですか?!
「やったよテプちゃん! フラマ・グランデ様にしか使えない最強呪文が使えたー。 これで私も大魔導士だね!」
「は、早く止めてよ
「えーっ。せっかく使えたのになぁー。えいっ」
だが、
ど、どうしよう?
「
「ごめんなさい」
「反省しているなら、これを持って謝りに行きましょう? 勇気さんも手伝ってね」
しず子さんが何故か持っていた『じょうろ』を
3人がじょうろの水をかけると道路やビルが次々に直っていく。
世界を救って、じょうろで平和に水を撒く。
これが僕達が望んだ未来……な訳あるかぁー!
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