第5話 勇気の魔法少女
しず子さんの自宅についた後、タオルで濡れた体を拭いてもらった。
ふぅ、これからどうしようかな。
公園か二度と行きたくない百怨ショップで張り込みをすれば再会出来るかな……
いや、止めておこう。
僕が選んだ
しず子さんと一緒に人助けをして聖の気を集めていれば、そのうち
オハコの手柄になるのは悔しいが、聖の気を集めて魔の気の充満を防ぐのが僕達の使命なのだから。
邪悪な存在が魔の気に引き寄せられて現れたら元も子もない。
まぁ、簡単な人助けを続けるだけで防げるから、危険な状況にはならないと思うけどね。
僕はしず子さんの家に泊めてもらえるようお願いをしたーー
*
翌日、しず子さんとオハコの二人と一緒に町中で困っている人を探しに出かけた。
「向こうの大通りから魔の気を感じるぜ。困っている人がいるみたいだ」
オハコが尻尾で大通りの方を指した。
僕もオハコ同様に魔の気を感じたけど、困っている人にしては強烈な魔の気を感じるのだけど……
「行きましょ! 魔法少女出撃~」
しず子さんが駆け出したので、僕とオハコも走って追いかけたーー
大通りは地獄の様だった。
魔獣の腕を持つ魔女が人々を傷つけていたのだ。
「あらあら大惨事ですね~」
しず子さんは気楽に言ったが、大惨事では済まない状況である。
死んでいる様に見える人もいる。
こんなの聞いていない!
こうなる前に人助けをして、町を守る簡単な仕事だったハズなのに……
「魔法の出番だ! しず子、全員を回復するぞ!」
「了解ですよ~」
オハコの指示で、しず子が魔法少女の姿に変身した。
もう手遅れだよ……死んだ人は生き返らないんだよ……
「シゲさんじゃないですか~。元気になって下さいね。癒しの水~」
しず子さんが倒れている老人に癒しの水を使った。
「な、何でびしょ濡れなのかね。何で道路で寝ていたのか記憶がないのぉ」
い、生き返った?!
記憶がないって、死んでたからじゃないの?
「どうだテプ。俺様が選んだしず子は凄げぇだろ?」
「凄いを通り越して奇跡だとしか思えないよ。何で癒しの水で生き返るの?」
「魔法だからじゃないのか? 俺様より王族のテプの方が魔法に詳しいだろ?」
「詳しいから分からないんだよ」
魔法少女は妖精の力を借りて魔法を使うのだ。
だから、普通は契約しているオハコの魔法力を越える魔法を使う事は出来ないのだ。
僕にはしず子さんの魔法が凄い理由が分からない……
しず子さんは僕とオハコが話している間に、怪我をしている人達全員を回復させていた。
回復した住民達が全員逃げた後、僕達は魔獣の腕の魔女と対峙した。
「魔法少女……か? 私を止めに来たのか。癒しの力は強いようだが、私を殺せるのかしら?」
魔獣の腕の魔女の言う通りだ。
奇跡といえる凄い癒しの魔法が使えても、魔獣の腕の魔女を倒す魔法は使えない。
強力な攻撃魔法が使える魔法少女が助けに来てくれないかな……
「出たな邪悪な者! この魔法少女セイント・ジャスティスがお前を倒す!」
突然、謎の少女が魔獣の腕の魔女と僕達の間に割り込んだ。
「新しい魔法少女……なのか? 何人現れても無駄だ! 魔女の私に、未熟な魔法少女の魔法が通用するはずがないでしょ?」
魔獣の腕の魔女が自信満々に言った。
セイント・ジャスティスと名乗った少女が片膝を付き、拳を地面に叩きつけた。
「悔しい……僕にもっと力があれば……」
「無駄な事よ。魔法少女など、私にとってはエサ同様!」
「たとえエサ扱いだとしても、僕は挫けない! だって、僕は魔法少女なんだから!」
僕は魔獣の腕の魔女と、セイント・ジャスティスのやり取りを見て違和感を感じた。
何かがおかしい……あっ、魔法使っていない!
戦っているような態度を見せているが、セイント・ジャスティスは一度も魔法を使っていないのだ。
「いるんだよねプレナ?」
ぽんっ!
僕が問いかけるとタヌキの妖精のプレナが姿を現した。
「気付かれたか。俺っちがいるって良く分かったな」
「分かるよ。彼女はプレナの契約者なんでしょ? なんで彼女は魔法を使っていないの?」
「使っているだろ。魔法少女に変身する魔法」
「他に使える魔法はないの?」
「あるわけないだろ。怠け者の俺っちの魔法力では変身する魔法しか使えないさ。セイント・ジャスティスと名乗った僕の契約者、
「魔法が使えない……彼女の武器は? 魔法のステッキも持っていないけど……」
「増子の武器は勇気だけさ!」
プレナは自信満々に言ったが、変身する魔法しか使えないのに、何故出て来たのだろう?
助かったと思ったのに……どうするのさ!
「あらあら、戦っていないのに負けちゃいましたね~」
しず子さんは気楽に言ったけど、大ピンチだよ!
何とか逃げだして助けを呼ばないと!!
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