第4話 癒しの魔法少女?
何とか
お尻が痛いので歩き方がぎこちなくなってしまう。
「あらあらウサギさん、大丈夫ですかぁ~。動きが変ですけど、お怪我をしてますか?」
背後から女性に声を掛けられた。
振り返ると肩に狐を乗せた優しそうな女性がいた。
女性には心当たりはなかったが、肩の上の狐が本物の狐ではない事は知っている。
僕と同じ魔法王国アニマ・レグヌムの妖精オハコだ。
「どうしたアルタロネクタネブ・アバ・センタンクトロルテプ6世? もう魔法少女選んだか?」
「選んだよオハコ。この子が僕が選んだ魔法少女の
「ねえねえテプちゃん。わたしは魔法少女じゃなくて大魔導士だから」
「テプちゃんだってよ! 誇り高き王族の名を捨てたのか? これからは俺様もテプちゃんと呼ばせてもらうぜ!」
「別に構わないよ。早く帰ろうよ
「ちょっと待ってくださいな~。お怪我をなさっているなら、帰る前に治療しませんか?」
帰ろうとしたら、オハコが連れている女性に呼び止められた。
オハコはともかく、この女性は信用出来そうだから本当の事を言おう。
「実は
「
魔法で癒す?!
オハコと一緒にいる時点で何となく察していたが、彼女がオハコが選んだ魔法少女って事?
どう見ても大人の女性なんだけどな……
「驚いて何も言えなくなったか? しず子は俺様が選んだ最強の魔法少女だ!」
「自己紹介が遅れましたけど、私は
しず子さんが手を差し出したので、前足を出して握手をした。
オハコは最強の魔法少女って言っているけど、本当だろうか?
魔法少女は心の純粋さで力が決まる。
普通は大人になる程、心の純粋さを失い、魔法少女としての力は失われるものだ。
逆に幼すぎても自我が発達していなくて力を発揮出来ない。
だから、普通は
本当に最強なのかな?
見栄っ張りのオハコの言っている事は、昔から信用出来ない。
「オハコは最強って言ってましたけど、しず子さんは何の魔法を使えるのですか?」
「私の魔法ですかぁ。私が使える魔法は癒しの水だけですよ~」
使える魔法が『癒しの水』だけ?!
たぶん回復系の魔法だとは思うけど、それだけで最強の魔法少女?
やっぱりオハコのハッタリだったね。
でも、回復魔法の使い手なら
それに
実際に魔法の実力を試してみたいな。
魔法王国の妖精としての判断であり、決してお尻が痛いからではない。
「しず子さんは癒しの魔法の使い手なんですね。僕のお尻の痛みを癒してもらえますか?」
「良いですよ~。カーネイジパワー! コンバージョン!!」
しず子さんが叫んだ。
なんか渋い声で物騒な事を叫んだ気がしたけど気のせいかな?
僕が戸惑っている間に、しず子さんを淡い水色の光が包み、可愛らしい魔法少女の姿に変身していた。
変身した……人通りが多い町中で堂々と……
「し、しず子さん。人前で変身して恥ずかしくないのですか?」
「恥ずかしくないですよ~。魔法少女は立派な仕事ですから! 魔法少女の衣装には誇りを持ってるのですよ。それに、この町には私を馬鹿にする人は存在しないですから~」
「……」
僕は感動で言葉に詰まった。
しず子さんは魔法少女になった事を誇りに思ってくれているのだ。
魔法王国の妖精として、こんなにも嬉しい事はない。
しず子さんは間違いなく魔法少女だ。
オハコは気に入らないけど、しず子さんを魔法少女に選んだ事は賞賛されるべき事だ。
それに町のみんなを信じている所も素敵だと思う。
「感動しました! しず子さんの魔法を見せて頂けますか?」
「いいですよ~。癒しの水~」
しず子さんが魔法のステッキを僕に向けた。
どぼっ、べじょ、びちゃびちゃ。
僕は魔法のステッキから噴き出した水を大量に浴びた。
えっ、ナニコレ?!
お尻の痛みは消えたけど、びしょ
癒しの水って……本当に水が出るとは思わなかったよ!
普通は水っぽい演出だけで、実際に
魔法なんだからさ!!
「びしょ濡れにしちゃって、ごめんなさいね。私の家で乾かしましょうね~」
「お気持ちは嬉しいですけど、
「
オハコが前足で僕の背後を差した。
振り返ると、本当に
僕がしず子さんと話している間暇だったのは分かるけどね……置いていかないでよ!
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