第3話 ひゃくえんショップ
事前に
僕は
前任の妖精仲間に話を聞いただけで楽しいと思えたから、実際に行ったら凄く楽しいんだろうな。
僕は初めて行く百円ショップが楽しみだった。
「テプちゃん、そこの角を曲がるとひゃくえんショップだよ」
公園から近いところにあって良かったな。
僕は黙って通り過ぎようとした。
「テプちゃん、何処に行くの? ひゃくえんショップ、ここだよ」
壁に
こんな建物が街中に堂々と存在していて良いのだろうか……
「り、
「そうだよ。看板に書いてあるでしょ」
『百怨ショップ
た、確かにひゃくえんショップだ……
この世の恨みの全てが込められてそうだけど……
こんな場所が
お、落ち着こう。
街中に呪物を取り扱う店があるはずがない。
きっとキモ可愛いモンスターの人形や妖怪のキーホルダーを売っているのだろう。
きっと、お腹を押すと「ぎゅえっ」とか情けない音が鳴って、友達と一緒に盛り上がるんだよ。
そう思うと安心してきた。
「入るよ」
入店して直ぐに肌で感じた恐怖。
鼻先がひりつき、瘴気の存在を感じた。
ほ、本物だ……この店に置いてあるのは本物の呪物だ!
見た事が無い恐ろしい見た目の商品が棚に陳列されている。
そして、もっとも恐ろしいものは……店の奥に立っていた。
「あら、
店の奥のレジにいたボディビルダーの様な筋骨隆々な男性に声を掛けられた。
体が隠れるほどの大きな二枚の蝶の羽根を体に巻き付けた異様な服装をしている。
一目見ただけで逃げたくなる恐ろしい風貌だが、
「これに魔の
「ふぅん、珍しい物を持ち込んだわね。それで、この子は誰?」
「これはテプちゃん。公園で拾った」
「は、初めまして。僕はアルタロネクタネブ・アバ・センタンクトロルテプ6世です」
「あら、お話が出来る動物さんなのね。私は『てんちょう』よ」
「店長さんなんですね。お名前は?」
「名前は『てんちょう』よ。テプちゃん」
名前が店長?!
僕は意味が分からず首を傾げた。
「ねぇ、ねぇ、テプちゃん。名札に書いてあるのに読めないの?」
そこには『
蝶を
戸惑う僕をよそに、
百円ショップでデコレーションするのとは訳が違うのだ。
「完成したわよ。大魔導士志望の
「うん、やっぱり
「気に入ってもらえて良かったわよぉ。支払いは現物でいいわよ」
支払いは現物?
どういう意味だろう?
えっ?!
「これでお願いします」
「良いわよ。魔法の力を持った妖精なら商品と釣り合うからね」
へっ、どういう事?
もしかして僕で支払うの?!
「り、
「代金はテプちゃんで」
「そ、そんな事を笑顔で言わないでよ。僕を代金代わりに置いていくの?」
「そうだよ。公園でリスポーンしたら、もう一度捕まえるからよろしくね」
「リスポーンしないよ! ゲームのモンスターじゃないんだから! 置いていかないでよ
僕が嫌がるので
今日は災難だらけだなぁ……
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