第2話 魔法少女辞めました!
「ねぇ、
「これが私の憧れの大魔導士フラム・グランデ様だよ」
そこには魔導士の姿をした、おかっぱ頭の中年男性が描かれていた。
こ、こんなのが
魔法少女に憧れようよ!
可愛い女の子なんだからさ!!
イラストの中年男性の謎の笑顔が小憎らしい。
ここは話を逸らすしかない。
魔法が好きな事には間違いがないんだ。
好きな魔法の話題に切り替えれば大丈夫!
「
「わたしが使いたいのは『火』の魔法だよ!」
火炎魔法か……普通だな。
今までの発言から、
それならファンタジーの魔法について話をすれば興味を引けると思う。
「
僕は右前足を突き出して叫んだ。
「テプちゃんは火の魔法を馬鹿にしているの?」
「えっ、
「嫌いじゃないよ。でも、テプちゃんは火の魔法を初級魔法だって馬鹿にしているよね?」
「そ、そんな事はないよ。定番だとは思ってはいるけど……」
「テプちゃんは分かっていないね。火はね、偉大なんだよ。大魔導士フラム・グランデが言った。火とは人類が神から賜った原始の力だと。魔法とは力。力がもたらすのは破壊。破壊を成し得るもの……それが火であると。テプちゃんは聞いた事ないの?」
あるかーっ!!
恐るべし大魔導士フラム・グランデ。
己の罪を自覚しろ!
少女の人格破壊しているじゃないか!!
ここは正統派の魔法少女になってもらって、歪んだ意識を修正するしかない!
「まず、魔法少女になってみようか? 魔法が使える様になったら人生変わるよ!」
「ホントかなぁ……」
分かっているよ、僕だって詐欺師の様な怪しい発言をしてるって自覚があるから。
それでもゴリ押しする。
僕の力で変身出来るのは愛と花の魔法少女。
魔法少女アニメの主人公の様な可愛らしい衣装は、万人に愛されるものなんだから。
「大丈夫! 魔法少女になれば、きっと色々な魔法が使える様になるよ!」
「分かったよテプちゃん。魔法使ってみたいから魔法少女になるね」
「ありがとう
僕は
「さて、早速変身してみようか」
僕が変身するよう促すと、
「チェリーブロッサムパワー、ブリリアントチャージ!」
光の中から現れたのはピンク色で花柄の可愛い魔法少女の姿をした
良し! 変身大成功!!
やっぱり
僕は喜んだが、
「いらない」
僕は慌てて前足で変身ブローチを受け取ろうとした。
「えっ、とっ、ふぅ、危なかった! 大切な変身ブローチを落とすところだったよ」
慌てていたので落としそうになったが、何とか無事にキャッチ出来た。
「じゃあね。おうち帰るから」
「ちょっと待ってよ。可愛かったでしょ魔法少女の衣装! 変身ブローチだってこんなに可愛いのに! 可愛いのは好きでしょ?」
「可愛いとかいらないから! 女子が全員可愛い物が好きだと思っているの? 気持ち悪い」
ショーック!!
女の子に気持ち悪いと言われるなんて……魔法王国始まって以来の不祥事だよ!
何が悪かったのか考えるんだ……そうだ!
たぶん
だから大人っぽい感じにアレンジすれば変身ブローチを使ってもらえるかもしれない
「
「でこれーしょん?」
「そうだよ。変身ブローチに飾りをつけたり、色を変えてみようか。
「面白そう。なら、ひゃくえんショップに行こう。ひゃくえんショップなら、わたしが好きなアクセサリーが沢山あるから!」
「うん、それがいいね。一緒に行こう!」
僕は変身ブローチを
本当は魔法王国アニマ・レグヌム伝統の変身ブローチを改造されるのは嫌だ。
変身ブローチは僕の力の結晶で、僕のプライドそのものだから、存在自体を否定された様な気分になる。
それでも
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