第14話 Happy days(14)
夏希は仕事帰りに本屋に寄った。
つい『妊娠・出産本』を手にしてしまう。
それをパラパラとめくりながら
隆ちゃん
やっぱり、まだ本当は子供欲しくないのかなあ・・
あたしがこんなだから。
また落ち込んだ。
なんかあたし
ただシたいだけみたいに思われたのかな・・
すんごいヘンタイ女だよね、それって。
経験不足の彼女は
女から求めるってことが、非常にはしたないことのような気がして。
とってもそれはできなかった。
高宮は残業を黙々とこなしていた。
志藤も仕事が残っていて、とうとう部屋に二人だけになってしまった。
しかし、高宮は今日一日、志藤ともロクに口を利かなかった。
そして時計をチラっと見て、ファイルを片付けて
「・・じゃあ。」
顔も見ずに高宮は志藤に言って帰ろうとした。
その時、何だか志藤は腹立たしくなり
「おい。 ちょっと待て、」
と彼を呼び止めた。
「は?」
高宮も挑戦的に振り返る。
「おまえ。 ほんっまに女心わかってへんなあ。」
志藤は力を込めて言った。
「は?」
また夏希のことか、とうんざりした。
「加瀬は。 ほんまに悩んでるんやで? あいつのことやから子供ができないのは、回数が少ないからや!って直線的に考えてるに違いないし。」
いきなりそんなことを言い出した志藤に
「ちょ、ちょっと! 社内でする話じゃないでしょう!!」
高宮は周囲を伺った。
「てか。 好きやったら、生殖行動かどうか別として。 セックスしたいやろ! それをしないってのはどういうことなんやってことやん!」
それに構わず志藤はさらに思いっきり言ってくる。
「なっ・・」
高宮はもう耳まで真っ赤になってしまった。
「新婚のクセして。 月イチとかそんなんおかしいやろ! 加瀬がアホなことは置いといて。 誰でも悩むわ!」
志藤は興奮してデスクをバシっと叩いた。
「お、おかしい、ですか??」
一瞬高宮は話に乗ってしまった。
「おかしい!!! 月に1度や2度で。 子供できる確率なんかどれだけやん! おまえ結婚してめっちゃ安心しすぎちゃうかあ????」
もう志藤のボルテージは上がりっぱなしだった。
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