第9話 Happy days(9)

夏希はその頃、高宮を刺激するような服装を考えていた。



「これじゃあ、いつもとおんなじだもんね。 てゆーか、こうしてみるとますますあたしってジャージばっか・・」



自分のアイテムを見ながらため息をついた。




高宮がなんとかスッポンに慣れてきたころ



「おまえってさあ。 あんま女の子とつきあってきた方やないやろ、」



おもむろに志藤がそう言った。



「は?」



「なんかそんな気ぃする。 めっちゃ家柄もよくて頭がよくて、背が高くて・・まあ、イケメンで。 でも女性関係はあんまこなしてない気もして、」



「し、失礼じゃないですか?」



高宮はそんなことをいきなり言いだされて憤慨した。



「え~? じゃあ違うんかあ?」



何もかも見透かしたように言われて、悔しいけれど



「まあ・・そうかもしれないですけど・・」



認めてしまった。



「まあ、女の子とつきあったことはありますけど。 なんか長続きしなくって。 いつも向こうから別れたいとか言われて。 それもまあ・・3人くらいだし・・」



「んじゃあ、まともにつきあった女って加瀬が初めてなの?」



「そうとも・・言えます。」



「そっかあ。 んじゃあ経験不足も否めないなあ・・」



志藤はひとり言のようにボソっと言った。




「は?」



それを訊き返され、



「や、何でもない何でもない。 てか・・あんまり『そっちの』欲とかない方?」



ちょっと深いトコを探ってみた。



「『そっち』って・・」



高宮はその意味がわかって赤面した。



相変わらず酒はほとんど飲まない。



ビールは注いであるが、1度口をつけたきりでほとんど飲んでいない。




それを少しだけ飲んだ。




「他の人はわかんないですけど。 自分ではフツーかなとも思いますけど・・」



恥ずかしそうにそう言った。



「月イチとか。 フツーちゃうやろ、」



志藤は思わず突っ込んだ。




「は???」



また口が滑ったことを慌ててごまかすように



「ほんまにな~~~。 おまえは見かけより何百倍真面目やな。 呆れるくらい真面目やなあ、」



適当に言いくるめた。



「子供が5人もいる人から言われても・・」



高宮はプイっと横を向いた。



「子供がいっぱいいるってことはな。 おれとヨメがめっちゃ仲良くしてるーって証拠やん。 夫婦やもん。 いちゃついて何が悪い。 まあ、彼女が子供めっちゃ好きやから。 こんなんなってしまったけど。 とにかく赤ん坊が好きで、子供が歩くようになるとすぐに赤ん坊が欲しいとか、めっちゃねだられるし。」



志藤はふふっと笑った。



「夫婦がやってくにはな。 上辺だけの繋がりだけやなくて。 正直、『夫婦生活』かてそのひとつ。 夫婦も長いとな、そんなんも義務的な気持ちでやってるとかよく聞くけど。 おれはまだまだヨメのこと愛してるし。 女として抱きたいと思う。」



志藤はやんわりと高宮を諭すように言った。


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