第4話 Happy days(4)

「かっ・・回数って! そんなこっぱずかしいことを!!」



もう斯波は真っ赤になって全身の血液が沸騰していると思われた。



「なんか・・高宮さんが・・なんていうか。 『淡白』みたいで・・」



萌香は恥ずかしそうに視線を逸らしながら言った。



「た・・淡白?」



「まあ。 新婚さんには・・切実な問題かなあと。  月に1、2度やて言うてたし・・」



「は・・」



斯波は腰が抜けそうだった。






そんな赤裸々な話を!!!




真面目で下ネタが全くダメな斯波は



そんな話を夏希がしていたのかと思うと



意味なく許せない気持ちだった。




「栗栖さんとこは・どのくらいですか、とか・・いろいろ聞くから・・」



萌香がボソっと言うと、斯波は彼女の両肩をひっつかんで



「そんなことまで言ったんじゃねえだろうなあ・・」



もう必死だった。



「い、言ってないけど! でも・・やっぱ少ないかなぁ、とか。」



斯波は、はあああっと大きな息をついて安堵した。




『回数』なんか言ったら。



おれ、すんげえヘンタイ扱いされる!!!



正直そう思った。



なんだか一人でいろいろと想像してしまい



「うわ~~~!! やめろ~~! もう!!」



耳を塞いでしまった。




彼らを混乱させているとも知らず



夏希はドラッグストアで基礎体温計を買ったりして、やる気満々だった。



そのタイミングを見計らったかのように、帰ると高宮の母から電話があった。



「わかりました。 じゃあ・・隆ちゃん・・じゃなくて、隆之介さんが帰って来たら伝えておきます、」



用件をメモりながら言った。



「じゃあお願いね。 それより。 あなたたち、まだなの?」



義母はいきなり話題を振ってきた。



「は?」



「は?って。 ほら、赤ちゃん。」



ドキンとした。



「え・・あ~~。 まだ、みたいですけど・・」



夏希は小さな声で言った。



「仕事が忙しいんじゃない? あなたも少し家庭中心に生活したら? ていうか。 一度病院で診てもらいなさいな、」



「は? 病院???」



「ちゃんと。 子供ができる体かどうかって。」



そんなこと言われて初めて気づいた。



子供なんか自然にできるもんだと思っていたから。



「高宮の大事な跡取りなんだし。 あなたも若いからって安心してないで。 二人で一度病院に行ってみたら、」



いつものように嫌味な風でなく



本当に心配しているような義母の言葉に



「はあ、」



夏希は気の抜けた返事を返した。


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