第3話 Happy days(3)

ほんまに。



かわいいなあ・・



萌香はそんな夏希が微笑ましくてクスっと笑ってしまった。



「大丈夫よ。 きっといつか赤ちゃんができるわよ。」



そう言って励ました。



が。



「え~~~? そうですかねえ? なんかあたし間違ってるんじゃないかと思って、心配になっちゃう・・」



大真面目にそう言う彼女が異様におかしくかった。



間違ってるって・・



「もー。 ほんっと真剣に悩んでるんですよぉ~~。 何笑っちゃってるんですかあ~。」



夏希は笑いが止まらない萌香の肩を掴んで必死に言った。




「ただいま・・」



斯波が帰宅したが。



「・・だからね。 このグラフによると。  この期間が受精しやすいってことなのよ、」



「は~~。 そうなんだぁ。 けっこう難しいじゃないですか、」



萌香と夏希がパソコンの前で真剣に話し合っていて、戻ってきたことにも気づかれず。



「まずは。 基礎体温を計ることじゃない?」



「なんかめんどくさそう。 あたし、いっつも寝坊だし・・」



斯波はそーっとそのパソコン画面を覗き込んだ。



『妊娠しやすいタイミング』



のタイトルを見て





「なっ・・なにやってんだあ???」



思わず大きな声を出してしまい、二人は驚いて同時に振り返った。



「し、斯波さん!!」



「おまえは~、人んちで、なに調べて・・」



わなわなと震える斯波に



「てゆーか! 盗み見しましたねっ! ぷらいばしーのしんがいってヤツじゃないですかっ!?」



夏希は逆ギレとも思える発言をした。



「意味もわからねえくせにえらそうに言うなっ!」



斯波は夏希の後頭部を思いっきりはたいた。




騒がしいまま夏希は帰って行った。



「加瀬さんが。 赤ちゃんがどーしても欲しいっていうから・・」



萌香がしょんぼりしながら斯波の風呂の仕度をしてきた。



「また・・。 そんなの夫婦の勝手にさせとけって。 アホらし、」



斯波はあまりにバカバカしくてため息をついた。



「彼女は真剣に悩んでるんですよ。  まあ、まだ結婚して半年も経ってへんし。 別にどーってことないと思うんですけど。 とにかく、世間知らずの子ですから、いろいろ悩んでるみたいで。」



萌香は夏希を庇った。



「悩んでるって?」



「・・だから。 『回数』が少ないんじゃないか、とか・・」



その言葉に



「はあ??」



斯波は思いっきり彼女に振り返った。

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