第229話 ぼっちな彼女
※ ぼっち・ざ・ろっくのささやかな序盤のネタバレがあります
日本のアニメ史上において、音楽的に重要な作品というのは、けっこう多かったりする。
初代マクロスは戦争を、音楽という文化の力で終わらせるというのが、他の部分をおいてもSFであったろう。
ただそれは音楽自体がテーマの作品ではない。
けいおんは日本アニメ史上、確かに音楽的に重要な作品と言える。
こちらは音楽うんぬんを抜きにしても、アニソンの売上的に歴史に残るものでもあったりする。
ぼっち・ざ・ろっくも間違いなく、それらと並んで意義のある作品であろう。
ライブシーンの美しさという点では、音楽アニメではないが涼宮ハルヒの憂鬱があり、ポップスではないが響けユーフォニアムといった名作もあった。
……続編がもう、作られなくなった作品もある。
これらとは別にアイドルを主体とした作品などもあるが、ぼっち・ざ・ろっくを見ていなければ、今ごろ千歳はバンドなどやっていない。
そして普通に俊も、なるほどなるほどと思いながら見たものである。
説明しよう! ぼっちこと後藤ひとりは友達のいない女の子!
陽キャに憧れて中学時代からギターを始め、一日六時間の演奏の果てにギターヒーローとして多くのフォロワーを持つアカウントとなったが、現実は非情で高校入学後も友達は出来ない!
そんな彼女がギターを持って公園で黄昏ていたところを、ヘルプを頼まれて始まるストーリーである!
そしてギター演奏を公開して絶賛される彼女が、実際にヘルプに入ったところなぜか下手クソ。
その理由としては自分一人で弾いてばかりいたため、バンドと合わせて演奏すると実力が全然発揮出来なかったからである!
木蓮のやっていることも、それと全く同じだ。
彼女はアレンジをアドリブでやる能力も低い。
徹底して真似をすることで、確かに技術は高くなっている。
しかし暁のように、遊べるほどの聴き方をしていないのだ。
暁には父親という、教師であり比較対象である人間がいた。
過去の偉大なロックギタリストと、同じ曲をどうやって違うように弾くか。
またそれを他の誰かと合わせるということ。
暁は同年代相手には少ないが、父の友人世代とならば、それなりに合わせていたのだ。
それでもノイズの初期は暴走していた。
木蓮のやっていることは、つまり経験の蓄積が、偏っているというものである。
耳コピなどで、それを再現するのには優れている。
しかし生の音には、どうしても合わせずらいということだ。
ノイズのメンバーが、最大限の力を発揮出来るテンポというのはある。
メトロノームなどで正確に計測すれば、わずかな誤差はあるだろう。
だがその誤差が、グルーヴ感につながったりもする。
木蓮は完全に、元のテンポで弾こうとした。
そしてノイズのメンバーはそれに合わせたのだが、千歳だけは即座に合わせるのが難しかった。
歌うテンポだけを変えた学校の演奏と、リズムギターまで演奏したここでのテンポの変化は、わずかに歌いにくいと感じても当たり前だろう。
俊のそういった説明に、なるほどと頷く千歳と木蓮。
いや、千歳は気づいていなかったのか。
「あれ? それってつまり、この子はバンド組めないわけ?」
「いや、単純にそういう技術の蓄積がないだけだから、今後は合わせる練習をすればいいだけなんだが……」
もう一つ、方法はある。
周囲が彼女に合わせることだ。
ただ女で、しかも高校生の彼女が、イニシアチブを握ることは難しい。
握れるレベルの高校生バンドでは、そもそも彼女についていけない。
ふむ、と俊は考える。
「柊さん、君は将来、音楽で食っていくつもりがあるのかな?」
肝心なことを、俊はまだ尋ねていなかったのだ。
音楽で食っていく。
そんな覚悟など、千歳でさえまだ決まっていない。
音楽で食うしか方法がない暁や、音楽の範囲でいくらでも食っていける俊、また決意した信吾や栄二とは、共感出来ない部分があるのだ。
ノイズのメインボーカルは月子である。
確かにバンド的な曲には、千歳の声の方が合う場合もある。
だが少し俊が手をかければ、全く違った感じになるのでは、とも思うのだ。
そしてこの質問に対して、木蓮はぶんぶんと首を横に振った。
「そんな、わたしなんかが、プロになれるわけないじゃないですか!」
「なれるなれないじゃなく、覚悟のほどを聞いてるんだけどなあ」
俊はどうどうとなだめる仕草で、木蓮の勢いを止める。
普通の高校生が、俊のような人間から言われれば、勘違いしてもおかしくはない。
俊は確かに、ある程度の才能らしきものを、この二年間で発揮出来るようになった。
しかしそれ以前から、これだけは確実だと思えるものが、一つだけあった。
それはいいものと、それほどでもないものを、はっきりと見極める才能だ。
つまり名馬ではなく、名伯楽であったというところか。
もっとも世の中には、表現者よりも評論家の方が、はるかに多いとも言える。
また俊としても、いいと思ったミュージシャンが全て、大成功していったわけではない。
そこからどうして、売れなかったのかを考えてやっと、俊の経験となるわけだ。
木蓮には技術がある。
これは純粋に、努力をし続けたことによる蓄積だ。
どうしようもなく向いていないこともあるが、人間は努力すればするほど、それなりに何事も上達していく。
没頭できるということが、一つの才能なのである。
そして何かに没頭するというのは、それが好きだから出来ることだ。
これはノイズのメンバーの、ほとんどに言えることである。
中でも一番没頭しやすいのは、月子であろうか。
彼女は読解障害や相貌失認など、普通の人間の脳とは働きが違う脳を持っている。
そして子供の頃から中学卒業までは、おおよそ民謡の世界で厳しく教えられてきた。
好きでないものであっても、これで自分は生きなければいけないと、そう言われてきたのだ。
実際に今、こうやって役に立っているのは、やや皮肉なものである。
暁もギターへの没頭が、他者への無関心につながっているのか。
ただノイズの中でも、特に俊などとは、音楽の話をすれば止まらないところはある。
信吾や栄二にしても、高校時代などはそれぞれの楽器に没頭していた。
中でもドラムなどは、ちょっと練習できる環境が、東京ではあまりなかったので、埼玉あたりのそこそこ田舎であったのは、栄二にとっては幸いであったか。
20代前半でスタジオミュージシャンになるほどの腕というのは、普通にありえないことだ。
しかし栄二はそれを達成しているのだから、本当に技術の蓄積が多い。
俊はその没頭の仕方が、他とは少し違う。
基本的に楽器に対しては、マルチプレイヤーであった。
それは演奏するよりもむしろ、楽曲を分解するために役に立った。
作曲と作詞に対する没頭は、むしろ他のインプットの途中から発生する。
木蓮のやってきたギター演奏は、そういう意味ではやはり、過集中によるものなのだろう。
彼女の練習時間は、最低でも一日一時間、長くて平日でも三時間ほど、というものらしい。
さすがに高校受験の前は、一時間を確保するのが精一杯であったという。
千歳としては今の学校は、そこそこの勉強で入ったものである。
必死になって勉強をした、というほどに頑張ったものではないが、平均よりはやや上の学力で入れるものだ。
偏差値的にも少しだけ高めで、さほどの難易度であったわけではない。
だが木蓮はかなり必死に、勉強してようやく入れたものであるらしい。
千歳はわずかな勉強で、平均よりやや上の順位をキープしている。
これは保護者である文乃や、リーダーである俊がうるさく言っているからだ。
またこの二人は、文乃の場合は問題の意図を読み取るのが上手く、俊は数式などを読み込むのが上手い。
両者にとって言えるのは、感覚の言語化が上手いということで、それはもう文乃は小説で食べているのだし、俊も作詞の多くを自分でやっている。
こういった国語力というのが、全ての教科の土台になっている。
俊が木蓮に提案するのは、一般的な道ではないし、楽な道でもない。
だがそういった道でなければ、生きられないという人間もいる。
俊は、はっきり言えば別に、この道でなくても生きられた。
他の道で生きて行くのは嫌だっただけだ。
それに対して木蓮は、他の道で生きていくのも、難しそうな人間に思える。
音楽の話をすればいくらでも会話が成立するというのは、そういう方面に行くべきだ。
他の話題ではコミュニケーションが取れないのは、立派な社会不適合者である。
強制するわけではないが、少しだけ導く分には問題ないだろう。
「知り合いのバンドに紹介してあげるから、何組かとセッションしてみたらどうだろう?」
才能の片鱗と言うべきか、人間性の偏りは感じられる。
これは上手く育てれば、開花するものであるのかもしれない。
だがノイズにはもう、ギターは間に合っているのだ。
ギターほどではないが、歌声の方もかなり、印象的なものではある。
これを放置しておくことが出来ないのが、俊という人間の性であった。
才能に対する嫉妬はあるが、自分と競合するものではない。
ならば放置するよりは、目の届く範囲で活躍してくれた方がいい。
もっともこの年頃の少女が、そこまで成長するかというと、そこは疑問が残るのであるが。
俊の言葉に木蓮は、目を輝かせていた。
だがすぐに顔を伏せるのは、問題があるからである。
「うちはお母さんがあんまり……」
「まあ女の子がギターは、あんまり一般的じゃないかな」
「部活程度ならいいんですけど」
夜中に連れまわすのは難しいだろう、といったところであろうか。
だが今は夏休みの期間である。
一ヶ月弱の間、昼間に連れまわすことが可能だ。
「夏休みの間に、色々と紹介してあげるよ。条件が合えば校外のバンドに入ってもいいだろうし」
そこまでは難しいだろうと考えるが、今はまず経験をすべきであろう。
ノイズのようなプロではない、一般的なバンドと合わせればどうなるか。
それで結局はプロの道に進まないなら、それはそれで仕方のないことだ。
しかし可能性を奪いたくはない。
千歳が木蓮と一緒に、まだ明るい中をタクシーで帰っていったが、俊に対して暁は質問する。
「なんだか俊さん、かなり親切だったね」
「そうか? ……そうかもしれないな」
確かに適当に誉めて、それで帰してしまってもよかったのだ。
だが俊は木蓮に、ミュージシャンに特有のものを感じていた。
それは不器用さである。
俊たちノイズのメンバーに初めて会って、最初は動揺し遠慮していた。
だがセッションをしてみれば、一気に距離を詰めにきたのだ。
普通の人間でも、別におかしなことではない。
しかしこういった人間関係の不器用さと、音楽に対する傾倒というのは、ミュージシャンの要素の一つだ。
月子や信吾もそれが分かっているようだし、おおよそ半分しか生きていない少女のことは、栄二も生暖かい目で見ていた。
そう、栄二からすれば木蓮の年齢は、もう自分の半分程度になってしまうのだ。
俊としては自分の行為を、単なる親切だと思った。
だが深く考えてみると、後に影響が残るかもしれない。
大学に入ってから本格的に動き始めたが、高校時代からある程度はコネクションを作っていた。
そして今は自分が、誰かのコネクションになる立場となっている。
だが木蓮には、そこまでの期待をしているわけではない。
本人は音楽とギターが好きで、かなりの素質があるのは間違いない。
未来のことまで考えれば、上手くバンドの中で頭角を表すかもしれない。
しかしそれは少ない可能性で、彼女を介してまた他のバンドと絡み、関係性を深めていく。
俊は阿部から、永劫回帰のリーダーであるゴートが、また面倒なことを考えていると聞いていた。
12月あたりを抑えているが、新進気鋭のバンドを集めて、イベントをやろうというものだ。
単純なフェスや対バンというだけではなく、バンドメンバーを入れ替えてセッションしないか、というものである。
今一番人気の永劫回帰と、今一番伸びているMNRが中心となって、大きなところをあと二つほどに、若手を箸休めに何組か、という企画であるらしい。
ノイズはそのあたり、シンセサイザーと打ち込みの俊がいるだけに、誘いやすかったのだそうな。
「とりあえず本当に、何組かと合わせて演奏させてみたらいいだろうしな」
それは本当の話だ。
暁は少し考えて、迷いながらも口にする。
「あの子、フラワーフェスタに合うんじゃない?」
「いや、さすがにそれは段階が違う」
演奏技術だけならば、確かに匹敵してもおかしくない。
だが自分だけではなく、バンドの中で演奏するということ。
それを考えれば、フラワーフェスタもまだ、結成してからさほどの時間が経過していない。
木蓮に合わせて、しかも最大の力を発揮するのは、ちょっと難しいことであろう。
一度ぐらいは会わせてみても、確かに年齢が近いこともあり、ひょっとしたらという気もするが。
それはともかくとして、まずは夏休み中の計画を確認する。
フェスが二回と、仙台ツアー。これが大きなイベントである。
だがライブの回数自体は他にもやってみる予定だ。
ワンマンが多いが、あちらから出演料を出してくれれば、対バン企画で入らないこともない。
もっともほとんどのスケジュールは、既に埋まってしまっているのだが。
バンドとしては信吾や栄二は、ヘルプに入ることが多い。
もちろんノイズの活動を考えれば、そうそう多くの予定を入れられることではない。
俊に関しては阿部と一緒に、今後の計画を立てたりもする。
冬にはまたフェスに参加するが、とりあえず俊としてはどうでもいいが、ノイズとしては紅白に出場することを目標としている。
月子が武道館と共に、目標としていたものだ。
俊としてはむしろ、たいした金にもならないし、変なカラーが入ってしまうのを恐れているのだが。
ノイズはロックではあるが、パンク成分やオルタナ成分よりも、ポップス成分の目立つロックだ。
商業主義的と言われるかもしれないが、多くの人間に分かってもらえるタイプの音楽で、紅白としても使いやすいバンドだろう。
伝わるものは少ないが、伝われば強烈に伝わる音楽、というものが確かにある。
だがノイズは伝わる人間にさえ伝わればいい、という傲慢さとは無縁の方針を取っている。
ほとんどの人間に伝わる音楽をやってやる、というのがその基本方針であるのだ。
つまり儲けたい。
大衆の支持を、まずは圧倒的なものとしたい。
実験的で芸術的な曲は、その後にやっていけばいいのだ。
ビートルズがやったのも、そういう段階である。
別にビートルズに限らず、多くのバンドはノリのいいハイテンポな曲で人気を取って、そこからバラードなどをやっていくのはありふれたことだ。
今のノイズの新曲は、霹靂の刻が実験的でありながら大衆性もあったため、むしろ要求が高度なものになっている。
まだしばらくは大衆的な国民的バンドとなって、そこからの独自化を狙っていくべきか。
やりたいことは色々とある。
その中で永劫回帰の企画は、俊が考えていることにマッチしていた。
ただ色々と組み合わせを変えたり、ギターを三本も四本も重ねたりと、そういうことをするならかなり高度がこととなってしまう。
しかし永劫回帰にMNRにノイズという組み合わせならば、そういうアレンジが可能なメンバーだ。
単純に人気バンドを集めるフェスよりも、よほど意欲的で実験的なイベントにはなるだろう。
もっともそれぞれのバンドに、亀裂を入れる可能性もあるのだが。
順番としてはまず、夏のフォレスト・ロック。そして仙台ツアーの後に、去年も参加したROCK THE JAPAN FESTIVALである。
一番大きなステージでやること、またヘッドライナーの一つ前でやることはほぼ決まっている。
また夏のフォレスト・ロックも一番大きなステージで出来ることが決まっている。
仙台のツアーは、前日入りして一日二回のステージである。
1500人が入るハコは、信吾が地元にいた頃には、いつかはここでと思っていた場所だ。
他の出演者のリストを見ても、完全に今の日本の人気ミュージシャンばかり。
月子が武道館と言っていたが、信吾の望みはそれに比べればささやかなものだ。
故郷に錦を飾るという感覚は、東京出身の俊には分からないものだ。
親の代から東京出身であるため、俊には田舎と言うか、故郷という存在が分からないのだ。
俊の場合は逆に、あそこでやりたいというのは、やはり武道館やアリーナとなる。
また本来は音楽用のコンサート会場ではないということなら、幕張や国立競技場などで、五万人以上を集めることは出来る。
ただそういう場所は、音響はどうなのか、という問題が出てくる。
あの天才はそのあたりがうるさかったため、基本的にはコンサートホールでの公演を好んだものだ。
もちろんドームなどでの公演も、商業的にペイしたためやったりはしたが。
どこの会場でやりたいか、というのは俊にしても、武道館でとりあえずの目標は達したと言える。
しかしここから先は、海外の巨大フェスなどを目標としていくべきなのか。
いや、ライブ以前の問題として、海外展開を考えていきたい。
アメリカに進出して成功すれば、一気にマーケットが世界に広がることとなる。
すると認知度も収入も、一気に10倍以上になるのだ。
ノイズは既に、霹靂の刻によって、ある程度アメリカでの知名度が高くなっている。
アニメーションの出来もいいため、かなりの宣伝効果にはなっているのだ。
このあたりのアメリカ進出では、実はミステリアスピンクの方が早い。
あちらは女性デュオのユニットで、アニメタイアップなどが多いのだ。
ライブをするとしても、確かに多くのファンを集められる。
しかしそのファン層は、ノイズとは明らかに違う。
徳島はタイアップをする場合、それに合わせた楽曲をしっかりと作ってしまうのだ。
そして出来上がったら、どれだけ評判が良かったとしても、もうそれはどうでもいいと考える。
彼の視線は、自分の過去作には一切向けられていない。
常に未来を見ている彼は、普段の作曲量に比して、かけている時間が大変に多い。
時間をとにかくかけて、そして労力もかけて、魂を削って作品を作るタイプなのだ。
俊としても作品の中には、魂を削って作ったような曲がないでもない。
しかし小手先の技術で作ったというか、元となる成分を原料のまま出した曲の他に、調味料として他のレシピとして生み出した楽曲が多い。
徳島は一つのテーマから、一つの究極の楽曲を作る。
対して俊は多くのアプローチをするため、楽曲自体は大量に出来る。
だが徳島に及ぶものは、ほんの数曲しかない。
ミステリアスピンクを、ゴートの考えるイベントに出すのは不可能だな、と俊は考える。
そもそも徳島は、楽器の演奏を人間にさせることを、雑音と思ってしまうタイプなのだ。
打ち込みでしっかりと作って、あとはボーカルに任せてしまう。
作った曲を他人がどう評価しようと、完成した時点でもう、それはどうでもいいことなのだ。
商売として成功させるかどうかは、プロデューサーやマネージャーの役目。
とことん楽曲の作成にしか、興味のない人間であり、あとは実際にどう歌ってもらうか、レコーディングまでしか興味を抱かない。
ライブでは案外迫力がない、とも言われた。
なのでイベント向きではないのだ。
二人のボーカルの力は、確かにいいのだがライブ感に欠ける。
そのあたりは俊であれば、もっと上手くステージ用に演出することが出来るだろう。
そんなことまで考えないあたり、まさに天才と言うよりは音楽の、芸の鬼と言うべきなのだ。
売るのは人に任せて、自分は作るだけ。
それで成功しているのだから、あれはあれで恐ろしい。
俊としても今の、既にあるアメリカへのラインを、どうにか使っていきたいところだ。
(海外でも大ヒットするような、アニメのタイアップがいいな)
一度目は、曲もOP映像もいいが、作品としては評価されていない。
分かっていたことであるが、新しく放送されるたびに、千歳が嘆く。
「こんなはずじゃなかったのに」と。
終わってしまったことは仕方がない。
それになんだかんだと、楽曲自体は評価されたのだ。
次もまた、こういう機会を作っていきたい。
そのためなら俊は、また微妙になりそうなタイアップであっても、全力で作っていく予定である。
×××
この後にとりあえずの登場人物紹介などがあります。
今後も付け足していくか、また少し進んだところでまとめるなどをします。
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