第224話 わがままとこだわり
夜のステージが始まる。
基本的な流れは昼の部と変わらないが、少しセットリストは変わっている。
昼はライブが終われば、そのまま灼熱の太陽の下へ戻る。
幻想世界からの帰還、といったところだろうか。
それに対して夜の部は、多少なりともアダルトか、もしくは背伸びした感じの公演となる。
「なるほど」
後方彼氏面でノイズの演奏を聞いているのは、MNRの白雪であった。
「セツ、やっぱノイズの音楽って、聴きやすいよな」
同じバンドでドラムを叩いている紅旗は、ものすごく分かりやすい特徴を言う。
ちなみにセツというのは、白雪の本名からの呼び名である。
「まあいい意味で商業主義に乗ってるからね」
「悪い意味もあるんですか?」
こちらはギターの紫苑である。
「フィーリングの問題だけど、歌詞にはちゃんと意味があって、それが聞き取れないと台無しになる曲はある」
曲と曲の合間に、三人はそんな会話をしている。
取ったチケットはかなり後方の席で、だからこそと言うべきかステージの全体の構成が見られる。
昼の部も良かったらしいが、複数回聞こうという気にまではなっていなかった。
基本的にMNRは白雪が全てを決定するバンドだ。
その方針はノイズよりもよほど、一点集中とも言える。
20歳になった二人の、親の世代のほんの少し下。
白雪はそんな年齢のはずであるのだが、見た目だけならむしろ二人の方が年上に見えたりする。
ちっこい体で大きなベースを持って弾き、独特の声で演奏をするのだ。
紫苑もコーラスパートを歌うことがあり、それが上手くはまっているのがMNRだ。
ただベースでしっかりと低音のリズムを刻みながら歌うのは、独特の技術がないと難しい。
元はギターで作曲をしたりもしていたのだ。
紅旗は曲になるとノっているのだが、白雪と紫苑は観察するように、ライブパフォーマンスを眺めている。
別に退屈だとか、クオリティが低いとかではなく、純粋に分析しているのだ。
ライブの楽しみ方としては、ちょっとひねくれたものであるかもしれない。
なお彼女たちも八月に、この武道館でのライブを控えている。
白雪は過去に、バックの演奏で武道館に立ったことが何度かある。
だが前面に出てフロントマンとして歌う経験は、これまでにやったことがなかった。
自分はあくまでコンポーザーと思いながらも、ずっと演奏の技術を錆付かせることなく練習はしてきた。
そして最初は、紫苑にギターを教えてやってくれ、などと頼まれたのだ。
「人前でもやってみたいです」
弟子がそんなことを言ってきたので、どこかに混ぜてもらおうかと思っていたところに、今度はまた別口から紅旗を紹介された。
「こいつが入れそうなバンド、心当たりがないかな」
それが三年ほど前で、じゃあ一緒にやってみたらどうかな、と思ってしまったのが悪かった。
いや、演奏は楽しんではいるのだ。
だが白雪の楽しみ方はかなりマニアックなものであり、曲を構成している要素を抜き出していくというものだ。
その曲の中にあるものを、曲でも歌詞でも抜き出して、バラバラに分解してしまう。
それを自分の色で再構成するというのが、白雪なりの作曲となる。
パクリと言われることもあるが、彼女としては開き直るのだ。
「でも私の曲の方が売れる」
それにパクリと言うよりは、多くの曲の要素を持ってきているので、これを合体させればとてもパクリとはならなくなる。
音楽におけるパクリ論争というのは、古くからずっとあるものだ。
ただメロディラインが5秒ほど同じだったとして、それをパクリと言うのだろうか。
曲全体の中で、わずかに5秒ほど。
それも演奏する楽器が違っても、それでもパクリというのだろうか。
洋楽が日本で一般的でなかった時代に、ややマイナーなところからリフなどを持ってきて、ほぼそのまま使ったりする。
そういったことが日本では行われていたし、アメリカでも普通に行われていた。
ある意味、寛容な時代があったとは言える。
ただAIの発達により、新たな曲を作るという段階になると、もうそれは違う話になるのだろうが。
曲を作るだけならば、確かにAIは出来るんじゃないかな、と白雪は普通に思う。
ただギターの音を歪ませたり、ベースでグルーヴ感を出すのは、ちょっとまだそんな未来は見えてこない。
そしてボーカルはそれぞれが、唯一無二のものである。
自分のボーカルに関しては、実は白雪はさほどいいとは思っていない。
だが独特の声質は持っているな、とは思っている。
声の特徴がほどよいことが、いいボーカルの条件であろうか。
しかしMNRはシャウト系の声では歌わない。
ノイズもMNRと、それなりに似たイメージがある。
ただ俊の場合はMNRよりも、もっと自由度が高いなとも思う。
白雪は他の楽器を、曲の中に組み入れることが出来るし、打ち込みでエンジニアにやってもらうこともある。
だが基本的にはギターというのが、ずっと続けてきた彼女の作曲だ。
「お、OPやるな」
また紅旗が星姫様のOPに、共鳴するように腕を上げる。
紫苑の音楽の楽しみ方は、先生に似てしまったと言ってもいいだろう。
生徒と言うよりはもっと、弟子という方が正しい。
音楽だけではなく遊び方さえ、ほどほどのことを白雪は教えていった。
この間のようなラウンジも、その一環ではある。
楽曲を分解するという、このかなり職人めいた楽しみ方。
これによって白雪は、昔からコンポーザーとして活躍はしていたのだ。
時代は天才により、日本の音楽市場が荒らされた後。
その中で社会は、新しくも安心できる音楽を求めていた。
白雪のコンポーザーとしての活動は、その時代から始まっている。
最初は四人編成のバンドで、白雪はギターを弾いていたのだ。
あの時代、ほんの短期間ではあるが、日本の音楽業界でトップに立った。
それもリーダーであったギターボーカルの死によって、バンドは解散してしまった。
それからも白雪は、音楽業界に残っていた。
純粋に音楽自体の楽しみは、彼女から奪われることはなかったのだ。
そして当時のメンバーから、教え子を紹介された。
まさかその二人と、ここまで本格的に活動することになるとは、思ってもいなかったのだ。
だがやってみたらやってみたで、やはり楽しんでしまう。
俊は様々な伝手やコネから、新しいムーブメントへの移行を感じている。
だが白雪は普通に、3~5年ほどでおおまかな変化があるのは感じているのだ。
ミュージカルパイレーツなどはもうずっと、時代の変化に合わせつつも、自分たちの本質を失わないバンドである。
それと比べるとMNRも、白雪が俯瞰的に音楽業界を見てきたため、上手く流行に乗せてきている。
おそらく最初の発端となったのは、永劫回帰であろう。
あのバンドの音楽が、新しい始まりとなっている。
そこからノイズ、ミステリアスピンク、MNR、ピットサイクル、ザ・ビジョン、ブラックマンタ、GEARあたりが同じ方向性だろうか。
この中ではミステリアスピンクが、あのらせんPによる作曲であるので、一番異質で新しいかもしれない。
ただコンポーザーとして徳島と話したこともあるが、彼もまたちゃんと分かっていた。
音楽の中で本当に革新的なものなどは、そうそう生まれるものではない。
しかしほんのわずかな新しさや、組み合わせる新しさによって、人々に伝えることが出来る。
徳島は楽曲を分解してしまうが、その奥深くから持ってくるものは、白雪よりもよほど本質に近い。
それに比べると俊などは、完全に売れ筋に寄せてきている。
ある程度の縮小再生産をしながらも、たまにどこからか新しい要素を持ってくる。
霹靂の刻の後にも、二つほど新しい表現を感じさせるようになった。
アレンジ能力に関しては、おそらく徳島が一番豊富だ。
ただ売れ筋に寄せずに、新しさや芸術性を求めてしまうので、ストッパーがいるのだろう。
そんな白雪ももちろん、花音の存在に関しては、随分と以前から気づいていた。
だが俊のように、それを恐れたりライバルだと感じたことはない。
音楽はもっと自由で、それぞれのものであるのだと、ずっと前に分かっている。
そして独りよがりではなく、全員が楽しめるコミュニケーション手段として、作詞作曲をしているのだ。
サビでしっかりと盛り上がる、ある程度はこうと定められた技法。
誰かが新しいコード進行をやってみせれば、それを自分も使ってみせる。
キーを上げ下げするだけで、途端に変わっていくものなのだ。
激しく熱狂するオーディエンスと違い、白雪はクラシックを鑑賞するかのように、メロディやリズムを楽しんでいた。
そしてボーカルの中にある、訴えかける感情。
バンドボーカルと、ソロでも通用するボーカルの、二人がノイズにはいる。
白雪が考えるに、本当はMNRも、紫苑がメインの方がいいのでは、と思うことはあるのだ。
あと一人ぐらい、メンバーは増えてもいいかなと思う。
だがそれは流れ次第であり、今のバランスを崩すぐらいなら、ヘルプで時々入ってもらうぐらいでいい。
バンドというのは本当に、微妙なバランスで成り立っている。
今のMNRなどは、白雪が完全にリードすることで、若い二人を活かしている。
だが年齢差を考えれば、そのうち二人は他のバンドと新しく組むことになるかもしれない。
白雪としてもまさか、ここまで長く続くとは思っていなかったのだ。
長いと言ってもまだ、三年ほどではあるが。
基本的にはコンポーザーで、アレンジなどまでやってしまえる。
だがこういうテクニックは、紫苑の方にも教えているのだ。
紅旗はとにかくでかい音を鳴らすドラマーだが、技術はしっかりとしている。
もっとも白雪から見れば、まだまだ未熟なところばかりだ。
しかし成長曲線が鈍らないのが、紅旗の将来性でもある。
二人が自分の下から巣立って行く時。
白雪は登って行く道の途中で、既にそんなことを考えていた。
わずかな微笑を洩らす、満足のいくライブであった。
自分たちなら武道館のステージを、果たしてどうやって使うのか、そういうことも考えた。
「セツは武道館ではやってないんだよな?」
「そうだね。一応チャート一位を連続では取ったけど、活動期間がとても短かったから」
「夢が叶いますね」
紫苑は嬉しそうに言うのだが、白雪にとってはそうでもない。
確かに武道館やフェスのヘッドライナーというのは、大きな大目標であろう。
四大ドームツアーなどというのも、最強の人気バンドでないと出来ない。
だが白雪は自分たちのバンドを中心にではなく、音楽業界を俯瞰的に見ている。
だからムーブメントの変化にも気づいているし、世界的な動きなどにも気づいている。
洋楽における分かりやすいロックの衰退なども、現状の動きではある。
しかしそれもまた、大きな流れの中の一つに過ぎない。
少し考え込んで、歩みが止まる。
追い越してしまった二人が振り返るが、そんな白雪の視界を隠す大きな手がかぶさる。
「だ~れだ?」
「さっさと離せ、クソガキ」
普段はクールな白雪であるが、遠慮なく罵倒する相手というのも存在する。
「え~誰だか言ってよ~」
「え、永劫回帰の」
「ゴートさん?」
紅旗と紫苑が先に言ってしまったので、ゴートも手を離す。
ビジュアル系とも勘違いされる、永劫回帰のリーダーにしてドラマー、ゴートがそこに立っていた。
そして唇に指を立てるのは、サングラスをしていてもそのイケメンっぷりが際立つからだ。
周囲に騒がれるのは、どちらも嫌なものである。
わずかな囲みが生まれる前に、ゴートは場所を変えるべく提案する。
「ゴート、生徒たちは?」
「あの子らは別行動。いつまでも僕の監督下に置いておくのもね」
現在の邦楽シーンにおいて、最高のドラマーとも言われているのが、永劫回帰のリーダーであるゴートだ。
彼が集めたり選んだりして、作られたのが永劫回帰というバンドである。
徳島などはもういいと切り捨てていたが、瞬間最大風速としては、今の日本ではナンバーワンの人気であるだろう。
バンドというだけではなく、ソロなどのミュージシャンも含めて、最高のアーティスト。
実際に売れ行きという点であるなら、間違いなくナンバーワンだ。
ドラマーという縁の下の力持ち的なポジションでありながら、バンド内での人気は彼が一番である。
何よりもまず、とにかく顔がいい。
マルチプレイヤーで、これまたギターもベースも出来て、さらに歌うことが出来る。
ただ最終的に選んだポジションは、やはりドラムなのである。
ドラムを叩きながら、歌うということはそれなりにしている。
同じドラマーである紅旗としては、雲の上の存在だ。
しかし白雪にとってみれば、もう10年以上も前から、ちょろちょろと面倒な小僧である。
ただゴートも馴れ馴れしいながら、ある種の敬意は白雪に払っている。
「こうやって飲むのも久しぶりだっけ」
「そうだったかな」
白雪の言葉が荒いのは、むしろ気を許しているからである。
クールビューティーというには幼い印象を与える外見の白雪だが、ゴートはもう随分と昔から、彼女との関わり合いがある。
誘われたのは居酒屋風の創作料理店であり、個室を用意させた。
こういうところを確保しているのは、白雪と同じようで、業界に染まった証明のようなものだ。
「奢りだからどんどん頼んで」
「あ、じゃあとりあえず、ここからここまで全部を」
紫苑がとんでもない量を注文するが、これは白雪や紅旗とシェアするためのものである。
三人はそういった、細かい点も仲がいい。
ゴートの視線は白雪の弟子二人を、値踏みするようなものであった。
しかしやはりルックスがいいな、と紅旗は関心している。
そんなものはどうでもいいな、と思っている紫苑の方が、女性としては珍しいだろう。
「ノイズの音楽は、自由度が高いね」
「そうだね」
ゴートが語りかけるのだが、白雪は素っ気無い態度である。
ただこれは相手を嫌っているとかではなく、遠慮せずに素のままで対応しているだけだ。
ゴートはあるいは白雪よりも、バンドリーダーとしては強力な存在だ。
今でもまだ充分に若いが、それこそ10代の頃から西へ東へ、ドラムを叩きに行っていた。
海外、つまるところアメリカでも名前が知られていて、だからこそ永劫回帰は国内でトップ3には入るだろうと今でも言われている。
ただ野心と言うよりは、面白いことをとこととん追及するのが趣味だ。
今のバンドメンバーにしても、ボーカルのパワフルなシャウトがあってこそ、バンドとしてのピースがはまっている。
安定したパワフルな演奏を、常に提供していく。
そのために重要なドラムを、彼はずっと叩いている。
こんな場所に連れ込んだのは、もちろん話があるからだ。
それもノイズのライブの後であるから、それに関連しているのではと推察出来る。
「まだ企画だけの話なんだけどさ、ウチとMNRと、ノイズにあと二つぐらいバンドを集めて、イベントをしようかなって考えてるんだ」
「ふーん」
白雪は軽く流したが、その両脇の二人は息を飲む。
どんなイベントなのかは知らないが、それは現在のトップクラスのバンド、トップクラスになりつつあるバンドを集めるということだ。
「現実的じゃないね」
白雪は一蹴するが、所属する事務所のレコード会社が違うので、コンピレーションアルバムの企画などならともかくイベントとしては難しいだろう。
レコード会社の力関係などを考えれば、どこが旗を振るかという問題もある。
そういった白雪の反応は、ゴートとしては充分に予想の範囲だ。
「うちの会社が動いていて、GDレコードは動かせるんだよね」
「……ああ、そういえばなんかあったね」
彩の移籍騒ぎについては、白雪も小耳に挟んでいた。
ただMNRはレコード会社としてはサミー・ミュージック所属なので、この垣根も取っ払う必要がある。
「私たちにメリットがない」
確かにイベントとして成立するなら、大きく盛り上がるものであろう。
かなりの規模のフェスと、同じような面子を揃えられるかもしれない。
だがそこまでやって、果たしてペイ出来るのかどうか。
確かに永劫回帰の所属するALEXレコードならば、そこまでのイベントをする体力はあるだろう。
しかしそれぞれが、武道館を満員に出来るだけの集客力を持っている。
それをあえて一つにするというのは、どんな目的があるのか。
「知ってることを全部話しなさい」
「花音をもっと売り出したいんだって」
「ああ」
なるほどそれは、納得の出来る話ではあった。
白雪もまた、花音の存在に関しては、かなりの興味を示している。
あのボーカルとしての能力は、少し白雪に似ているものだが、同時に上位互換に近い。
ただ東京ドームでのデビューから、その後の活動はむしろ控えめだ。
楽曲はいくつか発表していて、確かにそれは流れているのだが、あの最初の爆発するような印象を、さらに打ち出すことは出来ていない。
同じレコード会社であっても、事務所の違うライバルではある。
ただゴートという人間は、自分が最強というイメージを持っているため、面白いと思ったことは打算抜きでやってしまう。
会社にどういう意図があろうと、それをさらに上回る。
それぐらいのことはしないと、この世界でのし上がっていくことは出来なかった。
ゴートはなんだかんだ言いながら、現場の実力からのたたき上げなのだ。
純粋に音楽を愛する人間としては、白雪も確かに花音の歌はもっと聞きたい。
ただこういったことは事務所を越えて、さらにレコード会社まで巻き込んだものになるので、白雪であっても話を通すのは難しい。
「まあ事務所が判断して、OKを出すのなら私は構わないけどね」
「そのためにも今、ギタリストを探してるんだ」
話がつながっていないので、白雪はさらなる説明を促す。
「花音をバンドのボーカルとして売り出すつもりらしいんだけど、主にギターが足りないんだよね」
「それって今行っている、オーディションと関係がある?」
「そうそう」
「他のポジションは埋まってるんだ?」
「そうそう」
白雪としては、しっくりとこないところがある。
花音はピアノも上手かったが、あれはソロで歌うべきシンガーだと思う。
わざわざバンドでやるような、そんなリスキーなことはすべきではない。
「うちのギターを引き抜こうとか、そういう考えじゃないよね」
「ああ、それは条件に合わないから、ないない。ただ心当たりがあれば、ちょっと紹介ぐらいはしれほしいけどね」
「条件?」
「10代の女性で凄腕」
「ノイズのアッシュみたいな?」
「そうそう」
「まさかガールズバンドとかで売り出そうとか?」
「そうそう」
さすがに白雪もびっくりである。
白雪は演奏する立場ではなく、コンポーザーとしても、そしてプロデュースとしての立場としても、ある程度の販売戦略が分かる。
それをわざわざ、そんなニッチな条件を付けて売り出そうというのか。
「何を考えているのかさっぱり分からない」
「正直に言えば僕もそうだけど、あれぐらいの才能があれば本当に、わがままを通せるってことかな」
わがままとこだわりは、似ているようで違うものだ。
案外それは、わがままではなくこだわりなのかもしれない。
だからこそレコード会社も、そんな無茶な条件で探しているわけで。
「その年齢の女性というなら、それこそアメリカの方がいるんじゃない?」
「確かにいるけど、他のメンバーとの相性があるからね」
ゴートもまた、内心では苦笑しているのだろう。
だがミュージシャンというのは、売れると確信させたならば、いくらでもわがままが言えるのだ。
「私にはいないね」
「どこかにいないかなあ、ギターヒーロー」
そうゴートは洩らすものの、本人自身はさほど、本気で探しているとも思わせないものであった。
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