第219話 ミッドナイトレクイエム

 学生でなくなってからも、夏休みを強く意識している俊である。

 なぜなら自分は働いていても、学生たちは夏休みになる。

 そういった客の動きを計算に入れて、こちらも企画していかなければいけない。


 音楽の季節というのはいつなのか。

 もちろん一年中いつでも音楽は響いていて、季節を示す歌も様々にある。

 だがそれでも、野外での巨大フェスの実行が可能になる、春から秋。

 そして学生の長期休暇がある夏こそが、やはり一番の季節ではあるのだろう。

 その夏の中でも、八月が一番の大きな季節であろう。

 ノイズの武道館ライブは、七月に行われるが。


 阿部が色々と仕事を取ってくるが、基本的には音楽関連のものばかりである。

 露出はしていくが、これは仕事と言うよりは、宣伝を兼ねていると言った方がいい。

 情報がネットで拡散する時代、確かに個人の発信力が大きな時代ではある。

 しかしマスコミを使う場合は、その発信の責任というものに、複数の手が関わってくる。


 なんだかんだ言いながら会社という組織を通して出される情報は、そのソースまでかなりの部分が、保証されていると言っていいだろう。

 ただマスコミは第四の権力などと言いながら、長年そのチェック機能というものがなかった。

 今では個人の発信により、その整合性をかなりチェック出来るようになっている。

 音楽の世界においても、CMなどを流しまくって、タイアップで売るという動きはなかなか難しくなっている。

 アイドルの形にしても、昔は本当に偶像であったのが、今は手の触れる距離にあるというのが、メインストリームになっている。


 個人の時代になっているのだ。

 それを当事者である、若者たちはごく自然の状態として感じている。

 だが阿部のような一世代前や、さらにそれより前の人間は、時代を俯瞰して比べることが出来る。

 岡町や針巣の世代であると、かろうじてジョン・レノンの生きていた時代を感じているし、カート・コバーンの自殺もリアルタイムだ。

 もっともその時代はネットが発達していなかったため、即座にそれに反応するということはなく、SNSで話題になるということもありえなかった。


 ネットにしても21世紀に入ってもまだ、リアルタイムでの更新は旧来のマスコミに追いついていなかった。

 本当は既に大型BBSなどはあったが、最初に書き込む人間が限られていたのだ。

 しかし今ではPCではなく、スマートフォンを各自が持つ時代。

 これは一人一人が、それぞれネットに接続し、SNSを利用して情報を発信する時代になったということだ。

 フォロワーの数がそれなりに、発言力が大きいこととなる。

 それでも従来の有名人には、当然のように多くのフォロワーがついていたりした。

 胡散臭い人間も大量に発生しているが。


 今の人間はどんなジャンルでも、他者に訴えかけるにおいては、ネットを無視しては語ることは出来ない。

 またプラットフォームの利用に関しても、重要なものとなっている。

 短い曲が受ける時代である。

 それでも気の利いたギターのリフは、ソロで聴かせたいと考えるノイズである。

 時代に合わせることは必要だが、単に迎合していてはいけない。

 その時代性を充分に把握しながらも、内容は独自のものでなければいけないのだ。

 

 今はイントロが短いか、イントロがないか、そもそもサビがイントロで使われるか。

 あるいは強烈なイントロがないと、ちょっと聴かれにくい時代になっている。

 かつてはコスパという言葉が使われたが、今はタイパという言葉が使われている。

 そのコンテンツに、自分の時間を使うだけの価値があるのか、というような意味として使われている。

 コンテンツの供給が過剰な時代である。

 そして商業化していても、それがそのまま作品の質を保証するものではない。

 音楽でもネタ曲と呼ばれるものが、大きく使われたりする。 

 とはいえ流行のボカロ曲では、意外とイントロがそれなりにあって、ギターソロ的な間奏もあったりするのだ。




 その日、千歳は何気に不機嫌であった。 

 ノイズのメンバーはそれなりに繊細と言うか、メンバーの調子に気づかないような浅い仲ではなくなっている。

「どしたの?」

 割と親しくなったら、空気を読まずに話しかける月子がいて、それに対して千歳も普通に対応する。

「星姫様、一話見た?」

 ああ、そのことか、とメンバーは理解した。


 さすがにタイアップに自分たちの曲が使われているので、深夜ながらリアルタイム視聴をしたのだ。

 俊に月子、信吾の三人は、リビングのテレビでそれを見た。

 別に録画して翌日でもいいとは思ったが、リアルタイムでどういう感想がSNSで囁かれるか、気になっていたのは当たり前だ。

 そして第一話の出来は、はっきり言って微妙であった。


「まあここから盛り上げていくかもしれないからな」

「それはない」

 俊が珍しくも楽観的なことを言うが、千歳はそれを否定する。

「今は一つのシーズンに、50本も60本もアニメがある時代だから、一話は全力で作っていくんだよ。じゃないとあっさり切られるし」

 そういうものかな、と俊は思う。一応今までに千歳から渡された作品は、外れはなかったと思うのだ。

 音楽だけはいいから見ておけ、というのは確かにお察しであったが。


 千歳は音楽に関しては謙虚である。

 自分がやっているのだから、そして自分が下手だと思っているから、変に批評家めいたことは言わない。

 だがアニメやマンガに関しては、責任もないので遠慮もない。

「完全に外れだよ。監督の名前も確認してみたけど、今までに一作しか担当してないし、特に有名な作品でもなかったし」

「あ~、俺たちに愚痴るのはいいが、絶対に外で話したり、SNSで呟いたりするなよ?」

「そりゃしないけどさ」

 千歳としては、よく言われることを、この作品でも言ってしまうのか、という気分であった。

「OPが本編みたいなもんじゃん!」

 それ以上はいけない。


 ただ、言っていることは分かるのだ。

 原作のマンガを読んだので、なんでこんなにのったりしたテンポなのか、どうにも理解しがたいのは、俊も一緒だった。

 5分アニメなら自分がコンテを切った方が、いい作品になるだろうな、とさえ思ったのだ。

 もちろん20分のアニメコンテは、さすがに自分の手に余るとは思っている。


 そもそも原作をそのまま脚本にすれば、もっと分かりやすいのではないか。

 ただ原作にクセのある作家だけに、あの雰囲気を上手く表現するのは難しいかもしれない。

 自分たちの曲と、外部発注したOPだけは、確かに素晴らしいものがあった。

 これはあれだ。OP詐欺というものである。

 昭和の時代から、OPが本編という作品はあったものなのだ。


 どうしてこうなった、という気分が原作ファンの千歳には大きいだろう。

 俊としても不本意であるが、予算と人と時間の問題であろう。

 本来のラインを他のところに使って、まだ未熟なアニメーターが練習することになってしまった作品。

 それならそれで中止してしまえばいいと思うのだが、関わっている人間が多く、またスポンサーなどもいるために、どうしようもなかったのだろう。

 ただ、これだけは言える。

 作品が悪いのはOP曲のせいではない。




 千歳はわざわざエゴサまでしたらしい。

「うちらのOP曲と映像は、良かったって言われてるんだけどさあ」

「そういえば結局EDも、よく分からないとこだったな」

 静止画にED曲が流れていくという、これ以上はない手抜きであった。

 もっとも一枚絵であったので、それなりに見られるものではあったが。


 だが、本当に1クール目で良かったとは思う。

 2クール目はMNRを使っておきながら、またOP映像も変わるはずであるのだ。

「今のアニメっていうのは、もっと高いレベルだと思ってたんだけどな」

「今年のクソアニメ、ベスト5には入るんじゃないかな。原作者も何も反応してないし」

 元々あまり、SNSなどでの発信をしない作者ではあるのだ。それにしても千歳の言葉が汚い。


 何が原因であったのだろう。

 事前に色々と聞いているが、アニメ制作には時間がかかるし人手もいるし、機材も必要となる。

 機材と言うよりはスタジオであろうか。

 つまりラインがいいところがなくて、新人や若手、下手くそが集まったということなのであろうか。

 ただ俊の中途半端な知識だと、コンテとその前提の脚本がしっかりしていれば、まだ見られるようなものになったと思うのだ。

 そんな重要なところに、下手くそが生き残れているものなのだろうか。


 ありうる話だろう。

 俊の父なども売れっ子コンポーザーであった時は、供給能力以上に、需要が発生していた。

 それに対してどんどんと、曲を提供していったため、結果としては多くの駄作がただの時代の流れによって、それなりに売れてしまったのだ。

 今でもまだしも聞ける曲も、ちゃんとあることはある。

 ただその絶対数は少ないし、いい曲がその中に埋もれてしまっているというのも確かだ。


 数をこなさなくては、存続出来ない。 

 アニメスタジオ会社として生きるために、自転車操業で回さないといけなかったということなのだろう。

 そんな会社なら潰れてしまえと思うところだが、俊としては自分の被害が少ないだけに、そこは寛容になれる。

 音楽の世界は、広大な麓があってこそ、頂も高いところになる。

 アニメもそうだとしたら、新人や若手が下手くそな絵を描いて、成長していく場所も必要であるのではないか。

 それで作品を汚された原作者やファンは、たまったものではないだろうが。

 ビジネスとしては理解出来る。ただ、嫌悪感はどうしても発生する。


 これに関しては阿部も、連絡をしてきた。

『まあOPだけは外注でいい感じだし、本当にOP詐欺と言われるんじゃないかしら』

 そのあたりが妥当な評価だろう。

「こちらからアクションを出しますか?」

『公式SNSでは前からOPを担当するとは発信してるし、一話が最速で放送されたことを伝えるぐらいこちらでしておくから』

 あとは自分たちが、下手にSNSで呟かないことである。


 一応ノイズのメンバーは、全員がSNSのアカウントを持っている。

 月子の場合は写真ばかり載せているので、謎の存在と思われていたりもする。

 一番文章の発信が多いのは、千歳であろう。

 猫を見つけて面白ければ、それを写真に撮ったりする。

 彼女のには念のため、もう一度しっかりと注意しておいた。




 俊という人間は全てを音楽に捧げているような、無味乾燥な人間と思われがちである。

 ある程度はそれも間違いではないが、全ての経験が音楽につながると思えば、普段はやっていないこともやる。

 たとえば業界人が集まるような、クラブにも入ったりする。

 もっとも今回、呼び出されたのはそれよりも一つ格上の場所である。

 会員制のラウンジ。

 キャバクラに近いものであるが、高級感が全く違う場所である。


 阿部を通じて、俊は呼び出されたのである。

 もっとも呼び出されたといっても、高圧的なものではないし、こちらの予定を尋ねてきたものである。

 俊だけではなく、一緒に来れるならノイズのメンバーも、と言われていた。

 ただ場所が場所であるので、女性は来にくいのではないか。

 それは印象だけであり、実際はそれなりに女性客もいる。


 キャバクラやホストとは、完全に空気が違う。

 俊は一応成人の、月子と信吾を連れてきていた。

 栄二は万一にも嫁に疑われると嫌なので、やってきてはいない。

 会員制のはずであるのだが、俊の顔を確認して、そのまま通される。

「なんかむっちゃ高級そうなんだけど」

 月子はそう言うが、確かにその通りなのである。

 高い酒を頼んだら、平気で一晩で数百万が飛んでいくという世界だ。


 ジャケットの俊と信吾に、月子もそれなりのフォーマルなスーツ。

 ドレスであるとスタッフだと勘違いされてしまうかもしれないからだ。

 静かに流れる音楽は、ロックでもポップスでもなくジャズである。

 これはもう、空間だけで費用が発生するというものだろう。


 案内役のラウンジ嬢も、レベルがかなり高いものである。

 実はこういう場所のスタッフは、まだ売れていないアイドルや女優の卵が、働いている場合も多い。

 働かせる側としても、充分に安全であると分かっていて、送り込んでいる事務所がある。

 つまり従業員でさえもが、多くは芸能人の入り口に立っている人間であったりするのだ。

 そして三人を待っていたのは、同じく三人の人間であった。

「や」

 ひょいと手を上げたのは、ミッドナイトレクイエムのベースボーカル担当の白雪。

 ついでに他のメンバー、ギターの紫苑とドラムの紅旗も、その両隣に居心地悪そうに座っていた。




 スリーピースバンドのミッドナイトレクイエム、通称MNR。

 ベースボーカルの氷川白雪をリーダーとしたバンドグループである。

 ただ見た目は中学生から高校生という白雪が、実はこの中で一番年上だ。

 表舞台に出てくる前、コンポーザーとして活動したりしていた時期から数えると、少なくとも30歳ぐらいにはなっている。

 だが見た目はもう、10年前と全く変わっていいない、魔女のような存在だ。

 そういったことは、一応は俊も知っていた。


 周囲の美少女、美女スタッフにも、完全に可愛がられている白雪。

 その両脇の二人は、ちょっと居心地が悪そうにしている。

「ちょっと外してくれる?」

 その言葉に従って、離れていくスタッフたち。

 ちょっと残念そうな信吾は放っておいて、俊たちも席に着く。


 MNRはこの二年で急激に人気が出てきたバンドだが、白雪の活動自体はもっと以前からのものだ。

 なにせ系譜を言うのであれば、一応は俊の父の弟子にあたるのだから。

 ただ、わずかな面識はあったが、そこまで言葉を交わした仲でもない。

 しかし俊が、自分より明らかに才能があると認める、それなりに多くのミュージシャンの中の一人だ。

 顔出しをせずに、コンポーザーとしてあるいはスタジオミュージシャンとして、長年活動してきた白雪。

 それがあえてバンドとしてデビューしたのは、それに相応しいメンバーが揃ったからだ、と言われている。


 ギターの紫苑はお嬢様っぽい雰囲気を持っているが、ギターの演奏技術はとにかく速い。

 比べてみたら暁とどちらが速いだろう、という弾き方さえしてしまうものだ。

 そしてドラムの紅旗は、とにかく大きな音を鳴らすドラマーだ。

 速さと大きさ、くっきりとストロングポイントが存在する。

 もっとも白雪が本当に表に出てきた時は、俊はちょっと驚いたものだ。

 そもそも作曲はともかく、歌えるとは思ってもいなかったのだ。


 このタイミングで、その白雪から呼び出しがかかる。

 いくつか心当たりはあるが、一番直近のことを考えれば、やはりあれであろう。

「MNRのOP曲は、もう渡してあるんですよね?」

 感情は豊かだが、それをあまり表面に出さないのが白雪という人間である。

 音楽業界を生き残ってきた人間としては、必須のスキルであるかもしれないが。

「聴いたよ、君たちの音楽」

 薄く割ったウイスキー……ではなくウーロン茶を、ちびちびと飲む白雪。

「良かったよ。OPは」

 ものすごく何か言いたげな白雪である。

「まあキャベツよりはマシかな、といったところだ」

 初めて白雪と対話する月子と信吾は、彼女のこの偉そうな言い方に、違和感を抱いているようだ。

 ただ俊としてはこの天才も、また独特の人間なのだと分かっている。


 紫苑と紅旗の二人も、アルコールではなくおつまみをもぐもぐと食べている。

「今からでも手を引けないかな、と考えているんだが」

「それはさすがに無理でしょうに」

 白雪はあちこちに、密かに貸しを作っているらしいが、それでも限界はあるだろう。

「やっぱりか。原作はリアルタイムで読んでたファンだったから、非常に残念だ」

 ナッツ類を好んで食べるあたり、なんとも小動物っぽいと言うか。




 年齢を計算すると白雪は、少なくとも30歳にはなっているし、現実的なところでは35歳ぐらいでもおかしくない。

 まあ芸能界というのには、確かに美魔女と呼ばれる存在はいる。

 だが彼女の場合は、合法ロリなどと言われているのだ。

 もっともファンの多くは、彼女がそういう存在であると知らない。

 コンポーザー時代は、また別の名前を使っていたからだ。


 話としては、それぐらいなのだろうか。

 そう思ったが、やはりそんな一件だけで、彼女が呼び出すはずもない。

「ALEXレコードとGDレコード、何か企んでる?」

 そっちの話も飛んできた。

 何かの動きがあるのだと、彼女の方にも伝わっているのだろう。

 ちなみに彼女もまたメジャーレーベルに所属しているが、レコード会社はどちらでもない。


 こちらについては俊は、特に隠すようなこともない。

 だが全てを教えてしまう、というのもそれはそれで情報の価値を損なう。

「ALEXレコードの新人の売り出しの件ですね」

「花音か。最初に登場したのは三年ぐらい前だったかな?」

 おおよその認識はそうで、やはり白雪も花音のことを意識はしていたらしい。

「引き抜いてうちの二人と組ませたかったんだけどね」

 そういうことを考えるのが、彼女の思考の範囲であるのか。


 MNRの売り方は、かなり予算を集中させて、一気に売り出したものであった。

 ただ実力は間違いなく、そして一応はノイズよりも後発であった。

 それが一気に追い抜いたのは、事前に白雪が根回しをしていたからである。

「彼女、バンドを組むつもりらしいですよ」

「へえ」

 気のない返事をしたつもりであったようだが、わずかに動作が止まった。

「ギターを探してるらしいですけど、女性で出来れば若いの、白雪さんなら知ってるんでは?」

「まあいないわけではないけど、私に利がないからね」

 俊は紫苑の方を向いたが、彼女はちょっと年齢が上であろう。

「紫苑はあげないよ。まったく、弟子に超えられることは、師匠にとってみて喜ばしいものだね。君のところのアッシュを貸してあげればいい」

「アッシュはうちのです」

 どこにもあげません、と続けることはなかった。


 白雪としてはもう、それで話したいことは終わったらしい。

「じゃあ私は帰るから、適当に遊んでいきなさい」

「白雪さんが帰るなら、特に話したいこともないんですけど」

「あ、じゃあ俺はちょっと交流深めておく」

 信吾がそう言って、ちょっとお高い酒を頼もうとしたりする。

 立ち上がった白雪は、自分のバンドメンバーに、そして俊たち三人を見る。

「俊君、若い君たちは気づいていないかもしれないが、今は大きなムーブメントの転換期になっている」

「なんとなく感じてますよ」

「花音がどう動くかで、その方向性は決まると思う」

 その思考もまた、俊は白雪と同じものである。


 それにしても、見た目は中学生ぐらいの白雪が、こうやって話しているのには違和感がある。

 もちろんその実力は分かっているのだが、見た目と一致しないという点では、暁に似ているのだろう。

 もっとも暁などは、実年齢との差がそれほどもない。

 音楽業界で、10年以上も生きてきた。

 こっそりとした影響力は、どれぐらいのものがあるのかも分からない。

「じゃあ私も帰ります」

 紫苑も立ち上がり、結局MNRの面々は全員が立ち去ろうとする。

 そうなるとノイズのメンバーとしても、信吾一人を残すわけにはいかなくなる。

「君もそろそろ、こういうところを確保した方がいいんじゃないかな?」

「いや、せめてアラサーぐらいにならないと、貫禄が足りないかと」

「そう。まあ個人の好みだしね」

 白雪はそう言ったが、信吾としては未練たっぷり。

 お前、また女関係広げるのか、と俊は少しだけ頭が痛くなりそうであった。

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