第9話
「さて、他に無いならこちらから伝えておきたいことがある」
ミハエルは全員を見渡してそう言った。
「お茶会を開く順番だが、やはりここは一番慣れているだろうとのことで、ドロシー嬢から始めて貰うことにした。ドロシー嬢、構わないかな?」
「えぇ、問題ございませんわ。お任せ下さい」
ドロシーは胸を張ってそう答えた。
「良かった。他に続く者の都合もあるから、今から一ヶ月以内に執り行って欲しい」
「了解致しましたわ」
「よろしくお願いする。ちなみにその後の順番はレイチェル嬢、ミシェル嬢、ファリス嬢、ソニア嬢、そして最後にライラ嬢を予定している。異論のある者は今の内に申し出てくれ」
「私はやりたくないんですが...」
ライラだけがボソッと呟いた。
「異論は無いようで良かった。みんな、よろしく頼む」
「無視ですか...」
ミハエルに丸っと無視された形のライラは拗ねて剥れた。ミハエルはそんなライラの姿を見なかったことにしてその場を後にした。
◇◇◇
翌日からは各種の習い事の時間が追加された。そしてここでは見事に各コンビ毎の特色が分かれることになった。
ドロシーとレイチェルの高飛車コンビはそれぞれバイオリンとピアノ演奏という音楽関連に。
ライラとミシェルの作家とそのファンコンビは絵画に。ファリスとソニアの年下コンビは刺繍にといった感じで、キレイに棲み分けがなされた。
ということで、各コンビはお互いがそれぞれ気の合った者同士で固まり、食事の時間以外はお互いほとんど顔を合わさないという日々が続いた。
ちなみに合宿中ということで、食事の時間は三食共に決まっている。全員が食堂に集まって摂ることを義務付けられているので、全く顔を合わさないということは無いが、各コンビ共他のコンビの者とはほとんど会話を交わしたりしない。
それは共同で受ける歴史の講義の時間も同じで、席順も各コンビ共分かれて座り講義を受けていた。
そんなこんなで一週間が過ぎたある日。夕食の席でドロシーが徐に立ち上がり全員を見渡してこう言った。
「私のお茶会を三日後の午後に開くことと致しますわ。皆さん、ご承知おき下さいましね。場所は当日晴れていたら中庭で開くつもりですわ」
「天気が悪かったら?」
すかさずライラが突っ込む。
「その時は屋内の貴賓室で開く予定ですわ」
「なるほど...三日後ですね。分かりました」
ライラはなにか企んでいるような顔をした。
「念のために言っておきますが、ライラさん。当日になって具合が悪くなったなんていうのは無しですからね?」
「うぐ...な、なんでバレたし...」
ドロシーに図星を突かれた形のライラは低く呻いた。
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