34話 レズ美少女天使 流川水面編

◇◆◇


緋は王子様を見つけることができずにカフェに戻ってきた。


「いらっしゃいませ~」

ホールスタッフの灰が対応する。

「あそこの席です。ちょっと席を外していました」

「どうぞ。お冷やお持ちしますね」


「ちょっと、翠。なんでそんなに泣いているの?」

「ひっく、ひっく、ぐすん。だってぇ。佐伯くんが現れたの」

「よかったじゃない。.....いやよくはないのか。それでどうなったの?」

「流川さんが佐伯くんのことを彼氏宣言してたの。それで泣いちゃってるの」

「え!?」

緋は見続けてきたテーブルの方を見る。

たしかに佐伯くんがそこにいた。

(なんで。流川さんて何者なの?佐伯くんに蒼乃くん、二人とも知り合いなんて)

「翠、まだ諦めちゃダメ。だって今日はずっと覆ってきてるもの。きっと何か理由があるはず」


◇◆◇


「水面ちゃん、彼がいることはわかった。信用したけど私はちょっと頭がクラクラするからもう帰る。その彼と別れることがあったら私のことも考え直してね」

「うん、花ちゃん、信じてくれてありがとうね。彼とは幸せに過ごしま~す」

剛力 花は頭を抱え込みながらカフェを後にした。


◇◆◇


「まみちゃん、あの美男美女のやりとりもすごかったけど、そのあとのダサ男がすべてをかっさらっていったね。その周りの探偵みたいな人たちの反応も面白かったね。探偵の女の子2人も超美少女だったし。あれは絶対あのテーブルの美男美女、いやブ男美女とも関係ありそうだね。他の探偵の2人はオタクっぽくて気持ち悪い。でも1人はなんか美少女っぽいんだよね」

「灰ちゃん、のめり込みすぎ。あの人達に巻き込まれるよ。ほどほどにしてね」

「この後みんながどう動くか楽しみ。私もバイトあがって追っかけようかな」

「こら、バイトはサボっちゃダメだよ」


◇◆◇


「流川さん、こんなことなら最初から教えてくださいよ」

「ごめんごめん。だってそう言ったら断るでしょ?蒼くん」

「それはそうですけど。こっちの身にもなってくださいよ」

「でも佐伯くんのことが好きなのは本当だよ。付き合ってみる?」

「もう、また冗談ばっかいって」

「冗談じゃないよ。の方も好きだよ。証拠にさっきキスできなかったからとキスしよっか?」

「えっ、ちょっと......」

「ふふっ、じゃあ、今日のお礼にキスか次回デートかどっちがいい?」

「えっと、それなら......ってどっちもおかしくないですか?」

「はい!どっち?」

流川さんは可愛い小悪魔の顔をして僕の顔を覗き込む。


「じゃあ、デートで」

「それじゃあ、来週の日曜日ね」

「もう、流川さんには敵わないや。行きますよ。行けばいいんでしょ」

「ふふっ、いい子いい子。でも呼ぶときはでね」

「わかったよ、みなも。これでどう?」

「最高!ゾクゾクしちゃう。ブ男にそんなこと言われたらギャップにやられちゃうね」

「流川さん、SなのかMなのかはっきりしてください。どっちかわかんないですよ。その反応」

「さあどっちでしょう?蒼くんが探してみてね」

「もういいです。帰りましょう」

「うん、行こっか」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

あとがき


今度は翠ちゃんにとってドキドキな展開になりましたね。


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