33話 勘違いブ男 蒼乃 佐伯 編

◇◆◇


「えっ......言うの......」

流川さんの返事に対して俺はウインクをする。

もちろん花ちゃんからは見えない位置でだ。

流川さんも俺のウインクを見て何かを感じ取ったようだ。


「花ちゃん、俺は流川さんの彼氏ではない。花ちゃんの言う通りだよ。俺は代役を頼まれたんだ。流川さんの本当の彼氏は別にいるんだ」


「え?ほかに彼氏がいるの?でもなんで代役を?その前に本当にいるの彼氏は?」


「それは間違いなくいるよ。これが終わったら彼氏とバトンタッチする予定だったから」


「なんで?なんでそんな手の込んだことするの?」


「それは本当の彼氏に会えばわかるよ。正直、流川さんの彼氏としてはミスマッチだと思ってるんだ。アイドルの流川さんの彼氏としてはあり得ないよ。だから俺が代役だったんだ」


「ちょっと、本当に意味がわかんないんだけど。水面ちゃん、どう言うこと?」


「蒼くんの言う通りなの。もう、私も隠さない。蒼くんの言う通りにする」


(この流川さんのこの返事は俺に任せたって合図だな)


「花ちゃん、本当の彼氏を連れてくるからちょっと待ってて。たぶん、会えば納得すると思う」


「じゃあ、俺は流川さんの本当の彼氏とバトンタッチするから呼んでくるね。流川さん、本当の彼氏を人に合わせるのは覚悟してね。そうしないともう収まりがきかない」


俺は席を離れてもちろんトイレに向かう。


もどっちが本当の自分がわからなくなりそうだ。


◇◆◇


「やった!緋ちゃん。王子様はあの2人の彼氏じゃなかったよ。むしろ二人の相談役やってたんだ。めっちゃ性格のいいイケメンじゃん。二股ゲスやろーでなかったね」

「うんうん。本当によかった。あんな素敵な彼を信じれなかった自分が嫌いになりそう」

「緋ちゃん、気にしちゃダメだって。だってだますために演技してたんだよ。

それはわからないって。まずは緋ちゃんの王子様がフリーってわかってよかったじゃん」

「そうだね。でも彼がいなくなっちゃったね」

「ここは私が見てるから緋ちゃん、追っかけていいよ。追っかけなよ。こんな機会ないよ」

「ありがとう、翠。探してくる。翠も頑張ってね」

緋は慌ててカフェを出て行き彼を探しにいく。


「もういない。どこにも見当たらない。探さなきゃ」

緋はデパート内を走り始めた。


◇◆◇


「花ちゃん、もうすぐ彼が来るから。でも本当に驚かないでね」

「またウソじゃないよね」

「彼氏を見たら会わせたくない気持ちもわかると思うよ」


▽▼▽


「お待たせしました」

が二人の前に登場する。


「え?これが彼氏?」

「ええ、彼が私の彼氏の蒼くんよ」

「ごめん。水面ちゃん、本当だったんだね。彼氏いたこと」


(はははっ、やっぱりで登場したらこんなに簡単に花ちゃんは彼氏だって信じるんだ....)


「うん。信じてもらえたようだね」

「こんなダサ男だったら逆に真実味がありすぎる。さすがにこれを選ぶのは普通はないしね」


(すごいディスられている。あまりにも現実離れしてるから信じてしまうってやつだ。それはそれでなんか僕の存在が悲しくなるよ)


「みなもちゃん、この人は誰ですか?」

僕は花ちゃんに初めて会った振りをする。


「この人は私の仕事仲間なの。私に彼氏がいるってなかなか信じてくれなくて」

「え?僕みたいな素敵な彼氏がいるのに?」

「そうなの。蒼くんてかっこいいのにみんな理解してくれないのよね」

「僕はだれがどうみてもかっこいいよね。水面ちゃんに合う彼氏は日本中どこを探しても僕しかいないよ」


追い討ちでまさかのイタイ彼氏を演じ切る


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


あとがき


がついに役に立つ(T ^ T)


この後どうなるのか楽しみな方は

☆評価をよろしくお願いします♪

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