32話 イケメン相談役 蒼乃 佐伯 編

◇◆◇


「ごめん。花ちゃん」

は謝るしかなかった。


「この前、私に協力してくれるって言ったじゃん。それなのに水面ちゃんとつきあってるフリするなんてひどい。ひどすぎるよ。私が水面ちゃんのこと好きなの知ってるよね」

「花ちゃん、蒼くんは彼氏のフリじゃなくて彼氏だよ?」

「そんなわけないじゃん。それなら蒼乃くんが私に協力するなんて言わないもん。わたし、そんな彼氏彼女のふりにはだまされないもん」


「ちがうのよ、蒼くんからそのこと聞いたけど私たち2人のことは内密だから協力するとしか言えなかったのよ。だから付き合ってるのは本当なの」


「.........、本当に付き合ってるの?」

「そうよ」

「じゃあ、ここでキスして。私の目の前でキスして。そしたら信じる」


(マジ!?それはできないだろ)


「えっ!?キス??」流川さんも声が引きずる。

「そうよ、キスよ。付き合ってるならキスぐらいできるでしょ?」

「さすがにここでは.......」

「ほら、できないじゃん。やっぱり嘘だったのね」

「で、できます!したら信じてくれるのね?」

「できたらね」


(ちょっとまてーい!俺の人権はここにはないのか!?流川さん、キスするの?)


「蒼くん、こっち向いて。目、つむって」

「えっ......」


◇◆◇


「緋ちゃん!緋ちゃんの王子様が流川さんとキスしそうだよ!」

「えっ........」

緋は何も言えずその光景を見ることしかできなかった。


◇◆◇


流川さんがの肩に両手を添えてつま先立ちをする。流川さんの唇が俺の顔に徐々に近づいてくる。


にとっても、にとってもファーストキスには変わりない。


(仕事柄、いつかキスをする仕事もあるかと思ってたけどまさかこんな形でファーストキスをするなんて。まあ、覚悟はしてたからここで初めてを捨てるか)


俺は覚悟を決めた。

流川水面がの初めての女性だ。


そう思った矢先に、俺の肩が小刻みに震えてきた。

(えっ!?)

流川さんの両手が震えている。それが俺の肩に伝わってくる。


(まさか!?流川さんもファーストキスなのか?じゃないとこんなことで震えるはずがない)


流川さんのぷっくらしたピンクベージュの艶々した唇はもう目の前だ。


◇◆◇


緋は身動き一つできない。

翠も緋の手を握って様子を見守っている。

ホールスタッフの2人も固唾を飲んで見守っている。

花もまさか!本当に?と驚きの表情だ。

ストーカーらしき人たちの2人が身を乗り出し始めた。


そのカフェは全員が2人のキスを見ていた。 


(もう、キスする〜!!)

全員が心の中で同じことを発していた


◇◆◇


ぐぐっ


「やめよう!水面」

「え、蒼くん......」

俺は水面の肩を掴んで距離を取る。


◇◆◇


(キスしない!)

外野の人たちはみんなギリギリでのキス回避に驚いた。


「ふぅ〜」

緋は1人、腰が砕けてソファーで体勢を崩している。翠はほっとして緋の手を強く握りしめていた自分の手を緩める。

今にも飛びかかりそうなストーカー達は座席に座り直して様子を見続ける。


◇◆◇


「蒼くん、でも.......」

「水面、本当のこと花さんに言おう」

「えっ.......言うの........」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


あとがき


ファーストキスは誰とするのか?

今後に期待です♪


☆評価をよろしくお願いします◆



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る