30話 イケメン王子 蒼乃 佐伯 編
◇◆◇
「緋ちゃん、佐伯くんじゃなくてなんかかっこいいイケメンが来たね?」
「...............」
「緋ちゃん?」
「...............」
「緋ちゃん、どうしたの?」
緋は身体が震えている。
「大丈夫?」
翠は緋の肩をゆする。
「えっ、あ、ごめん。彼なの」
「あのイケメンがどうしたの」
「わ、わたしの王子様」
緋は声が震えて言葉にならない
「えっ?なんて?」
「私の王子様なの!あの人」
「えええ〜〜!」
「なんで、流川さんと。わたしの王子様が流川さんの彼氏なら流川さんと釣り合ってしまう」
「緋ちゃん、それもまだわからないよ。だって佐伯くんと約束してたのが流川さんでしょ?きっとたまたま遭遇しただけだよ」
今度は翠が緋を励ます番となった。
「そうね。きっとそうだね。流川さんは佐伯くんとのデートだものね」
「緋ちゃん、流川さんとイケメンが動き出したよ」
「え?佐伯くんはどこ行ったの?」
「まだ帰ってきてないよ。でも流川さんがいなくなっちゃう。もうすぐ見えなくなっちゃうよ」
「追いかけるよ。流川さんだけ張ってれば佐伯くんが途中で現れるかもしれない」
「わかった。いこう」
緋と翠は僕が不在のまま尾行を続けることにした。
◇◆◇
「流川さん、そろそろどこにいくか教えてくださいよ」
「ふふふっ、秘密。それに今日はデートだから佐伯くんはわたしの彼氏だよ。そこんとこ忘れずによろしくね」
「デートのつもりはないですよ」
「じゃあ、僕と俺のこと、ばらしちゃおっかなぁ」
「もう、わかりましたよ。それでなにをすればいいんですか?」
「今日だけは本当の彼氏でいて。どんなことがあってもそれだけは守って欲しいの。できる?」
「やりますよ。やればいいんですよね。その代わり俺のことは内密にしてくださいね」
「じゃあ、約束ね。佐伯くん、いや、蒼くんって呼ぼうかな?私のことは水面ね。呼び捨ての方がキュンとするかな、よろ」
「わかったよ。みなも」
「くぅ〜、最高!ゾクゾクしちゃう」
「じゃあ、むかいましょー、ついてきてね」
◇◆◇
水面に連れて行かれた場所は隣町のデパートだった。2階にあるパンケーキの有名なカフェだ。
「まだ来てないね」
「ん?誰か来るの?」
「うん。じゃあ何か注文して待ってましょう。
ねえ、このカップルパンケーキ頼もうよ。おいしそうだしかわいいよ」
水面はメニューに載っているSNS映えしそうなパンケーキを指さしている。
たしかにラブリーなパンケーキだ。SNSにUPしたらすぐにバズりそうだ。
◇◆◇
「ねえ、翠。何か注文したみたいよ。私たちも注文しましょ」
「そうだね。ちょっとここで長居しそうだね」
「ところで翠ってストーカーいる?」
「私は佐伯くんのストーカーじゃありません!」
ストーカー扱いされてプンプンしている翠。
「ちがうちがう。そういう意味じゃなくて。ストーカーされているかってこと」
「ごめん。勘違いしちゃった。私はストーカーされていない気がするけど。でも私鈍感だからなぁ。緋ちゃんは?」
「いないこともないけど、今日の人たちじゃないんだよね」
「今日の人たち?」
「ほら、あそこに座っている人とあっちに座っている人、それにあそこも。
あの人達も私たちと一緒に駅前のデパートからここまで一緒だったの」
「ええ!?あの人達も尾行中??」
「真意はわからないけど間違いなくここまで一緒に来てるの。
翠のストーカーかもって思ったけどあの人達の目線を見ると流川さんね」
「やっぱり流川さんともなると普段からストーキングされるんだ」
「そうね。あんなバレバレの尾行なんて素人丸出しね」
ストーカーの3人はキャップにサングラスにマスクという出で立ちだ。
ちなみに緋も翠も同じ格好だ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ストーカーが数多く!
蒼、水面と緋、翠とストーカー3人の三つ巴の構図になりました。
どうなるの?今後は!
☆レビューよろしくお願いします♪
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