29話 迷探偵美少女 緋と翠
僕と流川さんのデート当日
「お待たせしました」
「佐伯くん、なにその格好。学校と一緒じゃん」
「僕じゃダメでしたか?」
「ダサいよ?それ」
「わかってやってますから」
「うーん......私の気分がのらないからいつもの佐伯くんにするよっ」
◇◆◇
「緋ちゃん、この変装でバレないかな」
2人の変装はあからさまに幼稚だった。
サングラスにキャップ、それにマスクだ。
その2人が建物の影から頭を2つ、ちょこんと出して佐伯くんと流川さんの様子を伺う。
近くを通る通行人はみんな変な目で2人を見て通っていく。
「翠、大丈夫よ。尾行についての本は一冊読んでおいたわ。私に任せて」
「さすが生徒会長。仕事が早い」
「翠、見て!佐伯くんが動き出したよ。追っかけるよ」
◇◆◇
「流川さん、僕のままじゃダメですか?」
「うん、だめだよ。今日は私の彼氏になってもらうんだからある程度はかっこよくないとね」
「ん?どういうことですか」
「それはあとのお楽しみ。ほら、わたし、ここで待ってるからそこのデパートのトイレで俺に変身しておいで」
「わかりましたよ。でもその用事終わったら元に戻りますよ」
「ふふっ、保険として僕に戻ってもらうこともあるかもね」
(流川さんが何考えてるかよくわからないや。とりあえずは俺になってくるか)
僕はそそくさとデパートに入っていく。
◇◆◇
「翠、ストップ。佐伯くんしか動かないわ。流川さんはそのままね。この場合は......」
緋は持ってきた本の頁をめくり始める。
「緋ちゃん、佐伯くんが遠くなっていくよ。どうするの?」
「ちょっと待って。いま索引中」
「佐伯くん、曲がって見えなくなったよ」
気まずい雰囲気が流れる。
「大丈夫よ。なぜならそこには流川さんがいるからね。このまま佐伯くんがいなくなっても流川さんとは一緒じゃなくなるだけだから私たちにとってはベストでしょ?」
「なるほど!さすが緋ちゃん。あったまいい」
緋は無理矢理な言い訳を並べるが天然アイドル七瀬さんは素直に信じてしまう。
「流川さんが携帯で何か話しを始めたわ。彼氏からの電話とかならそれはそれでありがたいのだけど」
「何か喋ってるね。ちょっと近づく?」
「うん、佐伯くんもいないしもうちょい近づこう」
◇◆◇
「ほんとうだって。私はレズじゃないの。あなたとはお付き合いできないっていってるでしょ。だから今日、彼氏連れてきたんじゃん。ちゃんと後で会わせるから信じてよね」
「 … … … … … … … … …
… … … … … … … … … 」
「あなたも知ってる人よ。彼の口から直接聞いて」
流川さんの表情は険しく、少し言い争っている感じもした。
◇◆◇
「緋ちゃん!流川さんが佐伯くんのことを彼氏だって言ってた。わたし泣いちゃう......」
「翠、まだ決めちゃダメよ。佐伯くんが彼氏な訳ないじゃん。あんなの好きなのはこの世で翠だけ。最後まで見届けてから決めましょう」
「わかった。わたし、頑張る」
◇◆◇
「おかえり〜!蒼乃くん」
流川さんは先ほどの電話とは打って変わって笑顔で楽しそうに言葉をかける。
「お待たせました」
俺は変身して登場した。
◇◆◇
誰よりも驚いたのは白木緋だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あとがき
ここから新展開です!
僕と俺を巻き込んだ
ドタバタラブコメになっていきます。
ぜひお楽しみに♪
☆レビューよろしくお願いします♪
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