21話 腹黒社長 黒石 曜 編
今日は事務所の社長に呼び出されている。
こんなことは滅多にないことだ。
まさか、「ジュニアーズからお前はもういらない」とか言われたりするのか。
それは困る。ママの家計を少しでも軽くしたいのにそれではママの足を引っ張ってしまう。
むしろ、稼ぎたいなら堀超学院に行けと言ったのは社長自身だ。
ガチャ
「久しぶり。佐伯くん、いやここでは蒼乃くんか。学校生活はどうかな?」
「お久しぶりです。無難に過ごしています」
「そうか、無難か。意外だな。ところで今日、ここに来てもらったのは他でもない、お金を稼ぎたい君にチャンスを与えようと思ってね」
(それはありがたい。むしろ俺の優先順位はアイドルよりもお金を稼ぐことだ)
「はい!がんばります。やらせていただきます」
「でも1つ条件があるんだが」
「なんでものみます。それで稼げるなら」
(即答だな。蒼乃くんにお願いしてよかったかも)
「バイセクシャルになってもらう」
「え?ええ!? バイセクシャルってあの......」
「そうだ。あのバイだ。男も女もどちらもいけるアイドル誕生だ」
(なんなんだ、それは。それはアイドルなのかぁ?)
「確かに俺は女性にそんな興味はありませんが男性にはもっと興味ありません。でもバイになるのは無理です」
「そうだよなぁ。状況によっては女とも男ともベットシーンがありえるからな。蒼乃くんなら、女にも男にも興味がない、お金に困っている、だから役者としては打ってつけだと思ったんだけどな。仕方ない、他の人に当たってみるか」
(女にも男にも興味がないから役者として打ってつけ?どういうことだ?)
「あの、本当のバイセクシャルじゃなくてもいいってことですか?」
「内々には探してみたんだけどね。うちのアイドルにはそういう子がいなくてね。でもこのプロジェクトが進み始めているからいまさら降りれなくてね。そこでバイのフリが出来る子として蒼乃くんに白羽の矢が当たったのさ」
「演技で良ければやります!それで家族を少しでも養えるなら」
「蒼乃くんならそう言ってくれると思ったよ。ただ、他の子達は本物だから演技だって言うことはバレないように。それが高額報酬の条件だ」
今回のプロジェクトの概要は目新しいものだった。今の時代に合わせて異色アイドルユニットを新規で立ち上げると言うものだった。
まず、目新しい点としては、
男2人、女2人の混合アイドルユニットだということだ。
そして最大の売りが、
LGBTを公表するということだ。
L:流川 水面(るかわ みなも)(女 17才)
G:堀田 曙 (ほった あけぼの)(男 18才)
B:蒼乃 佐伯(あおの さえき)(男 16才)
T:剛力 花 (ごうりき はな)(女 17才)
各有名事務所から4人のアイドル達が集められる。ジュニアーズからは俺だけだ。
ユニット名は『Avop (アボップ)』だ。
A variety of people の頭文字を取ったそうだ。
「じゃ、蒼乃くん、早速だけどこの後に顔合わせがあるからよろしくね♡くれぐれもバレないようにね」
(まさかのこのあと!?この呼び出しは社長の出来レースだったってことか。完全に社長の手のひらで転がされている)
さすがは黒石 曜(くろいし よう)。
名前の通り腹黒いと言われるだけはある。
でも天性の明るさがそう思わせない。
社長の黒石さんに騙されても根に持つ人は数少ないと言われる理由もわかるものだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あとがき
新章が始まりました。
白木荘から少し離れますが絡んできますのでお楽しみを。
まだ☆レビューまだの方はご協力お願いします♪
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます