20話 ドSストーカー 長谷川 茶子 編
「純愛だよ♡」
(いやいや、それはストーカー一歩手前でしょ。七瀬さんの次は長谷川さんなの)
「僕も困るからもうやめてもらっていいかな?」
「いやだ。だってちょー楽しいもん。もうちょっと楽しませて」
「いやいや、毎日後をつけて、毎日のぞいて、それって僕のプライバシーの侵害だよね?」
「じゃあ、その代わりに私とエッチしてもいいよ?私のおっぱい気になるでしょ?」
(たしかにあの隠れ巨乳には惹かれるものがある)
「魅力的なていあ......いやいや、そうじゃなくてダメです。これからも続けるなら警察に言うよ?」
「じゃあ、私も言うよ?」
(え?僕は長谷川さんに何もしてないんだけど)
「な、なにをかな?」
「緋ちゃん、桃ちゃん、翠ちゃんに本当の佐伯くんのことを。あの3人が同一人物だって知ったら大変だろうなぁ。それと翠ちゃんには僕が同じ屋根の下で住んでいることも伝えてあげなきゃね。毎日七瀬さんに襲われるかもよ」
「くっ!なんてことを」
「だから佐伯くんはいつも通り生活してくれたらいいんだよ。白木荘でみんなとバチェラーやって、私はそれを見て楽しむの。もちろん最後は佐伯くんと私がゴールインだよ♡」
(長谷川さんが猟奇的で恐ろしいが従うしかない)
「わかったよ。好きにすればいいさ。でも僕は君のことを好きになることはない」
はっきりと断言する。
「大丈夫。最後に佐伯くんは私のこと好きになってるから。でもそれまでにあの3人に出し抜かれるのはイヤ。だから私も七瀬さんみたいにほっぺにチュウする」
ぞわぞわっ
まさかの七瀬さんにほっぺにチュウをされていたことまで知っている。
「いや、それは急だったから避けようがなくて」
「あっ!!」
長谷川さんが僕から離れたところを指差して叫ぶ。
(そんな見え透いた手に引っ掛かるわけないじゃないか)
僕は長谷川さんから目を逸らさない。
「そんな手にはひっ........」
長谷川さんが僕の目をじっと見つめてシャツのボタンを上から順に外し始める。
豊満な胸の谷間が見えてきた。
(え、え、なに、どういうこと)
パサッ
着ていたシャツを肩から下ろしてブラジャーだけになる。ピンクで装飾の多いかわいいブラジャーだ。でも僕はそれを見るわけにはいかない。なんてことをするんだ。僕は横を向いて目を瞑る。
ちゅっ
「え?」
柔らかい感触が僕の頬に伝わる。
「これで七瀬さんと一緒」
「え、あ、うん」
僕はとっさの出来事に頭が混乱してしまう。
目の前には双丘が2つ、僕にアピールしている。
「目のやり場に困るので服を着てください」
「うん、いいよ。ついでにトイレも行ってくるね」
長谷川さんはトイレに行ってしまった。
これからも毎日覗かれることを想像すると僕はどんなふうに見られていたんだろうかと気になってしまう。僕は長谷川さんの許可を取らずにベランダに向かう。
スゥーーーッ
隣の部屋の襖を開ける。
「ええ!?なんだ、これは!!」
目の前の部屋には壁一杯の僕の隠し撮り写真が無造作に貼られている。机の上には双眼鏡も置かれている。ここは覗き部屋。現像も自分でしている跡がある。
(やばい!これはやばい)
僕は慌てて襖を閉めて元の位置に戻る。
(ドラマの世界でしか見たことのない映像。長谷川さんは完全にストーカーだ。七瀬さんの比じゃない。これは早く、そしてうまく関係を断たなければ)
「ただいま。このあとどうしよっか?」
「えっと、長谷川さんは僕をどうしたいの?」
「近くで見てたいかな、かっこいいし、かわいいし。でも今後の佐伯くんの恋模様がどうなっていくのか追いかけ続けたいから見守ってる♡でも佐伯くんが私に対してよからぬことをしたらどうなるかはわかるよね?それと女の子たちがおいたしたらその分、仕返ししちゃうかも。私が急に佐伯くんの前に現れたら緊急事態だから私にうまく合わせてフォローよろしくね」
(よくわからないけど今まで通り生活しろってことかな)
「わかった。じゃあ、これだけは約束して。僕の家族にだけは手を出さないと」
「もちろん。佐伯くんを攻略するためのラスボスは佐伯くんの家族だよ。それをクリアして最後は結婚だね」
(飛躍しすぎだ。でも長谷川さんを怒らせると不味いのも理解できた。適度な距離感でほとぼりが冷めるのを待とう)
「じゃあ、僕は帰るね」
「うん、寂しくなったらいつでもこの部屋に来てね。白木荘に佐伯くんがいる時は私も必ずここにいるからね」
僕は自分の部屋に帰り、カーテンを隙間なくビッチリと閉めた。もう光さえ漏らさない。
自分の身は自分で守るしかない..............
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あとがき
地味子ちゃんが猟奇的ですね。
でも本当に純愛なんです。゚(゚´Д`゚)゚。
次回から新章が始まります。
お楽しみに。
ここまで楽しかった方はぜひ
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