18話 巨乳スナイパー 長谷川 茶子 編
僕は慌てて室内に戻り携帯を通話にする。
「……… ……… ………」
無言だ。これはさっきの電話番号が本当か確かめているのだろう。向かいのアパートを除くと片手に双眼鏡ともう片手に携帯でこっちを見ている。
「わっ!!」
ガチャンッ、バタンッ
突然の僕の大声にスナイパーは双眼鏡を落とし、携帯電話を耳から即座に離し、すってんころりんしていた。
これでもう誤魔化しようがない。犯人はあそこに住んでいる住人だ。
「もしもし、」
携帯でコンタクトを取ろうとするもさっきのイタズラのせいでもう通話は切られていた。
でもスナイパーは焦っていたのか非通知ではなく、普通に電話をかけてきていたので電話番号が割れた。
(よし、これではっきりさせてやる)
僕はそのまま自分の部屋のベランダから飛び降り、向かいのアパートのスナイパーの部屋の前まで走った。
ピンポーン、ピンポーン
ピンポーン ……… ……… ………
でない。それならこうだ。相手の携帯を鳴らす。
プルルル、プルルル、ガチャン
間違いなくこの部屋から音が鳴った。そして切られた。
ドンドンドン、ドンドンドン
僕は玄関ドアを叩く。
「スナイパーさん、もういるのバレてますよ。出て来てください。話し合いましょう」
……… ……… ………
出てこないか。
……… ……… ………
ガチャ、キィ〜
扉が開いた。僕は手を入れ扉を一気に開ける。
「えっ!? じ、地味子ちゃん...!?」
そこにいたのは長谷川 茶子さんこと地味子ちゃんだった。
「バレちゃったね。うち入る?」
「う、うん。入っていいの?」
「どうぞ」
中に入ると全く生活感のない殺風景な室内だった。本当に最低限で暮らしているかのような質素な生活みたいだ。
「何もないけどそこに座ってて。お茶入れるね」
「う、うん」
僕は何もない部屋の真ん中に座らされた。
地味子ちゃんがお茶を入れている間、気になって部屋の中をキョロキョロ見回してしまう。
本当に何もない。部屋の感じから2DKの気がする。襖は閉まっているが隣の部屋がありそうだ。その向こうがあのベランダに繋がっているに違いない。
「お待たせしました。どうぞ。はちみつ紅茶だよ。これ美味しいの。ここでの生活はお茶だけが楽しみで。だってここの生活は見ての通り何もないからお茶を飲むぐらいしかできないの」
「長谷川さん、聞いていい?」
「ダメッ、って言ったら?」
「うーん......」
「うそうそ、いいよ。答えられることは答えるよ」
「な、なんで?」
僕はなんでのぞいてるの?と聞きたかったが直球では聞きづらくてぼかして聞いてしまう。
「好きだから♡」
「えっ!?」
「だから、好き♡」
「いやいや、僕が聞きたいのはなんでのぞいてたの?」
「好きだからだよ」
(だめだ、からかわれている気がする。違う質問にしよう)
「じゃあ、いつからのぞいてたの?」
「ふふっ、佐伯くんも男の子だね」
「え?どういうこと?」
「1人えっち、かわいかったよ♡」
『ええっ!!見てたの!』
「ふふっ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あとがき
ついに長谷川茶子さんの登場です。
地味子ちゃんは今後佐伯くんをどうするつもりでしょうか。
お楽しみに。
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