10話 アレな馬の骨 佐伯 蒼 編
『はあ〜ー!!!』
教室にいる全員が息ぴったりに大声をあげる。
七瀬さんは全く気にもとめず、笑顔でルンルンだ。
「ちょっと、翠!あなた急にどうしたの?あんなどこの馬の骨ともわからない人、だめだよ」
「翠ちゃん、冷静になろうよ、アレだよ、アレ」
緋と桃が僕のことを指差しながら血相を変えて翠に言い寄る。
(馬の骨でも、アレでもいいんだけど、一応俺でもあるんだけどな。僕をディスればディスるほどブーメランだよ、お二人さん)
「いいの!わたしはこの人って決めたの。
だから佐伯くん、よろしくね」
(なにがよろしくねなの?僕は何も了承してないんだけど.......)
◇◆◇
「はじまった。翠がこうなったらもう誰も止められない。当分はみんな振り回されるの覚悟ね」
「お姉ちゃん、やばいよ!だって今、アレは白木荘にいるんでしょ。翠ちゃんも住んでいるからやばいことになるかも」
「しまった。そうだった。それが翠にバレたらとんでもないことになるよ。絶対に隠そう。桃、協力してね」
「もちろん。後でわたしから佐伯くんに話しとく。私に借りがあるから私の言うことは聞くと思うしね」
◇◆◇
「おいおい、佐伯くん。まさか七瀬さんと付き合うのか?それは俺が許さん、てか、全校生徒が許さん。もちろん佐伯くんはOK出さないよね?」
クラスの全員が僕の返答に集中する。
「付き合う気はありまっ」
「佐伯くん!2人の関係はこれから始まるからね。まだなーんにも決めなくていいんだよ。ぜ〜ったい翠のこと好きになるから」
僕は断ろうとした瞬間に七瀬さんが割り込んできた。
天然ブルドーザーは僕を好きにさせる気満々だ。
私のことを好きにならないわけがないと疑いな余地もない様子で当たり前かのように話しかけてくる。
「みんな、授業中です。そろそろ各テーブルに戻ってください。それと騒ぎの元凶の佐伯くんは廊下で立ってなさい。あと桃も学校に持ってきちゃいけない調味料持ってきてたからあなたも廊下に立ってなさい。それは没収します」
生徒会長の緋さんが訳のわからない理由で僕と桃さんに無茶振りをしてきた。廊下に立たされてその理由が初めてわかった。
▽▼▽
なぜか廊下に僕と桃さんと2人して立たされている。
「佐伯くん、さっきの調味料の借りを早速返してもらうわ。翠ちゃんとは付き合わないで。不釣り合い。それと白木荘に翠ちゃんも住んでいるの」
「え!?まじ?」
「ええ、マジよ、あの子は恋したら全てをなぎ倒すブルドーザーなの。死にたくなかったら白木荘に住んでることは隠して。私もお姉ちゃんも協力するから。ほとぼりが冷めるまでは我慢してね」
「むしろ、僕もほとぼり冷めるまでは逃げ切りたいよ」
「いい心構えね。出入りは共同玄関を使わないでね。使うならベランダからの出入りで」
「ええ!?それって2階だよ?」
「男の子でしょ、それくらい頑張りなさいよ。2週間、2週間、距離が取れればあの子は冷める。今までがそうだったからこの2週間が勝負よ。わかった?」
「はい。できる限り頑張ります」
(なんて厄日だ。七瀬さんは僕でなぜ好きになるんだ。モブキャラだよ。誰からも相手にされないモブキャラだよ。七瀬さん、完全に目がイッテたし。このあとどうなるのよ。僕)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あとがき
このあと翠ちゃんが本領発揮します。
好きな人は好きになっちゃあ翠ちゃんの天然ブルドーザーぶりをお楽しみに。
そろそろ☆欠病です。゚(゚´Д`゚)゚。
☆を1つ分けてくださいな♪
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