9話 純粋アイドル 七瀬 翠 編
「ももちゃ......、し、白木さん」
(危うい、この前のソロキャンプで仲良くなったせいで下の名前で呼ぶところだった)
「ん?えーっと、佐伯くんだっけ?」
「そうそう、お願いがあってさ。白木さんなら魔法の万能調味料と魔法の粉を持ってるかなって思ってさ。持ってたらちょっと分けてくれない?」
「へぇー、よくその呼び方知ってるね。もしかしてキャンパーなの?」
(ぎくっ、やばい、ばれてしまうのか)
「紫尊くんが白木さんなら持ってるんじゃないかって言ってたから」
「そうなんだ。でも倫太郎くんにそのこと話したことあったっけな?」
「今度お返しするのでちょっともらってもいい?」
「ぜんぜんいいよ、めんつゆと堀超のこと知ってる人はみんな友達だし、蒼乃くんとの淡い思い出のことも思い出せたからちょい幸せ♡」
(ギクッ、心臓に悪い。もうこれ以上は関わらないようにしよう)
「ありがとう。じゃあ、分けてもらうね」
▽▼▽
「大丈夫そう?佐伯くん」
「鰹節はなかったけどなんとかするよ」
「ほんとありがとう。いつかお礼するね」
「いいよ、そんなのは」
本当にお礼なんていらない。料理好きとしては美味しい親子丼を作りたい。その一心だけが僕を全力にさせた。それが今後、僕を地獄に突き落とすとは思いもしなかった。
▽▼▽
全ての料理が出来上がった。
みんなで大試食大会だ。
「美味しい!なにこの親子丼。出汁がすごく美味しいし卵もふわふわ」
「ほんと!美味しい。鶏肉もジューシーで三つ葉も爽やか。なのにピリッとインパクトのある味付け。今までで1番美味しいかも」
豚汁、浅漬けコンビが大喜びで親子丼を食べている。
その2人の反応に1番驚きを示したのはもちろん七瀬さんだ。七瀬さんもつられて一口食べてみる。
「うわぁ、おいしー!」
口の中に広がる出汁と卵と三つ葉が鶏肉と合わさって絶妙に美味しさを引き立てる。
「翠ちゃん、料理上手だね!」
「すごいよ、絶対将来いいお嫁さんになるよ」
「えーっ、そんなぁ/////」
七瀬さんは恥ずかしそうな顔をして思いっきり照れている。
(なぜ照れる!?七瀬さんの作った料理でもなければどちらかというと迷惑かけられたぐらいなんだけど)
「佐伯くんがフォローしてくれたから美味しくできたのかも。わたし、これから佐伯くんと一緒に料理、頑張ってみる」
七瀬さんは両手で頑張るポーズを取りながら鼻息荒く何かに向かって決意をしていた。
「なので佐伯くん、わたし料理の勉強したいから今度教えてください」
「いやいや、他に出来る女の子いっぱいいるでしょ」
「わたし、佐伯くんがいい」
「俺でよければ教えるよ、七瀬さん」
なんと紫尊くんがこのタイミング戻ってきて横入りしてきた。
(ナイス、そのまま七瀬さんをがっちり捕まえてくれ。でもさっき包丁で指切ったばっかりなのに料理男子を主張できるメンタルは相変わらず紫尊くんは最強だな)
空気読めない紫尊くんでもたまには僕の役に立つんだなぁと感心する。
「え?倫太郎くんが?」
「もちろん、俺の高速千切りが火を吹くぜ」
「ないない」
あからさまに無関心の表情を炸裂させる七瀬さん。
「ええ〜、俺じゃだめなの?」
「だってわたし、佐伯くんのこと好きになっちゃったもん」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あとがき
ついに天然ブルドーザーが始動しました。
翠ちゃんのかわいさはこれからです。
ぜひお楽しみに♪
作品のフォローがまだの方はよろしくお願いします!
♡と☆もお願いしまーす♪
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます