第20話 好きでしょう?
入学式の日。女子トイレで乱闘騒ぎがあった。
被害者は仲良し女子グループ3人。加害者が
トイレから出ようとしたら、突然
そして
幸い3人組のケガは浅く、そこまで大事にはならなかった。
結果として
「という状況の認識でOK?」
僕は音楽愛好会の部室で、
「その認識で構いませんが……」彼女は若干呆れ気味に、「そういうの……直接聞いちゃうんですね」
「
「それはそうですが……」
張本人に聞いてしまうのが一番早い。そして正確だろう。
本当のことを話してくれなくても、話し方や間の取り方から情報が伝わってくるのだ。
「今日は彼女さんはいらっしゃらないんですか?」
「彼女って……
「あ、そうなんですか。仲が良いみたいなので……てっきり恋人同士なのかと」
この人も見る目ないな……って、意外とそうでもないのか?
「
「そうですか?」
「……えぇ……」
なんで……こうも見る目のない女性が多いのだろう。
僕のどこが良いのだろうか。なんで学校最大級の美少女3人から告白されるところだったのだろう……
「なんで僕なの? 自分で言うのもアレだけど……僕は結構アホだよ?」
「それはそうですが……」そうなんかい。「私、中学でもセンパイと同じ学校だったんですよ。知ってました?」
「え……?」
「覚えてないんですね……一応言っておくと、
「えぇ……」
僕はアホなのだろうか……こんな美少女が同じ中学にいて、まったく記憶にないとは……
「まぁ、そんなところもセンパイの魅力の1つですけど」
「記憶力悪いのが好きなの?」
「そのセリフは減点対象ですよ」ごめんなさい。「これこそ自分で言うのはおかしいかもしれませんが……私たち、結構かわいいんですよ」
「それは事実だね」
「加点対象です。私にとっては、ですけど」それはどうも。「だからまぁ……かなりの確率で覚えられるんですよ。特に私の場合……目立つ部分がありますし」
胸のことか……ごめん。僕もその部分で覚えてた気がする。心の中で謝罪しておこう。
「でもセンパイは、私に興味ないですよね。というより……外見で人を判断してない」
「その割には……僕の周りには美少女だらけだね」
「私は人を外見で判断する人、嫌いですから」
「……過大評価だね……僕は人を見た目で判断するよ」
かわいい人とそうでない人だったら、当然かわいい人が良い。
見た目は重要だ。外見はとても大事だ。僕はそう思う。
だから実際に……こうやって美少女に囲まれてるじゃないか。
「愛することと平等に接することは違うんですよ」……
「……」しばらく考えて、「キミの話は哲学的だね。僕にはよくわからないよ」
「好きでしょう? そういう会話」よくご存知で。「では、わかりやすい会話をしましょうか」
「なに?」
「窓拭き、手伝ってください」
それくらいお安い御用だ。
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