第19話 入学初日に
「すまない。私の話は……よく脇道にそれてしまうな」
「いえ……どうせ僕は暇なので」せっかくなので、さらに話をそらしてみる。「そういえば気になっていたんですけど……なんで
「ふむ……生徒会が動けばよいだろう、という話か?」
ちょっとトゲのある言い方になってしまうけれど……
「まぁ、要約するとそうですね」
「答えは簡単だ。私が彼女と合うと、彼女を怖がらせてしまうからだ」
「怖がる……?」
「ああ。どうやら私は……相手を威圧することがあるようだ。怖がらせるつもりはないんだが……」
ちょっとだけ
話してみれば、なんのことはない。
それにしても威圧か……
「それから……」
「……」返事……告白の、返事。「……返事も何も、僕が好きなのは……」
「そうか。気が変わったら、いつでも言ってくれ」
「……そんなことは、ないと思いますけど」できる限り、一途でありたいと思っている。「本題に戻りましょう」
「ああ……そうだな」
本題に移るまでに、ずいぶんと時間がかかったものだ。
「なんで
そんな彼女が部活を作るとなったら……彼女目当ての人が殺到しそうなものである。
長続きするかはさておき、部に昇格するライン……3人の部員は達成できそうなもの。
その答えを得るために、
「彼女……
「えぇ……」想定外の返答だった。「殴り飛ばす……?」
「ああ。女子グループ3人を突然殴った、ということらしい」そんなこと彼女がするだろうか……? 「お察しの通り、
必要とあらば殴るのだろうけど。躊躇しないのだろうけど。
「なにか、理由があったんですかね……」
「だろうな……だが、その理由を話してくれないんだ。殴られた3人組に聞けば『突然殴られた』と答えられ……
「……
「そういうことだ」
じゃあ彼女が暴力的な女性ということで解決……というわけにもいくまい。
殴るメリットなど、
「原因に心当たりはありますか?」
「少しある。だが……」
役職がある人には話しにくい……そんな話題のようだ。
「だから一般生徒の僕に頼むわけですか」
「そういうことだ。納得してくれたかい?」
「納得はしましたけど……」別の疑問が浮かぶ。「
あくまでも生徒会長としての仕事をまっとうする人。そんな人だと思っていた。
まぁ生徒の悩み解決も生徒会長の仕事なのかもしれないが……少し彼女のイメージとは外れていた。
「ちょっとした心境の変化だよ。気にするな」
「じゃあ、そうします」
心境の変化なら仕方がない。彼女には彼女なりの考えがあるのだろう。僕が口を挟むことじゃない。
今の問題は、
本当に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。