第12話 呼んでくれたまえ
あまりにも短いデート編を終えて、考える。
考えるのは良いことだ。だが、なぜ……なぜこの場所で?
なんで僕は生徒会室にいるんだ?
「なるほどな」なぜか目の前にいる生徒会長、
「そういうことですね……」その前に、聞きたいことがある。「……なんで僕は、生徒会室にいるんでしょうか?」
「キミが悩みのある顔をしていたからな。恋愛相談に乗っているんだ。生徒の力になるのは、生徒会長の仕事だからな」
そこまではわかる。生徒会長が生徒のために動くのは、なんとなく納得できる。
だけれど……
「
「遠慮せずに
反応しづらいな、この人……
そういえば
でも、この人には
改めて対面すると……やはりこの人、すごい美人だよな。思わず目をそらしそうになってしまう。
「ともあれ、
「だったら……」
「恋敵であることは、私個人の視点だ。生徒会長としては、関係がない」
「つまり……?」
「私はキミの幸せを願っているということさ」
……
うーむ……
「
「そういうことだ。そして今、私は生徒会長として生徒の相談に乗っている」だから相手が恋敵でも、関係ないってことか。「必要なら、
「遠慮しときますよ」生徒会長の姿を捨てた
「遠慮せずに
……ホント会話しづらいな、この人……
「さて、相談に戻ろうか」そうしてくれるとありがたい。「相談内容は……要するに時鳥子規が好きだ。付き合いたいということだろう?」
「そうなりますね」
「ハッキリ言おう。相談の意味がよくわからないな」僕だってそうだ。自分の気持ちがよくわからない。「キミは……すでに
「それはそう……なんですけど……」
言葉にしてしまえば簡単な話。
僕たちは両思いなのだから、さっさと付き合ってしまえばいい。
それから
「それとも、生徒会長にも告白されているから……悩んでいるということかな?」
「……」
また返答に悩むことを……
正直言って、
1つ年上。生徒会長。成績優秀な彼女。
スタイルだって良い。性格だって僕の好みだ。
そんな彼女に心惹かれていないと言われたら、嘘になる。
だけれど、だけれど……
「……傷つける言動になるかもしれませんが……」
「構わないよ」
「今の僕が好きな人は、
「……そうか……」とくに傷ついた様子は見えなかったが……「まぁいい。いつか、振り向かせてみせる。諦める気は、ないよ。ライバルは強力だがな」
……なんで
「しかしキミも、誠実な男だな」
「見る目のない人ですね」
「よく言われるよ」ダメじゃん。「ともあれ……キミは今時珍しい男だ。彼女に一目惚れに近い感情を抱いているのにもかかわらず、それでも慎重になっている」
「優柔不断なだけですよ」
「そうかもしれないな」ダメじゃん。「だが……キミが告白の返事を保留にしたのは、彼女を傷つけないためだ。違うかい?」
反論できないほどの正論だった。この人は、僕の心でも読めるのだろうか。
告白されて受け入れなかった理由は、
僕は
だけれど……彼女が僕のことを好きなのは、きっと勘違い。だから友達という期間を通せば、目を覚ましてくれる。
それでもなお僕のことを好きだと言ってくれるのなら……その時は……
「なんにせよ、私からすればまだチャンスがあるということ」なんか企んでる顔だった。やはりこの人は、黒という言葉が似合う。「さて相談に戻ろう。要するに彼女との話題がないということだろう?」
「そうですね」
「部活でも入ったらどうだ?」
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