第2話 ベルちゃん……逝く
私は本当にたろうが来てから変わった。
明るくなり、毎回癒やされていた。
たろうは本当に良い猫だった。
ハッキリいって、私は猫の扱いなんてまるで解らず、乱暴に扱う人形みたいに、たろうを扱っていた。バシバシ叩くわ、噛んだり……。
「ニャー!!ニャァ〜!」と、たろうは嫌がっていた。でも私は止めなかった。
この頃はもう、私は小学校に上がっていた。
あんなに私に酷く扱われていたのに、私が学校から帰ると必ず、「ニャー!!」と真っ先に走って行く、たろうがいた。
たろうは学校の同級生や、近所の大の人気者だった。
そんな私とたろうを見て、近所の仲の良い友達も猫を飼い始めた。
赤トラのオスで、名前は「ベル」。
本当にメチャクチャ可愛かった。
たろうを可愛がった後は、必ずベルちゃんの所に行っていた。
カギしっぽだった、たろうたが、ベルはスラッと長いシッポも本当に可愛かった。
でも、そんな日は続かなかった。
ある日の事。
ベルちゃんは、何故か良く吐くようになり、下痢もしていた。
すぐに治るだろうと、誰もが思っていた。
しかし悪くなる一方だった。
ちょうど私はペットショップで働いていた、姉の持っていた本を見ていた。
色々な病気を見ていた。
その数個気になり、姉に聞いた。
「お姉ちゃん、この病気なんだけど、良く解らない。治るの?」
「この病気は伝染病。90%以上の確率で助からない」
「そうなんだぁ」
という、何てことない会話をしていた。
しかし、悪夢は襲う。
ベルちゃんは日に日に弱っていき、獣医に連れて行ったが、偶然にも姉と私が話題にしていた、伝染病だった。
姉が90%以上助からないと言っていた、伝染病。
名前は、ジステンパ!!
私は姉に必死に言っていた。
「90%で助からないなら、残りの10%は助かるんだよね?ね?」
姉は肩を落として言った。
「それは、予防接種を受けたら助かる。ベルはそうじゃない……だから」
やがてベルちゃんは、トイレに行く事すら出来なくなり、垂流し状態となった。
目も濁った感じになり、生きている気力すら無い感じがした。
そして数日後、ベルちゃんは逝った。
飼い主である友達は、ワンワン泣いていた。
私はもう、涙すら流れなかった。
やがて、ベルちゃんを亡くした友達は、猛烈に猫についての勉強をした。
私にも、「猫を飼っている以上、猫を知らないとダメ!!」と言われ、一緒に勉強するが、発達障害があったのか、全然頭に入らなかった。
その後、ベルちゃんの遺骨の置いてある霊園に一度だけ行ったが、ベルちゃんは小さい箱になったんだと私はあの時に思っていた。
何故か何回も霊園に行きたくなったが、「もう忘れなさい。ベルちゃんは亡くなったの!!」と母とかに言われて、ベルちゃんから離れていった。
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