猫の思い出

美月

第1話 白猫たろうの誕生

私はまだ5才の頃。

私は幼稚園には行かず、保育園に行っていた。

父はこの頃までギャンブル依存症で、ほとんど働かなった。

しかし、父が仕事をする様になり、父の職場の近くに引っ越す事になった。

私の保育園とかなり距離があった為に、父の仕事の休みの火曜日しか、保育園に通えなかった。

何故なら、父しか車の運転が出来なかった。 

母は、この頃は手に職を持っていた。

それは、洋裁だった。

しかし、私が独りぼっちで家に置いておくのは可哀想だと思った母は、家に工業用ミシンに工業用ロックを買っていた。

しかし、いくら家に母が居るとはいえ、ずっとミシンの踏みっ放し、構ってくれるのは昼休みだけ。後は私は暇だった。

絵本も何回も読んでいて、正直飽きていた。

余りに暇だし、構って貰えず、限界が来て私は言った。

「猫を飼いたい」と。

犬は前の家で飼っていたが、吠えるのが近所迷惑となり、母の知り合いに貰われて行った。

母は、大の猫嫌いでもちろん、猛反対。

しかし、私は負けずと「猫飼いたい」アピールを続けていた。

流石に母は私に負けて、猫を飼うのを賛成してくれた。

母の友達に、猫を10匹以上飼っていた人が居た。

私はこの人を「ミーちゃんのおばちゃん」と呼んでいた。

ミーちゃんのおばちゃんは、新聞紙を広げて、その上にバラバラとキャットフードをバラしていた。

その中に、私と母が来た。

ミーちゃんのおばちゃんは、「こないだ産まれたばかりの子も居るよ。好きな子連れて行きな」と言っていた。 

私は余りの猫の多さに、戸惑った。

それに気づいた母も、猫を選び始めた。

「あら!?この子良いわ!!」

母が首の後ろをつまんで、私はその子を見た。 

「シャー!」と言っていて、白猫でオス。頭の所だけちょっとだけ黒くなっていた。

生後1ヶ月のチビだった。

このチビを連れて帰る事になり、名前を考えて決めたのが、「たろう」だった。

そしてこの時に私や家族は気がついた。

「たろうは、左目が黄色で、右目が青い」という事に。

なかなかこの目のタイプは、幸運な猫とか言われている様だ。

こうして、たろうと私の生活が始まった。


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